2009年9月17日木曜日

ヤネク・ヴィシニェフスキのバラード

ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダの「大理石の男
冷戦時代のポーランドが描かれていて、明確に理解するには予備知識が必要となるために、なかなか取っつきにくい作品ではあるが、そのタイトルバックがなかなかカッコイイと個人的には思っている─



─全面に広がる黄色のポーランド語、いかにも70年代といったフュージョン的音楽、女声の響き、パンタロン…それらマテリアルが見事に絡み合い、見ている側を幻惑させてくれる。幻惑されたならば、忍耐強く最後まで見て、あまりよく理解できなかったならばポーランドの現代史を学習して、そしてまた再度「大理石の男」を見ればこの映画の本当の素晴らしさを理解することができるだろう。そしてさらに、続編「鉄の男」も楽しむことができるので、必見なのです。

映画「鉄の男」は1981年カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞しているだけに、予備知識なしでも漠然と理解できて、それなりに感動することも出来るだろう。しかし、言わずもがな、その時代背景をよく理解して観賞すれば、その感動は何倍にもなって返ってくる。
個人的には、エンディングに流れる♪ヤネク・ヴィシニェフスキのバラードが非常に気に入っている。



この歌にもしっかりと意味がある。
��970年12月、物価値上げの発表に反発したポーランド・グダニスクのレーニン造船所の労働者がストを開始、市民を巻き込み一部が暴徒化し軍隊が出動、最終的に多数の死者・負傷者を出して事態が収拾された。この「12月事件」の犠牲者の中に青年ヤネク・ヴィシニェフスキも含まれていて、彼の死を悼んで♪ヤネク・ヴィシニェフスキのバラードが生まれる。それが歌い継がれ、やがては労働者の連帯を象徴する歌となったという。



映画「鉄の男」の本編中でも、“ヤネク・ヴィシニェフスキ”がしっかりと描かれているので、どこでどう描かれているのか、ぜひとも確認してみてください。