2011年12月30日金曜日

平和の祈りを込めて

最近、アーティスト、オノ・ヨーコが気になって仕方がない。

彼女を初めて知ったのは、やはりジョン・レノンという存在を介してだった。親しみやすいジョンの音楽に、ヨーコのエッセンスが加わると、途端にとっつきにくい音楽に変わってしまうという偏見を─・・・、はて?どうして持ってしまったのだろう、そんな記憶すらない。とにかく、ヨーコの“音楽”は無意識のうちに避けていたような気がする。
しかし、ヨーコはフルクサスにおいて重要な存在であり、アートにおいてはヴェネチア・ビエンナーレで生涯業績で表彰されるほどの巨匠。彼女の作品を、まずは音楽、ジョンというものを抜きにして眺めてみた、すると、素晴らしき作品群の吸引力でヨーコへの視野が広がった、というより見方が180度変わってしまったといってもいい。

Yoko Ono Artworks (Flickr)

今一度、オノ・ヨーコの音楽を再確認しようかと─。といっても、初めてジョンとヨーコが共演し物議を醸した「未完成」作品第1番~トゥー・ヴァージンズとか次の「未完成」作品第2番~ライフ・ウィズ・ザ・ライオンズWedding Albumなどには、なかなか手を出せないとひよりつつLive Peace in Torontoというものを聴いてみた。ジャケも気に入ったので─



カバー曲とオリジナルが入り混じったもので、演奏の技も巧み。ただ、前半のカバー曲部分を聴くだけだと、何か物足りなく感じる。メンバーがメンバーだけに過剰な期待をしてしまうのか、それとも、アートを鑑賞するがごとくブルース的な音楽を聴くと物足りなく感じるのか─。
後半2曲はヨーコオリジナルの大作。叫びと呻き唸り・・・非常にいい、が、音楽としては大衆には受け入れられないはずだ。ラストのJohn Johnは、マハリシ・マヘシ・ヨギの影響と思われるエスニックな響きが心地よく、クラプトンの絶妙なトーンコントロールなどで、音楽的にも楽しめるかな。

音楽を音楽として聴くとかアートとして聴くとか、なんじゃそりゃ、と我ながら思ってしまうのだが、自覚が薄かったとはいえ、ケージなどの現代音楽を聴く場合には明らかにアート鑑賞、他方、クラシック音楽やポピュラー音楽を聴く場合は音楽鑑賞と明らかに分けていた、と再確認、音楽も芸術と呼ばれるものなのだが・・・。
よし、これからは、とりあえずではあるけれど、音楽という固定された枠組みを壊そうとしているものと、音楽という確立されたものの中で創造されるものとしよう。
そうすると、過去にヨーコが作り出していた音楽は主に音楽という枠組みを壊そうとしていて、ここ最近の音楽は音楽という確立されたものの中で創造されているものが多いような気がする、と自分の中では分析された。めんどっち。

2011年12月22日木曜日

Winter Songs

ビートルズを知り、ビートルズを聴きだしたのは、既にビートルズが解散していて既にジョンが旅立ってからのこと。時代を遡り、彼らのことを文面や映像などで学ぶにつれて、オノ・ヨーコの影もちらついてくる。まるで彼女がひとつの時代に区切りをつけたかのごとく語られる、そして語られるままに捉えて、何も知らないままにただ彼女を毛嫌いし続けた─。

クリスマスが迫ってくると、ジョンとヨーコのハッピー・クリスマスが盛んに流れる。その曲を聴くたびに、ジョンへの憂いだけが頭をよぎる、そしてそこには共に歌っていたヨーコの姿はない。

 

John & Yoko, The Plastic Ono Band with the Harlem Community Choir - Happy Xmas (War Is Over) by Yoko Ono

 

年々、ハッピー・クリスマスを歌う2人の笑顔が明瞭になってくるような気がする。アーティスト、オノ・ヨーコのあらゆる作品を知るにつれて、むしろジョンよりもヨーコの姿が大きくなってくる。ジョン・レノンも惹かれていったオノ・ヨーコの作品の力は並大抵なものではない。

1971年にリリースされたハッピー・クリスマス、シングルレコードのB面にはYOKO ONO名義からなるListen,the Snow is Fallingが収録されていた。

 

Yoko Ono - Listen, the Snow is Falling by Yoko Ono

 

その吸引力に、さらに他の楽曲を貪る─

 

Yoko Ono - Winter Songs by Yoko Ono

 

オノ・ヨーコの存在がどんどん大きくなっていく─


2011年11月25日金曜日

TDKオーケストラコンサート2011

2011年11月24日(木)
サントリーホール 大ホール

指揮:サイモン・ラトル
マーラー: 交響曲第9番
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

開場18:30 開演19:00
S40,000
A35,000
B31,000
C26,000
D21,000
E16,000

 

 

アークヒルズもクリスマスムード

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オークションで強引に手に入れた公演

S席1階16列38番

4万プラスアルファー

必然的に気がはやる

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開場まで10分ある

開場前に着いた記憶がない

散策して時間をつぶす

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えらく長い10分間

甲高く鳴り響くオルゴールの音

開場の知らせ

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着席の第一印象、結構近い

ステージ向かって右側の位置

ちょうどコントラバス隊が賢明に練習

それが正面によく見える位置

 

拍手と同時に楽団の面々が入場。最後にコンサートマスター・樫本大進、拍手の音も最高潮、指揮者のラトルよりも大きいと感じたほど。

第1楽章が静かに鳴り出す。複雑に入り組んだ音がめまぐるしく展開、音の波に体が大きく揺さぶられる。30分にもわたる長大な演奏、披露は相当なものだろう、聴いているこちらまでなぜか大いなる疲れを感じてしまった。それにしても何という荒波を作り出すのか、この楽団は!

第2楽章、ようやく肩の力が抜ける。しかし、そう易々と楽をさせじと敢えて力を込めた演奏を展開。2011アジアツアー最終日、気合というかゲルマン魂を感じる。もっとも、コンマスは日本人で、指揮者はサーの称号を持った英国人であるけれど。

第3楽章でまたまた力む。音の絡み合いが頂点を極め、なんでこれほど複雑怪奇な演奏が一つにまとまっているのか不思議なくらい。ラトルの一挙手一投足に見事に音がついてく。まるで、ラトル自身が魔法を使って音を出しているかのようだ。第1、第2と一拍おいて次の楽章へと進んでいたが、この第3から第4へは続けざまに展開していく。この楽章こそが第4楽章の布石であると言わんばかり。

第4楽章、文句のつけようがないくらいに泣けた。このメロディーを聴くために長きにわたって修業してきたようなもの。第1楽章からの修業ではなく、第1番からの修業、もっと大げさに言えば、生まれてこのかた、この楽章で泣くために修業してきたと言ってもいいような─それほどまでに感動的な演奏。ともに耐えに耐え、疲れ切った波音に包まれながら、最後には死に絶えるように終演していく─そして残ったのは真っ白なサー・サイモン・ラトルであった。

なるほどベルリンフィルの指揮者のカリスマ性

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帰りは徒歩で余韻を楽しむ

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2011年11月6日日曜日

ハートブレイカー

─脳科学者 茂木健一郎さん曰く、脳は嬉しいこと、喜びを感じると中脳というところからドーパミンが前頭葉にでて、その時やっていることを"もっとやりたい"と感じるそうです。
好きな音楽を聴くのも脳を喜ばせるのに有効とのこと。勉強やランニングなど、何かを継続させたい時に試してみてはいかがでしょう?─

そんなことが、ソニーのウォークマンの宣伝広告に載っていた。走るときは必ず音楽を聴いている自分にとって、なかなか説得力のある文句。音楽を聴くことで、どうしても肉体に向かってしまうその気持ちを、少しならず別の方向へと導いてくれる。

先日走っていたとき、ホワイトスネイクの♪Still Of The Nightが流れきた。リリースされた1986年当時、この曲はレッド・ツェッペリンの♪Black Dogに似ていることが盛んに取り沙汰されていた。

 


black dog

 



still of the night

 

冒頭部分がそっくりだ、ということだったが、あんまり似ていない…と個人的には思っていた。単に、ホワイトスネイクのボーカル:デービッド・カバーデイルがレッド・ツェッペリンのボーカル:ロバート・プラントに影響を受けているだけのことではないのか。


David Coverdale
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Robert Plant
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似てる。

あれこれ思いが面白い方向に行くことによって、ランニングの疲労も一瞬忘れることができる。しかし、あまりに音楽に乗ってしまうと、動悸が激しくなってしまう。心肺を鍛え上げることはなかなか難しい。疲労の極地でハートブレイカーが聴こえてくれば、余計に疲労感が増すだけだ。

しかし、その時、長山洋子の♪博多山笠女節が流れてきたらどうだろう。疲労の上に爆笑で、やっぱりギブ必至か─


heartbreaker

 


博多山笠女節

 

自分の勤務する会社の社長から提供していただいたネタ。「ふたつを聴き比べてみて」とのことで、♪博多山笠女節の冒頭を聴いた瞬間すぐ、これは・・・著作権をクリアしてなければ、ひどい、というよりも非常にまずいのでは、という思いに。長山洋子のオフィシャルブログでも、ハートブレイク的な言及一切なし。作曲:黛ジュンのサイトを見ても、もちろん分からず。もはや、レッド・ツェッペリンなどマイナーになってしまったということなのか。数年前、エリカ様がライブを見に行ったとテレビのニュースにまでなっていたのに、楽曲が盗作されてニュースにならないのは理不尽だ!と思いつつ…まぁ世間の関心からして当然か──いずれにせよ、楽曲の使用許可を取っていないのであれば、必ず訴えられることでしょう。みんなで、ジミーとロバートとジョン・ポール、そしてジェイソン・ボーナムに教えてあげましょう。

http://www.ledzeppelin.com/


2011年11月5日土曜日

Cyber Jungle @ VACANT

2011.11.3 (Thu/Holiday)
at VACANT 渋谷区神宮前3-20-13
www.n0idea.com
open 16.30 / start 17.00 ¥2,500
Special Session Live:
Hisham Akira Bharoocha(Soft Circle/Boredoms-Boadrum/Pixeltan)
Butchy Fuego (Boredoms-Boadrum/M.I.A./Pit Er Pat/Nite Jewel/Rainbow Arabia)
Jeremy Hyman(Ponytail / Boredoms-Boadrum)
トンチ
DJ:
山本ムーグ(Buffalo Daughter)
蓮沼執太
VJ:
浮舌大輔(20tn!)
and more!!!!!!!!!!
主催:NO IDEA



��Profile

Hisham Akira Bharoocha (Soft Circle/Boredoms-Boadrum/Pixeltan)
1976 年東京生まれ。ニューヨークのブルックリン在住。音楽以外にもビジュアルアート、写真を中心にマルチクリエーターとして活躍中。エクスペリメンタル・ミュージックの最高峰、Black Diceの元メンバー。現在はSoft Circleという名で活動。2007年の7月7日にニューヨークで行われたボアダムスのパフォーマンス 「77BOADRUM」、2008年8月8日の「88BOADRUM」ではディレクターとして活躍。Soft Circleのニューアルバム「Shore Obsessed」がNo AgeのメンバーDean SpuntのレーベルPPMから昨年リリース。
hishamb.net
www.phosprojects.com



Butchy Fuego (Boredoms-Boadrum/M.I.A./Pit Er Pat/Nite Jewel/Rainbow Arabia)
Boredoms, Sea and Cake, Tortoise等のリリースで知られる米Thrill Jockyの秘蔵っ子バンド、Pit Er Patを 率いるドラマー/マルチ楽器奏者にして、サウンド・クリエイター。Pit Er Pat 最新作 『High Time』で聴かせる幽玄的なサウンド・スケープはButchy自身の録音によるもの。自身作品の他、Pit Er Pat, Red Krayola, These Are Powers, Hecuba, Rainbow Arabia, Soft Circle他、数多くのレコーディングをも手がける鬼才である。
www.myspace.com/butchyfuego



Jeremy Hyman(Ponytail / Boredoms-Boadrum)
www.myspace.com/ponytailtunes



トンチ
スティールパン奏者 唄うたいその他もろもろもろ。 作詞作曲 即興演奏セッションや叩き語り。OOIOOや朝崎郁恵さん、Him他。レコーディングの手伝いや、UAのサポート、などなど。2008年 発音源 すもぐりを リリース。ディスクユニオンやマイスペースで直接うちからも買えますぞ。
http://www.myspace.com/tonchii

山本ムーグ(Buffalo Daughter)
新型ロックバンド、Buffalo Daughter(バッファロー・ドーター)ではターンテーブル、口サンプラー、Vo.その他を担当。他、ソロでのDJやユニットでのギタープレイなどをする。音楽とグラフィックの交差する領域で活動し、CDジャケット、DVD、Tシャツなどのデザインも手掛けている。
www.buffalodaughter.com



蓮沼執太
1983年、東京都生まれ。HEADZをベースに音楽アルバムを多数発表。代表作に『POP OOGA』(2008) など。現在、東京藝術大学大学院映像研究科研究生。
www.shutahasunuma.com



浮舌大輔(うきした・だいすけ)
グラフィックデザイナー・作曲家
1981年静岡県生まれ。ど雑食メディアレーベル、『20TN!』(ニジュッテン)主宰。
2010年3月、20TN!と手裏釼プロデュースによるultimate space / cafe / office 『FORESTLIMIT』を渋谷区幡ヶ谷にオープン。2010年9月bccks(天然文庫)第三弾より『パーツウープリー』発売。
http://kimimo.web.fc2.com
http://forestlimit.com

 

 

 

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2011年10月26日水曜日

Frisell plays Lennon

All We Are Saying

Bill Frisell(g), Jenny Scheinman(violin), Tony Scherr(b), Greg Leisz(g), Kenny Wollesen(ds)
Savoy Jazz 2011/9/27


1. Across the Universe
2. Revolution
3. Nowhere Man
4. Imagine
5. Please Please Me
6. You've Got to Hide Your Love Away
7. Hold On
8. In My Life
9. Come Together
10. Julia
11. Woman
12. # 9 Dream
13. Love
14. Beautiful Boy
15. Mother
16. Give Peace a Chance




ジョン・レノンとビル・フリゼールをシンクロさせるドローイングを見た瞬間に聴かずにはいられない衝動にかられる。あくまで原曲に忠実な再構成、しかしながら、原曲にとらわれすぎることなく、バイオリンを含めたクインテットの魅力を存分に堪能。SIGN OF LIFEでも素晴らしいハーモニーを響かせていた、Jenny Scheinmanとビル・フリゼールによるバイオリンとギターの何とも絶妙なコラボレーションが非常に心地よい。バイオリンとギターのみで演奏される13.LOVEなどはその最たるもの。そこから14.Beautiful Boyへとつながっていくその流れ─感動です。

よく練られているひとつひとつを聴けば聴くほどはまっていく─


2011年10月20日木曜日

evening song (esti dal) 夕ぐれの祈り

きょうは寒かった─

 

タカ・イシイ・ギャラリーのHPに『Daido Moriyama "Photobook ACCIDENT installation" 森山 大道 写真集「ACCIDENT」 インスタレーション展』という記載を目撃。タカ・イシイ・ギャラリーへのアクセスを調べると、近くのバス停から一本で行ける。ということで早速出掛けてみた。

 

それにしても、ホント、寒かった。

 

清澄庭園を通り抜けてゆくその道程とともに、大きなる期待。

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この木は何という木だったか・・・

ウォークマンから聴こえてくるのはコダーイのevening song

寒さゆえ敬虔な気持ちで庭園・公園を通り抜ける。

 

マップを見るとギャラリーは倉庫の5階ということ。確かに倉庫がある。しかし、なかなか入り口を見つけることができず、周辺をぐるりと一周、どうやらここだと思う場所は、裏口っぽくて、入っていくにはなかなか勇気がいるような所。奥まった所に看板を発見して、ようやく場所を確信─

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どうやって5階へ行くのか?

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貨物用のエレベーターで5階へと誘導される。ようやく到着したその場所には、森山大道の写真などなくて、見知らぬ写真がプロジェクター淡々と映し出されているだけ。完全に違う・・・

どうやら森山大道はタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(六本木)での展示だったらしい。清澄白川から六本木はすぐ。行くべきか否か─

その前に、150円で清澄庭園を散策

 

寒い!

evening song を聴きながら敬虔に歩く─

 

清澄公園

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清澄庭園150円也

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飼いならされた鯉と亀の強欲さには驚きつつも、なぜか愛らしく感じてしまう。ただ、数匹単位で餌を求めてくるのはまだいいとしても、十数匹ともなってくるとさすがに恐怖だ。

 

寒さで何度も公衆トイレに駆け込んだので、早く散策を切り上げ、暖ある電車に乗り込み六本木へと向かう。

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半ば新作写真集販売目的の非常に小さな展示ではあったけれども、写真のインパクトは物凄いもの。これを誰かに丁寧にセールスされたら、もしかしたら購入したかもしれない(べらぼうに値が張るものでなければの話だが─)。しかし、決してブルジョワには見られることはなかったであろう自分は、全くの野放し。庶民はこれを肥やしに街を撮りまくるしかないのかな。

ギャラリーの近くには○○ブックセンターが必然的に存在し、自分もみごとに呑み込まれる。そして、安価な写真集やら文庫・新書などを購入。してやられたわけだが、何かこちらも多少得した気分になる。なかなか上手くできているものだ。