2006年10月31日火曜日

Buster Keaton

バスター・キートン映画といえば、間違いなくコメディーに分類されるのでしょうが、アクション映画として見るのも悪くない。

「文化生活一週間(キートンのマイホーム)」
��One Week)

家一軒まるごとメリーゴーランドのように回転
機関車が家に突っ込む

「キートン将軍(キートンの大列車強盗/キートンの大列車追跡)」
��The general)

機関車を丸ごと燃やす
機関車と橋を丸ごと破壊
山を燃やす

「キートンの船長(キートンの蒸気船)」
��Steamboat Bill,Jr.)

偽装ハリケーンを起こし、家屋を破壊→街の破壊

「キートンの西部成金(キートンのゴー・ウェスト!)」
��Go West)

何百、何千という牛で街を埋め尽くす

すべてのキートン映画
相当危険な転び方
相当危険なノースタント

ごく一部の過激なところをピックアップしてみました。映像は文章以上に過激です。

「キートン将軍」は南北戦争を背景に描かれているのですが、南軍・北軍の衝突シーンで、あの有名な橋と列車の崩落を見ることができます。その撮影の際、あまりに火の演出が過激すぎて山火事を引き起こし、それが大規模になりかかったらしい。またキートンが大砲でお尻を撃たれるシーンがあるのですが、空砲であったものの火薬が多すぎて、撃たれた瞬間しばらく気絶してしまったらしい。そんな命懸けのコメディー映画だったのです。

「文化生活一週間」は短編なのですが、キートンワールドが詰め込まれているので、ビル・フリーゼルの音楽を聴きながら楽しんでみてはいかかでしょうか。





YouTubeサバイバー「Eye of the tiger(ロッキーの挿入歌)」に合わせて、「キートンの大学生」が編集されている映像があります。誰が作ったのかわかりませんが、大変すばらしいので、見て笑ってください。

2006年10月30日月曜日

Bill Frisell

1人の音楽家を追っていると、様々な音楽に触れることができる。
ジャズギタリスト(とされている)、ビル・フリゼール追ってみた。

In Line
画像
Bill Frisell - guitar (acoustic), guitar, composer, guitar (electric)
Arild Andersen - Bass, guitar, bass (electric), double bass
Song List:
1.Start
2.Throughout
3.Two Arms
4.Shorts
5.Smile on You
6.Beach
7.In Line
8.Three
9.Godson Song

※このアルバムだけを聴けば、ビル・フリゼールはミニマル音楽の人だと思うかもしれません。



Before We Were Born
画像
Bill Frisell - electric and acoustic guitars
Arto Lindsay - electric guitar
Peter Scherer - keyboards and drum programming
Hank Roberts - cello, voice
Julius Hemphill - alto saxophone
Billy Drewes - alto saxophone
Doug Wieselman - baritone saxophone
Cyro Baptista - shaker
Kermit Driscoll - electric and acoustic basses
Joey Baron - drums, percussion, electronics
Song List:
1. Before We Were Born/Some Song and Dance
2. Freddy's Step
3. Love Motel
4. Pip, Squeak
5. Goodbye
6. Hard Plains Drifter
7. The Lone Ranger
8. Steady, Girl

※フュージョンというかジャズというかアバンギャルドというか─、尖った演奏を堪能できます。



Have a Little Faith
画像
Bill Frisell - guitar
Don Byron - Clarinet, Bass Clarinet
Guy Klucevsek - Accordion
Kermit Driscoll - Bass
Joey Baron - Drums
Compositions by Aaron Copland, Charles Ives, Bob Dylan, Muddy Waters, Sonny Rollins, Madonna, John Phillip Sousa, Heyman &Young and John Hiatt.
Arranged by Bill Frisell.
Song List:
Billy the Kid
1.The Open Prairie
2.Street Scene In A Frontier Town
3.Mexican Dance And Finale
4.Prairie night (Card Game At Night), Gun Battle
5.Celebration After Billy's Capture
6.Billy In Prison
7.The Open Prairie Again

8.The "Saint-Gaudens" In Boston Common (Excerpt #1)
9.Just Like A Woman
10.I Can't Be Satisfied
11.Live To Tell
12.The "Saint-Gaudens" In Boston Common (Excerpt #2)
13.No Moe
14.Washington Post March
15.When I Fall In Love
16.Little Jenny Dow
17.Have A Little Faith In Me
18.Billy Boy

※ジャズとロックとポップスと─。アイブス、デュラン、マディー・ウォーターズ、ソニー・ロリンズ、マドンナ…ビル・フリゼールはアレンジもすばらしい。アルバム・タイトルになっている、ジョン・ハイアットの曲をぜひ聴いてみてください。



Deep Dead Blue, Live at Meltdown
画像
Bill Frisell - guitar
Elvis Costello - vocals
Song List:
1.Weird Nightmare
2.Love Field
3.Shamed Into Love
4.Gigi
5.Poor Napoleon
6.Baby Plays Around
7.Deep Dead Blue

※ジャンルを越えて活躍している2人、共演するのも自然なことかもしれません。



The High Sign/One Week: Music For The Films Of Buster Keaton
画像
Bill Frisell - electric and acoustic guitars
Kermit Driscoll - electric and acoustic basses
Joey Baron - drums and percussion
All compositions by Bill Frisell.
Song List:
The High Sign
1.Introduction
2.The High Sign Theme - Help Wanted
3.Target Practice
4.The Blinking Buzzards
5.Good Shot - Swearing In - Shooting Gallery
6.Chase - Cop
7.The High Sign Theme - At the Home of August Nickelnurser
8.Chase - Caught
9.The High Sign Theme

One Week
10.One Week Theme - The Wedding
11.Reckless Driving
12.Construction
13.Oh Well - The Piano
14.Fight
15.Oh Well - The Bath Scene
16.Housewarming Party & Storm
17.One Week Theme - Aftermath
18.Here Comes the Train
19.Oh Well

※バスター・キートンのサイレント映画「ザ・ハイ・サイン」と「文化生活一週間」 のバック音楽として作られたアルバム。効果音を巧みに音楽の中に組み入れている。試しに映像と音を組み合わせて映画を見てみたら、非常に面白かった。
「Music for the Films of Buster Keaton Go West」も同時にリリースされている



Nashville
画像
Bill Frisell - guitar
Viktor Krauss - bass
Jerry Douglas - dobro (tracks 1-6,9-10,12)
Ron Block - banjo (tracks 2,6,8,11,13-14) acoustic guitar (tracks 3, 7)
Adam Steffey - mandolin (tracks 2-3, 6-8,11, 13-14)
Robin Holcomb - vocals (tracks 3,6,13)
Pat Bergeson - harmonica (tracks 2, 8)
Song List:
1.Gimme A Holler
2.Go Jake
3.One of These Days
4.Mr.Memory
5.Brother
6.Will Jesus Wash the Bloodstains From Your Hands
7.Keep Your Eyes Open
8.Pipe Down
9.Family
10.We're Not From Around Here
11.Dogwood Acres
12.Shucks
13.The End of the World
14.Gone

※純粋なカントリー音楽のアルバムです。



Richter 858
画像
Bill Frisell - guitars and electronics
Hank Roberts - cello
Jenny Scheinman - violin
Eyvind Kang - viola
Song List:
858 - 1
858 - 2
858 - 3
858 - 4
858 - 5
858 - 6
858 - 7
858 - 8

※抽象画家ゲルハルト・リヒターの画集RICHTER 858の付録CDが単独で発売されたのがこの作品。現代音楽とインプロヴィゼーションの世界です。



Petra Haden & Bill Frisell
画像
Petra Haden - vocals, violin
Bill Frisell - electric and acoustic guitars, loops
Song List:
1.Satellite
2.Floaty
3.Bai-laa Taigam
4.Moon River
5.Yellow
6.I Don't Want to Grow Up
7.The Quiet Room
8.When You Wish Upon a Star
9.I Believe
10.John Hardy Was a Desperate Little Man
11.I've Got a Crush On You
12.Throughout

※ぺトラ・ヘイデンとはあのチャーリー・ヘイデンの娘さんらしい。ニューエージのようで非常に聴きやすい曲ばかりです。



Bill Frisell, Ron Carter, Paul Motian
画像
Bill Frisell - guitar
Ron Carter - bass
Paul Motian - drums
Song List:
1.Eighty-One
2.You Are My Sunshine
3.Worse and Worse
4.Raise Four
5.Pretty Polly
6.On the Street Where You Live
7.Monroe
8.Introduction
9.Misterioso
10.I'm So Lonesome I Could Cry

※ビルは「Blues Dream」というアルバムの中で、「ロン・カーター」という曲を書いています。それが縁となってのアルバムでしょうか?



Naked City
画像
Wayne Horvitz (keyboards)
Bill Frisell (guitar)
Fred Frith (bass)
Joey Baron (drums)
John Zorn (saxophone)
Yamatsuka Eye (vocals)
Song List:
1. Batman
2. Sicilian Clan
3. You Will Be Shot
4. Latin Quarter
5. Shot in the Dark
6. Reanimator
7. Snagglepuss
8. I Want to Live
9. Lonely Woman
10. Igneous Ejaculation
11. Blood Duster
12. Hammerhead
13. Demon Sanctuary
14. Obeah Man
15. Ujaku
16. Fuck the Facts
17. Speedball
18. Chinatown
19. Punk China Doll
20. N.Y. Flat Top Box
21. Saigon Pickup
22. James Bond Theme
23. Den of Sins
24. Contempt
25. Graveyard Shift
26. Inside Straight

※ビルはジョン・ゾーンとたくさん共演していて、その影響は計り知れないと思います。不思議なことに2人のジャズマンが組むと、そこから生まれる曲はジャズとは全く無縁のものなのです。ネイキッド・シティーには山塚アイとフレッド・フリスという2人のノイズ系アーティストが参加しています。



Sound of Summer Running
画像
Marc Johnson : bass
Bill Frisell : electric and acoustic guitars
Pat Metheny : electric and acoustic guitars, 42-string pikasso guitar
Joey Baron : drums, tambourine
Song List:
1.Faith in You
2.Ghost Town
3.Summer Running
4.With My Boots On
5.Union Pacific
6.Porch Swing
7.Dingy-Dong Day
8.Adventures of Max and Ben
9.In a Quiet Place
10.For a Thousand Years

※パット・メセニーもあらゆる音楽家と共演してます。このアルバムのリーダーはマーク・ジョンソンで曲は全てポップで爽やかです。パットとビルのソロを聴き比べて楽しんでください。



Cobra
画像
On CD 1:
Jim Staley / trombone
Carol Emanuel / harp
Zeena Parkins / harp
Bill Frisell / guitar
Elliott Sharp / doubleneck guitar/bass, soprano, voice
Arto Lindsay / guitar, voice
Anthony Coleman / piano, harpsichord, celeste, Yamaha organ
Wayne Horvitz / piano, Hammond organ, celeste, DX7
David Weinstein / Mirage sampling keyboards, celeste
Guy Klucevsek / accordion
Bob James / tapes
Christian Marclay / turntables
Bobby Previte / percussion
John Zorn / prompter
On CD2:
J.A. Deane / trombone synthesizer, electronics
Bill Frisell / guitar
Elliott Sharp / doubleneck guitar/bass, voice
Anthony Coleman / piano, pipe organ, Yamaha organ
Wayne Horvitz / piano, DX7
David Weinstein / Mirage sampling keyboards
Guy Klucevsek / accordion
Bob James / tapes
Christian Marclay / turntables
Bobby Previte / drum machine
John Zorn / prompter
Song List:
CD 1
Cobra: Studio Version
1. Opening
2. Allegro
3. Largo
4. Moderato
5. Fantasia
6. Presto
7. Adagio Maestoso
8. Violento
9. Allegro Scorrevole
10. Capriccio Con Gusto
11. False Start/Giocoso
12. Scherzo
13. Maestoso Meccanico
14. Variations/Furioso
15. Epilogue

CD 2:
Cobra: Live Version
16. Prologue/Maestoso
17. Capriccio
18. Prestissimo
19. Lento/Mysterioso
20. Allegro

※たくさんの人が共演してますが、実際、誰が何をしているのか全然分かりません。当然ビルも、どこにいるの?っていう感じです。ビル・フリゼールはこんなアバンギャルドな作品にもたくさん出没するということだけ分かればいいかな…それにしても、このCOBRAを実際に見たかったですねぇー。

上記のアルバム全て聴いてみれば、かなりの音楽体験ができるはずです。穏やかな顔しているのにスゴイヤツなんです、ビル・フリゼールは─。

2006年10月29日日曜日

チューニング

楽器を弾く前にはチューニングが不可欠です。とくにグループで演奏する場合、しっかりと音を合わせないと、音での意思疎通ができません。ピッタリ調和させたいところ─、不協和音を出したいところ─、微妙な音のずれがあると音楽が意図するところを表現できないのです。
オーケストラのコンサートでは演奏する前に、オーボエバイオリンなどが出すA(ラ)の音に全員が合わせます。微妙にずれていたものが徐々に調和して最後には1つの塊になる瞬間、大変気持ちがいいものです。

一般的にギターの6本の弦は6弦=E(ミ)、5弦=A(ラ)、4弦=D(レ)、3弦=G(ソ)、2弦=B(シ)、1弦=E(ミ)という音階になっています。正確にチューニングするのは結構、技術や熟練度が必要です。弦楽器には張力があるために何度も反復してチューニングをしなければならず、さらに演奏最中にも音程が狂るうときがあるので、そのたびに微調整をしなければなりません。どんなに超絶技巧を用いてギターを弾いたとしても、正確な音で1音1音を丁寧に気持ちを込めて弾いた音楽には敵いません。チューニングとは楽器の命といえるでしょう。

また、ギターでは、EADGBEという通常のチューニングとは違った変則チューニングというものが存在します。DADF#AD…オープンDチューニングDGDGBD…オープンGチューニングDADGBE…ドロップDチューニングDADGAD…モーダルDチューニングDADDAD…ユニゾンDチューニングなど様々な変則チューニングがある。奏者によっては独自のチューニング方法をもっていて、ウィンダム・ヒルギタリスト:マイケル・ヘッジスなどは曲ごとにチューニングを変えたというし、パット・メセニーなどはステージにたくさんのギターを置いているのですが、それらはトーンなどの変化と同時にチューニングも変えてあるのです。ポール・サイモンジョニ・ミッチェル変則チューニングを多様したらしいし、クラシックギターの楽曲でも変則チューニングの曲は存在します。
試しに変則チューニングをしてみると、今までにない音色を手にできたような感動をおぼえるはずです。そして新たなイメージが沸いてくることでしょう。ただ、変則チューニングをすると張力バランスが崩れるので、チューニングがさらに難しくなります。調和された音を出すのに一苦労、出せたとしてもすぐに音がずれてきて、またチューニング…それが何度も繰り返されることでしょう。そのうち変則チューニングに楽器が慣れてくると音は安定し、ギターの新世界が見えるかもしれません。ただし、それをまた通常チューニングにしようとすると、調和させることにまた一苦労することでしょう。

音楽のはじまり、それがチューニングだといえるかもしれません。




2006年10月28日土曜日

John Zorn's コブラ

コブラ」という作品は、即興演奏を統御するルールを“作曲”とみなした、ゲームピースと呼ばれる作品の一つです。ゲームピースという形式は、即興演奏をする際の新しい方法として、NYの作曲家:サックス奏者ジョン・ゾーンによって1970年代の後半から研究されはじめました。
ジャズの即興演奏のスタイルは、1950年代からのバップの流行によって、コード進行を頼りに音のラインを作るやり方から、1960年代のモード、と派生し、1960年代後半には完全フリーに達し、理論的にはなにをしてもよい、という状況にまで達しました。
その後の世代に属するゾーンは、次の即興演奏の可能性を考えた末、スポーツやゲームなどのルールを即興演奏に持ちこむことを思いつき、このゲームピース形式の作品を作りはじめたようです。

コブラ」では、演奏を指示する20枚程のカードを使い、ゲームのように演奏が進められて行きます。約10人ほどの演奏者が半円状に並び、彼らの前に指示カードを出し入れしながら全体に指示を与えるプロンプターが位置します。それぞれのカードには目や耳などに触れて出すキューが決まっており、演奏者が次のカードを要求できるようになっています。カードの指示には、音量の上げ下げから、演奏内容を変えよ、とか、他の演奏者の演奏を引き継げ、といったものまであります。それらのカードのやりとりの中で“戦い”ながら、演奏者は音楽を作っていくことになります。
演奏者からの注文を受けてプロンプターはカードを提示し、演奏が始まり、また演奏者から終了の注文を受けた時に、プロンプターは終了の合図を送り演奏は終わります。
ところが、途中でプロンプターの意思に逆らう演奏者が出現し、それを“ゲリラ”と呼びます。演奏者の1人が拳を握って高く突き上げたとき、ゲリラが出現し、ゲリラのボスは他の2人を仲間に引き込みます。ゲリラは他の演奏者に勝手に指示を下して、演奏を終わらせることもできます。ゲリラ抹殺要求が他の演奏者から出た場合、ボスは誰から要求が出たのか当てる必要があり、当てれば続行、外せばゲリラは死にます。また、ゲリラは自殺できます(首のところを指で横一文字)。

上記の説明では「コブラ」をあまり理解できないかもしれませんが、要するに何をしてもいいわけです。プロンプター演奏者を“部隊”と称し、その楽器編成も多種多様です。過去の演奏を例としてあげましょう。

【太田恵資部隊】
青木香葉 ベリーダンス
荒巻朋康 フルート、ナイ、ズルナほか
上野洋子 ボーカル
ウォルティー・ブヘリー パンフルート
太田恵資 バイオリン
大坪寛彦 ベース
海沼正利 パーカッション
クリストファー・ハーディ パーカッション
高木潤一 ギター
高良久美子 パーカッション
常味裕司 ウード

巻上公一 〔プロンプター〕

【坂本弘道部隊】
青木タイセイ トロンボーンほか
石川浩司 パーカッション
おおたか静流 ボイス
菊地雅晃 ウッドベース、エロクトロニクス
鬼怒無月 ギター
栗原正己 リコーダーほか
駒沢裕城 ペダルスチールギター
坂本弘道 チェロ、エフェクト、ボイス
四家卯大 チェロ
とうじ魔とうじ 特殊音楽家
藤井珠緒 パーカッション
HONZI バイオリン
横川タダヒコ エレキバイオリンほか

巻上公一〔プロンプター〕

【直川礼緒部隊】
権藤知彦 ディジュリドゥ
逆瀬川健治 タブラ
新川哲弥 トーキングドラム、ジェンベ
関根秀樹 うなり木、梓弓
直川礼緒 口琴
立川叔男 ハーディガーディ
辰野基康 シタール
的場直人 スリン、トーキングドラム
丸田美紀 箏
八木美知依 箏

巻上公一〔プロンプター〕

【竹間ジュン部隊】
池上眞吾 三絃
秋元カオル ギタ-、ヴォーカル
太田恵資 バイオリン
大坪寛彦 コントラバス
菅原久仁義 尺八
竹沢悦子 箏
竹間ジュン ナイ、レク
福岡ユタカ ヴォーカル
松田嘉子 ウード
松前公高 シンセサイザー、サンプラー
吉見征樹 タブラ

巻上公一〔プロンプター〕


この例はごく一部です。このほかにも、ボイス限定とか雅楽限定の部隊もありました。例をよく見ると分かると思いますがダンスなども含まれていて、演奏と同時にパフォーマンスも重要な要素となっています。プロンプター演奏者とのやりとり、演奏者演奏者とのやりとり、それを見るのも「コブラ」にとっては重要なのです。
コブラ」を収録したCDも販売されています。しかし、それを聴いても謎が深まるばかりだと思います。実際に見なければ「コブラ」を理解できないでしょう。見ても全く理解できないかもしれませんが…
月1回、渋谷「ラ・ママというライブハウスで「コブラ」が演奏されているみたいです。「コブラ」がこれからどうなるのか、また音楽がこれからどうなっていくのか、実際に確かめてはいかがでしょうか。

2006年10月27日金曜日

デレク・ベイリー

インプロヴィゼーション=即興演奏、その究極を追い求めたのがデレク・ベイリーだ。

ベイリーの音楽を聴くと衝撃を受けるだろう。もしくは全く理解できない─、これは音楽といっていいのかどうか─、何のためにこのような演奏を続けるのか─、ノイズ・雑音─…のCD1枚聴きとおすのはつらいかもしれない。

エレクトリック・ギターを用いて決してメロディーやフレーズを弾かない。これがベイリーの音楽。
フリー・インプロヴィゼーションというカテゴリーに分類される。
フリー、自由に…人は自由に演奏しろと言われたらどのように演奏するのか、楽器を弾けない人も含めて─。何かメロディーとか曲、形式をイメージしないと意外と弾けないもので、非形式的なものを出そうとするのはものすごく難しいことで、あらゆる経験と思考が求められるものだ。フリー、自由という概念すら何なのか分からなくなってくる。

即興演奏というのは全ての音楽に存在する。一見、即興とは無縁のように思えるクラシック音楽においても例外ではない。ハープシコード奏者:ライオネル・ソルター氏は「譜面とういうのは単に記憶を呼び覚ますものであり、たとえばバイオリン奏者はパートに装飾をつけることをあらかじめ期待されている。ヘンデルのソナタを演奏する場合、楽譜に忠実にやったらたぶんヘンデルにいやというほど笑われるでしょう。当時の作曲家たちは演奏家でもあって、譜面に全ての音符を書くということはせず、ここで何か特定なことをしようということで音符を書きとめていただけなのです。…中略…グループでの演奏で、バイオリン奏者や他の弦楽器奏者が、ハープシコード奏者に何かを創造するよう駆り立てたり、その逆、ハープシコード奏者が最初に何かを思いつき、それに他のメンバーがしたがったりするのです。」と語っている。(デレク・ベイリー著『インプロヴィゼーション~即興演奏の彼方へ~』より)
私たちはあまりに録音された演奏に慣れ過ぎていて気が付かないだけで、生の演奏を見えれば分かるように、即興演奏はどんな音楽にも多少なりとも常に存在している。そしてその即興的要素が創造へとつながって、新しい何かを生み出しているのではないだろうか。

インプロヴィゼーションは議論や判断を必要としていない。演奏場面にいる音楽家としての存在に含まれている創造的意欲に合致し、また音楽家の全存在を音楽創造という行為に巻き込むものであるからこそ、インプロヴィゼーションは存在する。他のなにものもこれはできない。」(『インプロヴィゼーション~即興演奏の彼方へ~』より)
ベイリーの音楽、時にそれは創造を刺激してくれて、時にそれは何かを壊す。
2005年12月24日、デレク・ベイリー死去、享年75。
ベイリーによって何が生まれ何が壊されたのか─。ベイリー亡き後、新たな音楽が創造されるのか─。デレク・ベイリーの音楽をじっくり聴けばその答えは見えてくるかもしれない。

2006年10月25日水曜日

雨の歌

の日が続くと嫌ですね。は災害も引き起こすし…。しかしのバカヤローとばかり言ってはいけません。の恩恵は計り知れないのです。雨の歌もその一つ。探ればたくさんありますよ、雨の歌。その中から気になった曲を記録しておきます。
ちなみにこれは氷山の一角にすぎません。また世の中の雨の歌を全て聴いているわけではないので、ほかにおすすめの雨の歌があったら教えてください。

悲しき雨音/カスケーズ
雨にぬれても/B.J.トーマス
雨の日の女/ボブ・デュラン
レイニー・デイ・クロスロード・ブルース/ドゥービー・ブラザーズ
雨を見たかい/CCR
レイニー・デイ・マン/ベーコン・ブラザーズ
雨の日と月曜日/カーペンターズ
ファイアー・アンド・レイン/ジェームズ・テイラー
雨に唄えば
九月の雨(September in the rain)
雨ぶりのあとで/アンドレ・ギャニオン
ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調 作品78<雨の歌>/ブラームス
版画Ⅲ.雨の庭/ドビュッシー
前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28-15<雨だれ>/ショパン
雨の日/高田 渡

常にジーン・ケリーのようにの中で歌っていたいものですよね。

2006年10月24日火曜日

楽器を演奏するということ

小学校─授業でハーモニカリコーダーを習って、ブラスバンドでシンバルをやらされる。
中学校エレキギターに興味をもち、購入。ギターと格闘し卒業記念演奏をする。
高校ギターに没頭し、学祭・お祭り・自主演奏会など、コピーバンドで演奏する。
大学クラシックギターの曲を懸命に練習。ひたすら練習のみ。
現在─バンドでベースを担当。個人練習はほとんどしていない。

これが僕の演奏履歴書です。

楽器の覚え始めのころというのは、なかなかすぐには上達しないため結構つらいものです。特に、小学生のころなんて押し付けられて演奏していたわけなので、演奏することの楽しさというのは全然理解できなかったわけです。
自ら興味をもったギターでは技術的に上達していくことへの喜びは感じつつも、いざ演奏しだすと間違えることへの恐怖ばかり考えて、演奏そのものを楽しむことはあまりなかったのです。
間違わないくらいの技術があれば、もっと演奏が楽しくなると思って、クラシックギターにも手を伸ばし、ひたすら技術を磨き続けていました。クラシックギターというのは1音1音を表現すること自体難しくて、目標の♪アストゥリアス♪アルハンブラの想い出までには到底到達できませんでした。それでも定番の♪愛のロマンス♪ブーレリュート♪G線上のアリアなど弾けるようになりました。その過程で演奏することは音を鳴らすことではなくて、音を表現して1つの曲を創造していくことなのだとようやく分かったのです。ひたすら指のポジションを気にしていては最後まで弾くことができず、逆に目をつぶって自らが奏でる音に耽りながら演奏することでゴールまでたどり着き、ある1つの時間を成立させることができたのです。
演奏で何かを表現することにはそれなりの技術が必要で、それを身につけるための努力も必要でしょう。しかし上手に弾くことの前に、どう創造してどう表現していくかが重要なのです。それに早くから気が付いていたら、もっと練習も演奏も楽しめたことでしょう。

僕はギターを始めたころからギターばかりにこだわってきました。それはもっと上手にギターを弾きたかったためであるからで、聴く曲もものすごく偏っていて音楽への視野が狭かったように思います。演奏が楽しく思え始めてからは、不思議とギターへのこだわりなどなくなってきて、今ではそれこそ不思議なことにベースを主に弾いています。常にアドリブ。その場その場でどう音を出してどう表現していこうかということばかり考えているので、非常に楽しいです。もう少し練習をして、聴いてる人への配慮も考えなければいけないとは思っているのですが…練習はやはりつらいですよね。

2006年10月23日月曜日

Andres Segovia/John Williams

全てのクラシック音楽はカバー曲のようなもので、誰が指揮した・演奏したということが重要な要素であり、それらを比較することが1つの楽しみでもあるでしょう。
クラシックギターの場合、まずはアンドレス・セゴビア(Andres Segovia 1893-1987)を聴いて、それからジョン・ウイリアムス(John Williams)を聴く、というのがよいでしょう。

ジョン・ウイリアムスセゴビアの門下にあって、セゴビアから賞賛されてデビューしたらしいのですが、テレビでジョン・ウイリアムスは「セゴビアの指導法が厳格すぎ」てあまりよくないと批判的発言をしていたのを覚えています。

♪アストゥリアス(アルベニス)♪前奏曲~無伴奏チェロ組曲第1番(バッハ)、この2曲を聴けば2人の特徴が明確に知ることができるでしょう。簡単にその特徴をいうと、♪アストゥリアスはトレモロを使用した技巧的な曲で正確無比な演奏をするジョン・ウイリアムスの演奏がすばらしく、一方♪前奏曲は流れるよう自然に弾くセゴビアの演奏がすばらしい。2曲とも有名だから、2人の演奏の違いをよく感じることができると思います。

次にセゴビアが演奏する♪魔笛の主題による変奏曲(ソル)♪ロス・ピーノスのロマンセ(モレノ・トレーバ)ジョン・ウイリアムスが演奏する♪最後のトレモロ(バリオス)♪アルハンブラの思い出(タルレガ)を聴いてみてください。2人の特徴を少しでも分かっていれば、もしかしたら聴いていて鳥肌が立つかもしれません。

クラシックのこのような特徴はJAZZの世界でも顕著に見られます。以前紹介した♪サムワン・ウオッチ・オーバー・ミー♪枯葉♪キャラバンといったスタンダードと呼ばれるものがそうです。1つの曲を様々な形で演奏されるのを聴けば、音楽的視野が広がっていくことでしょう。そして演奏することもまた創造的な活動なのだと理解できるはずです。

2006年10月22日日曜日

ヘビーメタル

クラシックというカテゴリーの中にはオペラ器楽声楽管弦楽室内楽など更に分類されていまして、同様にJAZZの場合にはフュージョンモダンスウィングフリーなど、音楽のジャンルはものすごく多岐にわたっています。
特にジャンル分けが多いものとしてヘビーメタルをあげることができるでしょう。
LAメタルNYメタルスラッシュ・メタルパワー・メタルデス・メタルブラック・メタルゴシック・メタルクリスチャン・メタルクラシック・メタルメロディック・メタルドゥーム・メタルラップ・メタル………
たくさんあり過ぎていい加減なように思われてしまいそうですけど、かなり適切に分類されています。1つ例をあげますと、クリスチャン・メタルという分野のストライパーというグループは、真のクリスチャンだそうで、十数何年前に解散していて─その時の解散理由は布教活動に専念したいから─数年前再結成、発売したCDの特典として聖書が付いてくるという粋な計らいもあったそうです。ついでに申しておきますと、クリスチャン・メタルでバンドを検索した場合ストライパーのほか1バンドぐらいしか出てきません。ヘビメタは1つ1つのバンドのオリジナリティーが強いということなのでしょうか。ヘビーメタルって楽しいですよ。
僕はもの心が付いた頃、ヘビメタに多少の偏見を抱いていたのですが、スラッシュ・メタルに属するメタリカというバンドに電撃を受け、同じくスラッシュ・メタルテスタメントというバンドからJAZZにも興味をもち、ギタリストのイングベイ・マルムスティーンからクラッシクを学び─その後の音楽人生においてヘビメタには大変お世話になりました。今でもたまにヘビメタを聴きますが、本当にヘビーメタルって楽しいですよ。

2006年10月21日土曜日

パット・ブーン

画像
アメリカンポップの名曲として♪砂に書いたラブレター♪涙のムーディーリバーがよく上げられていますが、僕は何度聴いてもパット・ブーンが好きになれなかったのです。デビュー当時の1950年代には硬派のパット、軟派のスと並び称されていたようですが、全然エルビスの方が勝ちだと思うんです、正直。娘のデビー・ブーンの♪恋するデビーのほうがよっぽど好きです。

つまり僕はパット・ブーンが大嫌いだったわけなのです。しかし、1997年に大好きになりました。「メタルバカ一代!!!」という衝撃のアルバムをパットが出したのです。

若かりし頃、僕はギラギラしたヘビメタにはまっていました。メタリカ、ガンズ&ローゼズ、オジー・オズボーン…よく聴いた面々の曲を硬派だったパットが歌ているのです。そのジャケットのサブタイトルには「NO MORE MR. NICE GUY」と書かれてありました。パット・ブーンス・プレスリーを超えた瞬間ではないでしょうか。

音楽には無限の可能性が秘められている、とパットが言ったとか言わないとか…

2006年10月20日金曜日

コーヒーブルース

音楽を間違ってダウンロードしてしまった経験ございませんか?

僕はQuinka, with a Yawnというグループが歌う♪コーヒーブルースを知らないうちにダウンロードしていました。グループ名なんて読むの?…とりあえず聴いて、それから削除しよう─としたところ、かなり気に入っちゃいまして、今では僕のiTunesでトップ12にランクインです。

このグループ、「キンカ、ウィズ・ア・ヨーン」と読むらしい。インディーズバンドで♪コーヒーブルース高田 渡のコピーらしい…曲調はポップなのに、あのフォークの巨匠の曲とは…

高田 渡を初めて聴いたのは、8年くらい前になるだろうか。友人に誘われるまま、小平市にある小さな喫茶店でのライブで初めて巨匠を見て聴いたのです。ほんと小さな喫茶店で窮屈な思いだったのですが、パフォーマンスはすばらしく、その後♪自衛隊に入ろう♪あきらめ節♪質屋♪炭鉱夫の祈り♪ヘイ・ヘイ・ブルースなど…高田 渡“哀”の世界のとりこになりました。

残念ながら高田 渡は去年56歳という若さで亡くなってしまいましたが、♪コーヒーブルースのように、その歌はずっと生き続けていくのでしょう。

インディーズバンドの♪コーヒーブルースからフォークの巨匠の小さな喫茶店ライブへとつながっていく─なんとも不思議な音楽の力…実感せずにはいられない、とスは歌っていたかもしれません。


Someone to watch over me

��998年、その年はガーシュイン生誕100年だった。至る所からガーシュインが聴こえてきて、サー・サイモン・ラトルも音楽の歴史を語る中で♪ラプソディー・イン・ブルーをモチーフとしていた。そして僕はガーシュイン生誕100周年記念のCDを買ってしまうのである。その中のにブロッサム・ディアリーが歌う♪サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミーという曲があった。ささやくような歌声が曲調と非常に合っていて、ガーシュインのベスト版にもかかわらず、その曲ばかり聴いていた。


そして次の衝動─ブロッサムのほかの曲を聴きたくなるのだが、あまり耳慣れない名前のとおりなかなか他の曲を手に入れることができない。やっとのこと聴いてはみたものの♪サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミーには到底及ばない。まあそんなもんだろう…

ブロッサムをサーチしていて、驚いたのは、♪サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミーを歌っている人もしくは演奏している人は実にたくさんいるということ。エラ・フィッツジェラルドフランク・シナトラリンダ・ロンシュタットロッド・スチュワートスティングビル・フリーゼルキース・ジャレット…最低でも100種類以上の♪サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミーが存在するであろう。全て聴くのも疲れるくらい音楽的視野を広げてくれて感謝、しかし決して全てを聴くことはないであろうから、誰かいい♪サムワン・トゥ~を発見したらぜひ教えてもらいたい。

果たして♪サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミーより歌われている曲はあるのだろうか?クラシックや民謡は別として、一個人が作成したポピュラー音楽の中で一番多く歌われている曲は何なのであろうか?それついてもぜひ情報を提供してほしい。

我が音楽の旅はまだまだ続く…