カサンドラ・ウイルソン(Cassandra Wilson)といえば、ジャズを代表する女性ボーカリストだが、彼女が2002年に発表したアルバム「Belly of the Sun」の中に♪Water of Marchという曲があります。非常に軽やかで一度聴いて気に入ってしまいました。
♪Water of Marchという曲は邦題「三月の水」といって、あのボサノバを創生したアントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)の名曲らしい─。
であるならば、本家本元を聴いてみなければと、エリス・レジーナ(Elis Regina)とデュエットした(ポルトガル語での原題)「Agua de Marco」を聴いてみました。非常に素晴らしかったです。このジョピンとエリスの曲はボサノバ史上最高の録音と言われているらしく、そう言われるのも納得です。歌っている途中で自然に笑っているところもあり、曲全体が喜びで満ち溢れています。
三月の水とは、南半球ブラジルでの夏の終わりを告げる雨季のことを指しているらしく、夏は終わって寂しいけれども、この恵みの雨に喜びを感じる、といった気持ちを歌ったものらしいです。
カサンドラ・ウイルソンのほかにも、ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)が歌っていて、♪三月の水はボサノバからジャズに至るまで、たくさんカバーされています。
話は変わってカサンドラ・ウイルソンのアルバム「Belly of the Sun」についてちょっと触れておくと、このアルバムにはジョピンの曲のほか、ザ・バンド(The Band)の♪The Weight、ジェームズ・テイラー(James Taylor)♪Only a dream in Rio、ボブ・ディラン(Bob Dylan)♪Shelter from the storm、ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)♪You gatta move、など数々のカバー曲が歌われています。♪Water of Marchは、確かに、原曲のほうが良かったですが、♪Only a dream in Rioや♪Shelter from stormなどは、カサンドラが歌っている曲のほうが素晴らしいと思います。このアルバムはほとんどカバーでありながら、すべてカサンドラのオリジナルのように聴こえてしまうのがすごいのです。
カサンドラが歌う♪Water of Marchも大変良いです。しかし、ジョピンとエリスが素晴らし過ぎました。
♪Agua de Marco / Elis and Jobim
いろいろ音楽を聴いていても、♪三月の水のように、名曲と言われるものでも知らない曲がまだまだあるものですね。カサンドラを聴いてなければアントニオ・カルロス・ジョピンは♪イパネマの娘というイメージで終了でした。「Belly of the Sun」という素晴らしいアルバムから、さらに素晴らしい♪三月の水という曲を知ることができました。この音楽の恵みこそに喜びを感じます。
{%rain_a%}これからは雨の日には♪三月の水を口ずさみ、ブルーな気分を吹き飛ばそう{%diacritic_a%}
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