2006年11月29日水曜日

メタリカ Metallica

1986年、NHK-FMで♪ボヘミアンで有名な葛城ユキDJのラジオ番組を聴いていたら、メタリカ♪メタル・マスターが流れてきました。

その衝撃たるものすさまじく、なんでこんなに重くて金属質の音が出せるのか─メタリカにのめり込み、ヘビーメタルにのめり込んでいったのです。
この年はメタリカの3rdアルバム「メタル・マスター(Master of Puppets)」が発売され、同時にボン・ジョヴィのアルバム「ーtワイルド・イン・ザ・ストリーツ(Slippery When Wet)」が全米ナンバー1になり、続く1987年にはガンズ&ローゼズの「アペタイト・フォー・ディストラクション」、デフ・レパードの「ヒステリア」、ホワイトスネイクの「サーペンス・アルバス ~白蛇の紋章~」とヘビメタのアルバムが次々と全米ナンバー1となり、’80年代初期のヘビメタブームについで第二期ヘビメタブームと言われたものでした。

メタル・マスター」収録時のメンバー
ボーカル/ギター:ジェームズ・ヘッドフィールド
ドラムス:ラーズ・ウルリッヒ
ギター:カーク・ハメット
ベース:クリフ・バートン

ヘビメタバンドはメンバーの入れ替えが激しくて、先にあげたホワイトスネイクなどを例にあげると、「サーペンス・アルバス」制作前のメンバーは─
ボーカル:デービッド・カバーデイル
ドラムス:コージー・パウエル
ギター:ジョン・サイクス
ベース:コリン・ホッジキンソン

制作後─
ボーカル:デービッド・カバーデイル
ドラムス:トミー・アルドリッヂ
ギター:ジョン・サイクス(アルバム完成後、脱退)
ギター:エイドリアン・バンデンバーグ
ギター・ビビアン・キャンベル
ベース:ルディー・サーゾ

と総入れ替え状態です。ボーカルのデービッド・カバーデイルのワンマンバンドで、アルバムごとにメンバーを変えているのもありますが、ボン・ジョヴィのようにほとんどメンバー入れ替えがないバンドのほうがまれなのです。ついでにいうと、ビビアン・キャンベルは現在デフ・レパードのギターを担当しています。誰がどこへ行った、ということもヘビメタの楽しみ方なのかもしれません。

メタリカの場合も、結成当時のギタリストはデイブ・ムスティーン(現・メガデス)であったし、4thアルバム「メタル・ジャスティス」以降のベースはジェイソン・ニューステッドで、現在のベースはまた違う人らしいです。
ベースだったクリフ・バートンは、3rdアルバム完成直後、交通事故で亡くなっています。彼の損失はメタリカにとって非常に打撃だったはずです。4thアルバムでは低音が抑えられていて、ベースの音があまり聴き取れません。いかにクリフを重要視していたかが伺えます。
皮肉なことにクリフ亡き後、メタリカはどんどん成功していったのですが…。

1993年、僕は代々木第一体育館でのメタリカ・ライブへ行きました。ボーカルのジェームズがあまり歌わずに、なぜか新加入ベーシストのジェイソンが歌っていて、それほどうまくないし、ただ爆音だけが鳴り響いていて、その時、僕の中でメタリカは終わってしまいました。5thアルバム「METALLICA(通称:ブラック・アルバム)」までは聴きましたが─まさかスラッシュ・メタルメタリカが全米のトップになるなど想像すらしていなくて、驚きと拍手の意味を込めてアルバムを購入したのです。
その後、メガデスが売れる、イングベイ・マルムスティーンが売れる─頑張れば報われるものだなぁ、なんて思ってしまいます。

僕はすっかりヘビメタに興味を失ってしまいましたが、メタリカは順調に売れていて、「金に走っている」などと言われたりしています。
でも、彼らはスラッシュ・メタルという枠にはまることなく、自由に自分たちの音を探っているように思います。サンフランシスコ交響楽団と共演したライブアルバム「S&M シンフォニー&メタリカ」の映像を見ると、あの代々木体育館のころとは比べものにならない演奏で、確実に成長しているのだなぁと感心してしまいました。最新アルバムでは並行してドキュメンタリー映画を製作させたりして、常に何かを追い求めているように思うのです。
彼らがデビューしたてのころのインタビューで、憧れのバンドはモーターヘッドでそれを目指すんだ、というようなことを言っていました。確かに1stアルバム「キル・エム・オール」はモーターヘッドのような音楽を目指していたと思うのですが、2nd「ライド・ザ・ライトニング」以降、独自の音を追求しだして、今では、デビュー当時思っていたこととだいぶ違うものを追い求めているように思います。
多少自分たちを見失っている感もありますが、何か今までにないような音楽を作り出してくれることを、少しだけメタリカに期待いたしましょう。



2006年11月28日火曜日

ストリート・オブ・ファイヤー Streets of Fire

1984年 アメリカ
監督:ウォルター・ヒル画像
出演:ダイアン・レイン
   /マイケル・パレ
   /ウィリアム・デフォー
音楽:ライ・クーダー

オリジナル・サウンドトラック
1. ノーホエア・ファースト
(ファイヤー・インク)
2. ソーサラー
(マリリン・マーティン)
3. ディーパー・アンド・ディーパー
(フィクス)
4. カウントダウン・トゥ・ラヴ
(グレッグ・フィリンゲインズ)
5. ワン・バッド・スタッド画像
(ブラスターズ)
6. 今夜は青春
(ファイヤー・インク)
7. ネヴァー・ビー・ユー
(マリア・マッキー)
8. あなたを夢みて
(ダン・ハートマン)
9. ホールド・ザット・スネイク
(ライ・クーダー)
10. ブルー・シャドウズ
(ブラスターズ)

かなりロックンロールな映画、好きな人はたまらなく好きなはずです。
賞とか芸術とかこの映画には無縁です。そんなのは考えてはいけません。
映画という媒体は、どうしても観客というものを考えて作らなければならないのです。

ストーリーの分かりやすさ、演出の分かりやすさ、ダイアン・レインの美しさ、ウィリアム・デフォーの憎たらしさ、マイケル・パレのもてそうな演技─娯楽作品を作ろうとするならば、ここまで分かりやすくしてほしいものです。
映画の中の世界観もかなり確立されていて、あそこまで見事に独自の世界観を作り出すことも結構難しいと思うのです。

ライ・クーダーの音楽もいいし、サントラの曲もいいです。
♪今夜は青春は日本でもカバーされ、某ドラマのテーマ音楽だったので、映画に親しみも感じるかもしれません。この曲をダイアン・レインが口パク熱唱するシーン、かなりベタな感じで見ているこちらが恥ずかしくなってしまうのですが、思いっきり感情移入してみてしまえば、最高にドラマチックであること間違いなしです。
サントラに関して個人的な見解を申しますと、2曲目のマリリン・マーティンと3曲目のフィックスが結構お気に入りです。マリリン・マーティンといえば、フィル・コリンズとデュエットした♪セパレート・ライブスというヒット曲を思い出すのですが、その曲より断然よいです。フィックスの曲、これは劇中では流れずにエンドクレジットにてついでのように流れていたのが印象的です。ついでに言うと、フィックス♪シークレット・セパレーションという曲もいいですよ。

昔はテレビで「ストリート・オブ・ファイヤー」よく見たのもですが、最近は全くと言っていいほど見なくなりました。まぁ、1度見てしまえばもう見なくていいというような映画ですが、時間がたつともう一度見たいなぁと懐かしさを感じる映画でもあります。



2006年11月27日月曜日

Cliffs of Dover

Guitars」という有名ロック・ギタリストが集ったオムニバスアルバムの中に、エリック・ジョンソン(Eric Johnson)の「Cliffs of Dover」のライブバージョンが収められていました。メロディーの美しさと、正確な音、展開の素晴らしさ─エリック・ジョンソンを全く知らなかっただけに、かなりの衝撃を受けました。

※「Guitars」というアルバムはもう手に入らないようですが、エリック・ジョンソンの素晴らしいアレンジと演奏は、YouTubeで見つけることができました。僕が聴いた音源は、絶対にこれです。

すぐに「Cliffs of Dover」のオリジナルバージョンが収められている、アルバム「Ah Via Musicom」を購入。オリジナルを聴き、ライブバージョンのアレンジの素晴らしさに改めて感銘したのです。
アルバム「Ah Via Musicom」はグラミー賞を受賞しているらしいです。
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1) Ah Via Musicom
2) Cliffs of Dover
3) Desert Rose
4) High Landrons
5) Steve's Boogie
6) Trademark
7) Nothing Can Keep Me from You
8) Song for George
9) Righteous
10) Forty Mile Town
11) East Wes



エリック・ジョンソンジョー・サトリアーニスティーヴ・ヴァイと共にG3ライブにも登場していました。さすがに正確で美しい演奏をしています。
このジョー・サトリアーニが主催しているG3ジョン・ペトルーシイングベイ・J・マルムスティーンマイケル・シェンカーなどバリテクギタリストが参加していますが、僕は最初G3と聞いて、またパコ・デ・ルシアアル・ディ・メオラジョン・マクラフリンギター・トリオがツアーするのかと勘違いしていました。このギター・トリオ、僕はあまり好みではありませんでした。まだG3のほうがいいかなと思うわけです。大物ギタリストは単独行動で十分なんです。

ついでに─
ジョー・サトリアーニ マイ・ベスト
Flying in a Blue Dream
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1) Flying In A Blue Dream
2) The Mystical Potato Head Groove
3) Can't Slow Down
4) Headless
5) Strange
6) I Believe
7) One Big Rush
8) Big Bad Moon
9) The Feeling
10) The Phone Call
11) Day at The Beach
12) Back to Shalla-Bal
13) Ride
14) The Forgotten
15) The Forgotten
16) The Bells of Lal
17) The Bells of Lal
18) Into the Light


スティーヴ・ヴァイ マイ・ベスト
Eat 'Em and Smile
(by David Lee Roth)
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1. Yankee Rose
2. Shy Boy
3. I'm Easy
4. Ladies' Nite in Buffalo?
5. Goin' Crazy!
6. Tobacco Road
7. Elephant Gun
8. Big Trouble
9. Bump and Grind
10. That's Life

※スティーヴ・ヴァイのソロではありませんが、ビリー・シーンも参加しているので敢えてこれをあげてみました。


正直な話、ここ最近は、いわゆるギターヒーローと呼ばれる人たちの音楽を全く聴いていなかったのですが、G3というものから昔の思いを再燃させられました。これがG3主催者ジョーサトの思惑なのかもしれませんね。
素晴らしい音楽はいつまでの素晴らしいので、まあよいのですが─。





ルーマニア民俗舞曲 Romanian Folk-Dances Sz.68

バルトーク・ベーラ 作曲
(Bartok Bela 1881-1945)

ルーマニア民俗舞曲
(Romanian Folk-Dances Sz.68)

第1曲「棒踊り」
(Ⅰ. Jocul cu bata )
第2曲「腰帯踊り」
(Ⅱ. Sash dance )
第3曲「足踏み踊り」
(Ⅲ. Pe loc )
第4曲「ホーンパイプ踊り」
(Ⅳ. Hoorn dance )
第5曲「ルーマニアのポルカ」
(Ⅴ. Poarga romaneassa )
第6曲「急速な踊り」
(Ⅵ. Maruntelul )

全て聴くのに6分もかからないという短さ故に、気軽に聴くことができます。
��曲なのに1曲として楽しめるし、1曲として聴くと実は6曲の構成なので、その展開の豊富さを十分に堪能できます。バルトークって意外といいかもしれない─、と思うかもしれません。

僕が一番最初にバルトークを聴いたのは、指揮:小澤征爾、演奏:ボストン交響楽団、「中国人の不思議な役人(The miraculous Mandarin Op.19,Sz.73」でした。文字通り不思議なこのタイトルに惹かれて思わずCDを買ったのですが、全く好きになれませんでした。決して嫌いだというわけではないのですが、何度聴いてもこの曲を全然理解できませんでした。
これはパントマイムのためにバルトークが作曲したと後で知り、これは音楽だけでは理解できないのは当然かもしれないと思いました。
そのCDには「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(Music for Strings, Percussion and Celesta)Sz.106」も含まれていて、それは何回か聴くうちに、少しだけ、好きになりました。

クラシック音楽は本当に素晴らしいと思うのです。長い間、演奏され続けているというのは、人を惹きつけるものがなければ、そうはいかないもので、僕たちがよく耳にするクラシック音楽は人々を魅了し続けてきたわけで、素晴らしいと感じるのは当然なことだと思うのです。
しかし、作品名、作品番号、英語、ドイツ語─バルトークならばハンガリー語、指揮者・楽団………越えなければならないハードルが結構多いので、素晴らしさをつかむ前に、挫折することがしばしばあります。

Szってなんだよ、と思ってしまってはいけないかもしれませんね。その記号に疑問を感じる前に、まずは音楽を聴かないと、いつまでも「Sz」の壁が…。
Szとはセーレーシ番号といって、セーレーシさんという人がバルトークの作品に付けた学術番号らしい。それ以上は分かりませんし、とりあえず、どうでもいいのかもしれません。
作品タイトルが外国語で書かれている場合、作品番号が役に立つのですが─

とにかく気に入った曲からどんどん奥深く、はまっていけばいいわけです。
僕はルーマニア民族舞曲からバルトークにはまっていければ何よりです。まずは、Sz.68ルーマニア・フォークダンスと覚えようと思います。
バルトークにちょっとずつ迫っていると、「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」のことを通称・弦チェレと言うことが判明しました。
クラシック音楽では、ベートーベン第7番ベトしちドボルザークのチェロ協奏曲ドボコン、など面白い愛称があるようです。そうやってみんな壁を壊しているのかもしれません。音楽はまずは聴いてみないと話にならないのですから。

ルーマニア・フォークダンスはピアノ曲「ルーマニア民族舞曲Sz.56」を編曲したものらしいので、ピアノバージョンも聴いてみたら、チャイコフスキーのピアノ曲「四季」に似ているような気がしました。
このようなちょっとしたつながりを見つけながら、音楽の視野を広げていけば、敷居の高そうなクラシックにも近づいていけるし、さらにまた素晴らしい音楽を発見できるかもしれません。


2006年11月26日日曜日

Jessica  ジェシカ

音楽というのは具体的に見えないものであるから、個々人のイメージが非常に重要なものだと思います。
ある曲を聴いて、感じること・イメージするものは人によって違うわけで、故にその曲を大好きである人がいればそれを大嫌いだと言う人も当然いるのでしょう。
また、大嫌いだった音楽がイメージひとつで大好きになる場合もあると思うのです。

僕はオールマン・ブラザーズ・バンド(Allman Brothers Band)♪ジェシカが大嫌いでした。曲そのものが嫌いというのではなく、その曲のイメージが嫌いだったのです。
昔、某スーパーマーケットのテレビCMで♪ジェシカが流れていました。もの心ついたばかりの僕には、それが♪ジェシカだと理解しているはずもないのですが、その静止しているだけのCM画面に♪ジェシカが流れ、「さあおいで」みたいなナレーション…恐ろしいほどに寂しくて、格好悪くて、そのCMの全てが嫌いだったのです。
その後、オールマンを知り、当然♪ジェシカも知るに至ったのですが、あのひどいCMのイメージがあるものですから、積極的にオールマンの音楽を聴くことはありませんでした。

それが一転、♪ジェシカを好きになったのは、初夏の陽気のおかげでした。

自転車に乗りながらポータブルプレーヤーで音楽を聴いていると、♪ジェシカが流れてきました。嫌いなはずなのになぜ入っているのだろうと、不機嫌になりつつも、自転車の安全運転を優先にそのまま聴いていると、青空に白い雲─そして♪ジェシカ、それがみごとに一体化してちょっとした感動を覚えたのです。だから、サザン・ロックと言われちゃうのね、なんて思ったりして、それ以来♪ジェシカ含めオールマン・ブラザーズ・バンドをよく聴くようになりました。



オールマン・ブラザーズ・バンドはライブ音源を聴かなければ話になりません。僕はアルバム「フィルモア・イースト・ライブ(Live At Fillmore East)」を聴いて、♪ジェシカを好きになって良かったと改めて実感しました。♪ジェシカが嫌いなままだったら、素晴らしい音楽を見過ごすところだったのです。
そしてまた同時に、亡きデュアン・オールマンを惜しみ、♪いとしのレイラでのデュアンのプレイを再確認し、さらに♪ジェシカデュアンの死後の曲ということを知り、オールマン・ブラザーズ・バンドのすごさを感じるのです。

ライブでのオールマン、個人的には「フィルモア・イースト・ライブ」での♪ユー・ドント・ラブ・ミー(You don't love me)がお気に入りです。



音楽には聴くだけではなく、様々なイメージやドラマを発見していくことも一つの楽しみですよね。

2006年11月25日土曜日

Both Sides Now 青春の光と影


この曲はJT(日本たばこ産業)のCMで流れている曲なので、耳馴染みがあると思います。
ジョニ・ミッチェル(Joni Michell)が1969年に発表したアルバム「Clouds」の一番最後に収められていますが、ジュディー・コリンズ(Judy Collins)がカバーしヒットさせたので、オリジナルよりもジュディー・コリンズのバージョンの方がよく知られているかもしれません。

僕がジョニ・ミッチェルを知ったのは映画「ウッドストック」を見てからです。彼女が♪Big yellow taxiを非常に楽しそうに歌っていたのが印象的でした。
好んでジョニ・ミッチェルを聴いたわけではありませんが、ウェイン・ショーターハービー・ハンコックパット・メセニーマイケル・ブレッカーといったジャズミュージシャンとよく共演していたために、彼女の声をよく聴きました。
ジョニ・ミッチェルは1968年にデビューして、2002年に最新のアルバム「Travelogue」を出しています。活動期間が長いため、初期の彼女の声と現在の声を聴き比べてみると非常に面白いです。
♪Both Sides Now1969年のバージョンと、2000年発売のアルバム「Both Sides Now」に収められているニューバージョンがあります。同じ曲で過去現在ジョニ・ミッチェルを聴くことができます。
昔のオリジナルバージョンは、もちろん大変良いのですが、現在のバージョンを聴くと、色んな経験を積み円熟味を増したジョニ・ミッチェル聴くことができて、さらに♪Both Sides Nowがよく聴こえることでしょう。
大人のジョニ・ミッチェルが、♪青春の光と影を歌っているの聴いてください。
そして最後に─
 I really don't know life
 I really don't know life at all

─と歌っているのをかみしめてください。


2006年11月24日金曜日

スティング The Sting

監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:デヴィッド・S・ウォード
出演:ポール・ニューマン/ロバート・レッドフォード/ロバート・ショウ

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音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
作曲:スコット・ジョプリン

1. Solace [Orchestra Version]
2. Entertainer [Orchestra Version]
3. Easy Winners
4. Hooker's Hooker
5. Luther
6. Pineapple Rag/Gladiolus Rag
7. Entertainer [Piano Version]
8. Glove
9. Little Girl [Violin Solo]
10. Pineapple Rag
11. Merry-Go-Round Music: Listen to the Mockingbird/Darling Nellie Gray
12. Solace [Piano Version]
13. Entertainer/Rag Time Dance


映画の内容もさることながら、劇中歌もまた最高です。
その音楽はラグタイムと呼ばれるもの。作曲のスコット・ジョプリン(Scott Joplin 1868-1917)ラグタイム王と呼ばれていたそうです。

ラグタイム(ragtime)とは───
19世紀末から20世紀初頭にかけ、アメリカで流行した音楽のジャンル。
19世紀、ミズーリ地方の黒人ミュージシャンが黒人音楽(ブルース)を基本に独自の演奏法を編み出し、これが従来のクラシック音楽のリズムとは違う「遅い」リズムと思われたことから「ragged-time」略して「ragtime」と呼ばれるようになった。
リズム的特長としては「シンコペーション」と呼ばれるリズム構成が主体で、これは拍の弱部を強調する事によって、従来のクラシック音楽とは異なる印象を与えることができる。音階的には音階が上がるとき(アップビート)よりも下がるとき(ダウンビート)のときに拍が強調され、これは「裏拍の強調」とも呼ばれ、聴く者に意外感を与える効果を持つ。また「シンコペーション」の別定義では「中間音の省略」といった記述もあり、これは小節の間、もしくはその終わり、あるいは小節から小節へ移るとき、休止符を置く、または音符そのものを省いてしまうことにより、リズムにスピード感が増し、それが結果的に曲そのもののスピード感を増すことにもつながる。この「裏拍の強調」はその後の「ジャズ」にも受け継がれ、今日のロックやポップスなどのポピュラーソングの基本として、その手法は健在である。また、そのスピード感の強調はヨーロッパへ輸出されいわゆる「ユーロビート」の源流となったことはよく知られている。
───というものらしい。(「Wikipedeia」より)

説明を読んだだけではラグタイムが何なのかあまり理解できないでしょう。
映画「スティング」のサントラと、ガーシュイン♪スワーニーとか別のラグタイム1曲聴けば、なんとなくラグタイムを理解できると思います。

映画「スティング」で音楽を担当したマーヴィン・ハムリッシュは、当時全く忘れられていたスコット・ジョプリンの曲を発掘・編曲し、♪エンターテイナーなど素晴らしい曲を世に知らしめてくれたのです。
♪エンターテイナージョプリンが1902年に作曲していますが、1973年に映画「スティング」が公開されるまでほとんど知られていなっかたようです。
ジャズのスタンダードナンバー、例えば♪マイ・ファニー・ヴァレンタインなど演奏のされ方によって様々な表情を出しますが、♪エンターテイナーマーヴィン・ハムリッシュによって、まさに命を与えられたといえるでしょう。
また同時に映画「スティング」の映像や物語によって、♪エンターテイナーはさらに印象的な音楽になったといえるでしょう。その逆もいえるのですが…つまり♪エンターテイナーがあったからこそ、映画「スティング」が印象的なものになったと─。

映画「スティング」に感動したならば、ポータブルプレイヤーなどにそのサウンドトラックを収めておいてください。そうすれば、いつでも映画を頭の中で蘇らせることができるでしょう。


2006年11月22日水曜日

The last rose of summer 庭の千草

♪庭の千草という曲をご存知でしょうか。アイルランド民謡で小学校の唱歌にもなっているこの曲、僕は全然記憶にありませんでした。
Andre Rieu&His Johann Strauss Orchestraのアルバム「Andre Rieu in Concert」の中に♪The last roseという曲名で収録されていたのを、僕は初めて聴きました。


アンドレ・リュウ(Andre Rieu)、オランダ出身のバイオリニスト兼指揮者。自らヨハン・シュトラウス・オーケストラを結成し、ウインナワルツの演奏を中心に活動をしています。世界的にかなり有名なので、このような説明など必要ないかも知れませんが一応─。

♪The last roseは観客の大勢がハミングしていて、観客とオーケストラが一体となってひとつの作品を創り上げているので、とても感動的です。なぜこれほどまで、自然に観客が口ずさむのだろうと疑問に思い調べてみたら、それはアイルランド民謡だからだ、と分かったのです。
♪The last rose of summerはケルト音楽のアーティストらによってよく演奏されているみたいですが、クラシック音楽としてもよく演奏されているようです。

アイルランド民謡というと♪ロンドンデリーの歌(Londonderry Air)が一番有名だと思います。これも唱歌として載っているし、よく様々な形で演奏されていますが、やはり僕は幼いころに聴いたという記憶がありません。♪ダニー・ボーイ(Danny boy)としてこの曲を知ったのは、ビル・エバンス(Bill Evans)のアルバム「エンパシー(Empathy)」からでした。この曲の素晴らしさに感動した僕は、それからちょくちょくほかのアーティストが演奏している♪ダニー・ボーイを聴いては、ビル・エバンスは素晴らしい曲を残してくれたなーなんて勘違いしたものです。
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時代を越えて歌い継がれてきたメロディーに心を惹きつけられるのは、当然なのかもしれません。しかし、どんなに曲が素晴らしくても、その曲に心を揺り動かさなければ、その曲はただ目の前を通り過ぎていくだけなのです。
僕が♪庭の千草♪ロンドンデリーの歌を覚えていなかったのは、心を動かされなかったからかもしれません。また、♪ダニー・ボーイが素晴らしい曲であると自覚しても、すべての♪ダニー・ボーイが無条件に良いわけではありませんでした。有名が歌手が歌っていても、聴くに耐えない♪ダニー・ボーイもありました。

♪The last rose  もしかしたら、観客のハミングがなかったら気に留めなかったかもしれません。クラシックのコンサートというのは、雑音など全く出してはいけないというイメージがあって、共に歌うなど僕は実際にできそうもありません。
欧米のクラシックコンサートの映像を見ると、結構一緒になって歌ったり踊ったりしていて、非常に楽しそうにみえます。
ヨハン・シュトラウス・オーケストラのコンサート映像などをみても、総指揮をしているアンドレ・リュウ自体がバイオリンを弾いたり踊ったりしているわけで、自然と観客も演奏に参加してくるわけなのです。しっかり指揮者としての務めを全うできているのか疑問ではありますが、♪The last roseの録音を聴くと、アンドレ・リュウという人は素晴らしいクリエーターなのだということがよく分かると思います。

民謡というのは誰でも鼻歌交じりで歌われてきたはずです。ゆえに大勢の人が共に歌うことによって、最高の♪The last rose of summerが出来上がっているのでしょう。

三月の水 Water of March (Agua de Marco)

カサンドラ・ウイルソン(Cassandra Wilson)といえば、ジャズを代表する女性ボーカリストだが、彼女が2002年に発表したアルバム「Belly of the Sun」の中に♪Water of Marchという曲があります。非常に軽やかで一度聴いて気に入ってしまいました。
♪Water of Marchという曲は邦題「三月の水」といって、あのボサノバを創生したアントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)の名曲らしい─。
であるならば、本家本元を聴いてみなければと、エリス・レジーナ(Elis Regina)とデュエットした(ポルトガル語での原題)「Agua de Marcoを聴いてみました。非常に素晴らしかったです。このジョピンエリスの曲はボサノバ史上最高の録音と言われているらしく、そう言われるのも納得です。歌っている途中で自然に笑っているところもあり、曲全体が喜びで満ち溢れています。
三月の水とは、南半球ブラジルでの夏の終わりを告げる雨季のことを指しているらしく、夏は終わって寂しいけれども、この恵みの雨に喜びを感じる、といった気持ちを歌ったものらしいです。
カサンドラ・ウイルソンのほかにも、ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)が歌っていて、♪三月の水はボサノバからジャズに至るまで、たくさんカバーされています。

話は変わってカサンドラ・ウイルソンのアルバム「Belly of the Sun」についてちょっと触れておくと、このアルバムにはジョピンの曲のほか、ザ・バンド(The Band)の♪The Weightジェームズ・テイラー(James Taylor)♪Only a dream in Rioボブ・ディラン(Bob Dylan)♪Shelter from the stormザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)♪You gatta move、など数々のカバー曲が歌われています。♪Water of Marchは、確かに、原曲のほうが良かったですが、♪Only a dream in Rio♪Shelter from stormなどは、カサンドラが歌っている曲のほうが素晴らしいと思います。このアルバムはほとんどカバーでありながら、すべてカサンドラのオリジナルのように聴こえてしまうのがすごいのです。
カサンドラが歌う♪Water of Marchも大変良いです。しかし、ジョピンエリスが素晴らし過ぎました。

♪Agua de Marco / Elis and Jobim


いろいろ音楽を聴いていても、♪三月の水のように、名曲と言われるものでも知らない曲がまだまだあるものですね。カサンドラを聴いてなければアントニオ・カルロス・ジョピン♪イパネマの娘というイメージで終了でした。「Belly of the Sun」という素晴らしいアルバムから、さらに素晴らしい♪三月の水という曲を知ることができました。この音楽の恵みこそに喜びを感じます。

{%rain_a%}これからは雨の日には♪三月の水を口ずさみ、ブルーな気分を吹き飛ばそう{%diacritic_a%}


2006年11月21日火曜日

レッド・ツェッペリン Led Zeppelin

レッド・ツェッペリン Led Zeppelin
ロバート・プラント(vo)
ジミー・ページ(g)
ジョン・ボーナム(drs)
ジョン・ポール・ジョーンズ(b,key,etc)

天国への階段」を聴きレッド・ツェッペリンを知る、よくあるパターンではないでしょうか。
僕もまさにそのパターンであり、当然ツェッペリンのアルバムも「」を最初に聴くことになりました。

��曲目のブラック・ドッグを聴いて、正直、になりました。音程もリズムもめちゃくちゃに聞こえて、次のロックン・ロールなどは、ひどいギターソロ弾くなぁページ…、と思っちゃったわけです。そういう人、結構いるのではないでしょうか。そして、その印象がそのままでレッド・ツェッペリンなんて最低なバンド、と思っている人はたくさんいると思います。
僕はその後、ツェッペリンウイルスにみごとに感染されて、彼らを最高のクリエイターだと思っています。
何が良いのか、具体的にあげろと言われても、結構苦しい…。
アルバム「」の良さを知り「」「」「」と立て続けに購入してみるも、どれを聴いても最初の印象は、“ひどい”でした。
天国への階段」が出る前はアルバム「」の「胸いっぱいの愛を」がツェッペリンの代表曲だ、とライナーノーツに書いてあり、それを聴いてみるも、“ひどい”…。だいたい、このひどい邦題はなんとかならないのかなぁーと思ったりしたのですが、やはりそれにはまると、癖になってしまいました。何が良いのか…ツェッペリンの良さ…
それはロバート・プラントの声でしょうか─
本当に特徴的で、ブラック・ドッグの歌い出しをマネできる人は皆無でしょう。あんな、メロディー考え付きませんけどね。このメロディーおもしろい!と思った瞬間、もうやめられない止まらない
あるいはジミー・ページのギターメロディーなのでしょうか─
ブラック・ドッグのリフもそうなんですが、ハートブレーカー移民の歌コミュニケーション・ブレークダウンなどもかなり笑えます。ページプラントの奇妙奇天烈メロディーが相まって、不思議なツェッペリンワールドを構築しているのでしょう。そしてその世界にはまったら、もう抜け出せないのです。
しかし、ボンゾことジョン・ボーナムを忘れちゃぁ困りますぜぇ─
あのパワフルなドラミングがなければ、ページプラントだけじゃただのへんてメロディーになっていたかもしれません。僕が「」で唯一第一印象が良かった曲がラストのレヴィーブレイクなのですが、あの強烈なドラミングが心を捉えたのかもしれません。
最後にジョン・ポール・ジョーンズを─
飾りのようにされてしまいがちですが、プラントページの曲をしっかりアレンジしたこの人の功績は大きいと思うのです。天国への階段のあのリコーダー、ノー・クォーターの幻想的メロディー…。歌とギターのメロディーは確実にプラント/ページだけで作られていたことでしょうが、ほかは全てジョン・ポールによって作られていたと言っていいでしょう。カシミールを聴いて、プラントページの作曲ではあるけれど、このアレンジがなければこの曲はどうなっていたことだろう、ということを考えてみてください。

以上がレッド・ツェッペリンの良いところです。分かりづらいですかね。分かりづらいでしょう。ならば、アルバム「」に収録されている「彼女を愛し続けて」を聴いてみてください。どブルースなこの曲を聴けばきっとツェッペリンの良さが分かるでしょう。
良さが分かるまで何回も聴いてください。そうすれば、やめられない止まらない

2006年11月15日水曜日

初めての音楽

初めて買ったアルバム
ブライアン・アダムス
レックレス」(カセットテープ)
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1. ワン・ナイト・ラヴ・アフェアー
2. いかしたダンシン・ガール
3. ラン・トゥ・ユー
4. ヘヴン
5. サムバディ
6. 想い出のサマー
7. キッズ・ワナ・ロック
8. イッツ・オンリー・ラヴ
9. ロング・ゴーン
10. 涙をふきとばせ



初めて買ったLP
ビートルズ
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
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1. サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
2. ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ
3. ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
4. ゲッティング・ベター
5. フィクシング・ア・ホール
6. シーズ・リーヴィング・ホーム
7. ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト
8. ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー
9. ホエン・アイム・シックスティー・フォー
10. ラヴリー・リタ
11. グッド・モーニング・グッド・モーニング
12. サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(リプライズ)
13. ア・デイ・イン・ザ・ライフ



初めて買ったCD
レッド・ツェッペリン
レッド・ツェッペリンIV
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1. ブラック・ドッグ
2. ロックン・ロール
3. 限りなき戦い
4. 天国への階段
5. ミスティ・マウンテン・ホップ
6. フォア・スティックス
7. カリフォルニア
8. レヴィー・ブレイク



エルミタージュ幻想 曲目リスト

あるサイトに映画「エルミタージュ幻想」の曲目が分からないので教えてくださいと記載してありました。ですから、ここに曲目を記述いたします。

1.ミハエル・グリンカ作曲マズルカ
  歌劇『イワン・スサーニン(皇帝に捧げた命)』第2幕より
2.ゲオルグ・テレマン作曲アリア
3.ヘンリー・パーセル作曲 歌劇『アーサー王』より
4.セルゲイ・イェヴツシェンコ作曲ロマンス
5.ミハエル・グリンカ作曲ノクターン
  (イェヴツシェンコ編曲)
6.セルゲイ・イェヴツシェンコ作曲ロマンス
7.チャイコフスキー作曲フランスの古い歌
  ピアノ曲集『子供のためのアルバム』第16曲より
8.セルゲイ・イェヴツシェンコ作曲ロマンス
9.チャイコフスキー作曲フランスの古い歌
  ピアノ曲集『子供のためのアルバム』第16曲より
10.アレクサンダー・グリボードフ作曲外交ワルツ
11.チャイコフスキー作曲フランスの古い歌
  ピアノ曲集『子供のためのアルバム』第16曲より
12.ミハエル・グリンカ作曲マズルカ
  歌劇『イワン・スサーニン(皇帝に捧げた命)』第2幕より
13.ミハエル・グリンカ作曲ノクターン
  (イェヴツシェンコ編曲)
14.セルゲイ・イェヴツシェンコ作曲ロマンス
15.セルゲイ・イェヴツシェンコ作曲メロディ

��VDの解説に載っていたものなので、かなり正確だと思います。曲が流れた順番に記載されていたため、被っている曲が何曲もあるので注意してください。
個人的には、グリンカチャイコフスキーの曲よりも、一番最後の曲「メロディ」がとてもお気に入りです。ゲルギエフが指揮する「マズルカ」からラストの「メロディ」へ続く流れが非常に素晴らしいです。
ほかの曲も当然いいものばかりなので、ひとつひとつ探ってみてください。そうしているうちに、きっとまた新たな出会いがあることでしょう。

2006年11月14日火曜日

エルミタージュ幻想

画像エルミタージュ幻想
2002年 ロシア/ドイツ/日本 96分

監督:アレクサンドル・ソクーロフ
脚本:アナトリー・ニキーフィロア
    アレクサンドル・ソクーロフ
撮影:テレマン・ビュットナー
出演:セルゲイ・ドレイデン
    マリア・クヅネツォワ
    ワレリー・ゲルギエフ



この映画は90分1カットだけです。言葉にするとあっさりした説明になりますが、これがどれほどすごいことなのか、想像することすらできないでしょう。
僕はこの映画の情報を全く得ないままに映画を見ました。長回しが続くなぁと思い、どのくらい続くのだろうと身構えていると、全然カットが切れずに最後までいってしまい、まさか1カットなんて有り得るのかと戦慄を覚え、思わずパンフレットを買い読んでいくと、1カット!だと書いているではありませんか。溝口健二アンゲロプロスどころの話ではありません。
もっとも90分間連続撮影するには、フィルムでは無理なわけで、ハイビジョンカメラを使用しての撮影となっているわけで、技術の進歩があって実現した映画だともいえるわけです。
90分1カットというのは、正直、退屈なものかもしれません。しかも説明はほとんどなく、登場する美術品、展開する時代背景、見る側のそれなりの知識を要求していて、それがなければ全く楽しめないと言っても過言ではありません。よほどの知識がないと一度ではなかなか満足いかないわけで、それ故、何回見ても発見があると思いますが、何せ一度見出したら90分間ノンストップだから、かなり覚悟が必要な映画でもあります。
しかし、頭を真っ白にして見ることができる個所が最後のほうにあります。それは、有名な指揮者ワレリー・ゲルギエフグリンカマズルカを演奏している、社交ダンスのシーンです。マリンスキー歌劇場管弦楽団が演奏する「マズルカ」は2回聴くことができて、1度目はカメラがホール内をぐるぐる回って音楽と共に見ている側も踊っているような感覚になり、2度目はゲルギエフの指揮をじっくり見せてくれて、きっとグリンカマズルカを好きになるでしょう。マズルカってダンスのための音楽なんだと実感することもできます。
演奏が終わると映画はエンディングに向かいます。たくさんの着飾った人々に圧倒され、その中をカメラが悠々と進み、どんどん人々から離れていき、ああもう終わるのか、みんなお疲れさま、お疲れさま自分、お疲れさまカメラマン…僕自身、非常に切ない思いになりました。

エルミタージュ幻想」は2002年のカンヌ国際映画祭に出品されました。結果は何も受賞しなかったみたいです。その年のパルムドールロマン・ポランスキー監督戦場のピアニスト」でした。興行的にもあまり芳しいものではなかったことでしょう。ついでにいうと、日本の制作に携わった会社というのは、あの日本放送協会です。NHKハイビジョンカメラで撮られていたわけです。
この映画が後世残っていくことは間違いないとは思うのですが、今の時代にもっと評価してあげなければ、ソクーロフやカメラマンのテレマン・ビュットナーが報われないと思うのですが、芸術とはそんなものなのでしょうか。
ソクーロフはメイキングのインタビューの中で「芸術を作ろうとした」と語っていました。もしかしたら、この過小評価も織り込み済みなのかもしれません。


96分間、頑張ってみませんか?






2006年11月13日月曜日

アニメ「岸辺のふたり」

岸辺のふたり
2000年 イギリス・ベルギー合作 / カラー・8分画像

監督・脚本・デザイン
 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
音楽監督
 ノルマン・ロジェ
 ドゥニ・シャルラン
音楽:「ドナウ川のさざ波」
 ヨシフ・イヴァノヴィッチ作曲




どこかのレビューに、ノルシュテインが見て「涙が止まらなかった」とコメントしている、と書かれてあったので、それなら見る価値あるでしょう思って、見てみました。
��分という短さが最高です。しかも、字幕など言葉が一切出てこないので絵に集中できます。
全編、逆光の設定、ワルツ曲・ドナウ川のさざ波が物悲しいピアノの独奏…カラー作品なのに、ほとんどモノトーン、話の出だし自体が別れるシーンからで…期待はずれのような気持ちで見始めました。
8分間終了。期待はずれだったのでは、という思いがはずれました。全てが地味であるといっていいこのアニメ、いったい何に心を揺さぶられたのか理解できませんでした。そしてもう一度8分
16分間終了。最初から悲壮感が漂っていて、ドナウ川のさざ波を敢えてピアノの独奏にしたのだろうと認識すると、逆光・モノトーン映像も悲壮感を出すための演出だと分かり、ハッピーエンドのようなラストも実は強烈な悲しみを描いていたのだということに気づかされ、涙が出ちゃいました。
ノルシュテインがある本に、「いつも父への想いが私を追っているのです」ということを語っていたのを思い出し、この作品に対し「涙が止まらなかった」というのが理解できました。
言葉や説明がないのに、これほどまでに気持ちが伝わってくる作品は貴重だと思います。

音楽と映像だけで楽しめる作品っていいですよね。

2006年11月12日日曜日

勝手に三大ギタリスト

その昔、ロック界で三大ギタリストといえば…
エリック・クラプトン
ジェフ・ベック
ジミー・ページ

というのが日本では常識のようなものでした。ヤードバーズの歴代ギタリストがなんでそう呼ばれるようになったのか、大いに疑問ですが、テクニックとフィーリングは大変優れている3人ではあります。
察するに、誰かの個人的見解が一人歩きをして、三大ギタリストなる呼称が定着したと思うのです。であるならば、僕は僕で勝手に三大ギタリストを考えてみようと思い立ったのです。いつの日か、ここから三大ギタリストが定着することを願って、多数列挙いたします。

クラシック編
 アンドレス・セゴビア
 ジュリアン・ブリーム
 ジョン・ウイリアムス


ジャズ編
 ジャンゴ・ラインハルト
 ウエス・モンゴメリー
 タル・ファーロウ


ブルース編
 マディー・ウォーターズ
 B.B.キング
 スティーブ・レイ・ボーン


フュージョン編
 フランク・ザッパ
 パット・メセニー
 ジョン・スコフィールド


ロック編
 ジミ・ヘンドリックス
 カルロス・サンタナ
 エドワード・ヴァン・ヘイレン


プログレッシブ編
 スティーブ・ハウ
 ブライアン・メイ
 デヴィッド・ギルモア


ヘビーメタル
 リッチー・ブラックモア
 イングベイ・マルムスティーン
 ポール・ギルバート


ニューエージ編
 マイケル・ヘッジス
 ウイリアム・アッカーマン
 アレックス・デ・グラッシ


日本編
 高中正義
 高崎 晃
 押尾コータロー 


ワールド編
 アル・ディ・メオラ
 パコ・デ・ルシア
 バーデン・パウエル


異論・反論はあると思いますが、あくまでもこれは個人的見解なので、異論・反論はコメントを送ってください。あと、賛同意見も…
まだまだ素晴らしいギタリストがたくさんいるので、いつかまた強引に項目を設けて紹介したいと思います。

 
 
 

2006年11月11日土曜日

あしたのジョー

漫画あしたのジョー」、いまさらいうのもなんですが、面白いですよね。
アニメあしたのジョー」も当然、面白いのですが、漫画アニメの面白さというのは決して一緒ではないはずです。何せアニメにはという要素が含まれているのですから。

アニメあしたのジョー」では、尾藤イサオテーマ曲は当然素晴らしいのですが、劇中の音楽も非常に素晴らしいです。サントラの曲目を見ると、街のテーマサチのテーマ子供たちのテーマジョーのテーマ力石のテーマ段平のテーマ…と音楽のタイトルが場面やキャラクターになっていました。つまり、街が出てきたら、街のテーマが流れ、そこに子供たちがいれば、子供たちのテーマ、そこへジョーが来ると、ジョーのテーマ、─と音楽を使用することによって、より分かりやすくなっていたのです。
そしてそれぞれのテーマにはいくつかのパターンがあって、例えば、子供たちのテーマには喜怒哀楽を表す曲が4つぐらいあって、曲調によってその場面の雰囲気を伝えようとしているのです。
悲しい場面には悲しい曲が流れることは、映像表現においてごく普通の手法なのかもしれませんが、同じ曲を悲しくアレンジしたり、楽しくアレンジすることによって、より一層分かりやすくなっているのです。同じ曲を曲調変えて気持ちを表現する手法も、別に新しいことではないかもしれませんが─。
サチのテーマその1サチのテーマその2など比較して聞いてみると、アレンジの仕方も色々あるんだなぁと感心してしまいます。スピードを変えてみたり、曲のジャンルをジャズにしてみたりブルースにしてみたりポップにしてみたり、楽器編成を変えてみたり、メインをハーモニカからマリンバに、さらには尺八にしてみたり…とアニメあしたのジョー」をよく聴くことによって、音楽的視野が広がるのではないかと思うくらいです。
アニメ音楽といえば、主にテーマ曲やエンディングテーマ曲を指しますが、劇中歌もなかなか楽しめるものです。「あしたのジョー」のようにオリジナル曲を使用している例もあれば、「銀河英雄伝説」のようにワーグナーやマーラーのような既製の音楽を使用しているものもあります。

映像を見ながら音楽までも楽しめる、なんと素晴らしいことなのでしょう!

♪果てしなき闇の彼方に/荒木一郎