2012年4月12日木曜日

シネマ[cinema]


シネマ【(フランス)cinema】
 映画。映画館。キネマ。→シネマトグラフ
シネマトグラフ【(フランス)cinematographe】
 映画の撮影と、その映写を兼ね備えた機械の名称。
 1895年、フランスのリュミエール兄弟が発明した。
 「映画」を意味する「シネマ」はこれに由来する。

(デジタル大辞泉より)


最近“シネマ”にはまっている。その始まりは確かヴィム・ヴェンダースの「ピナ」だったか─、これは前々から見ようと思っていたもので、ヴェンダース、ピナ・バウシュ、3Dというものに惹かれての観賞─、座席もゆったり、絵はもちろん素晴らしい、3Dも想像以上に効果的で目もそれほど疲れない、平日のサービスデーだと空いていて安く見ることができる、やっぱ映画館で見るべきだなと久々に思った。

ラース・フォン・トリアーの「メランコリア」も気になっていた映画だったが、あとで家で見ればいいかなと─。

映画の集客力を奪ったのは紛れもなくテレビだろう。でも、ここ最近映画が好調なのはテレビの力を大いに利用しているからではなかろうか。テレビと映画は別物という考え方は元凶でしかないのかもしれない。

個人的に「ドッグヴィル」を最低な映画だと見なして以来、ラース・フォン・トリアーの映画を見に行くことに抵抗を感じつつも、「エレメント・クライム」「キングダム」「奇跡の海」という至極の作品(←個人的好み)もあるのだということに賭けて、安価なレイトショー、つまんなかったら寝てればいいかという思いで、「メランコリア」を観賞した。ワーグナーのトリスタンとイゾルデの序曲があまりにリフレインするために、多少の苦痛を感じつつも、それもある種の意図であり、わかりやすいストーリーを基に終始一貫して精神障害というコンセプト的なものを明確に表現し得ている、優れた映画だった。しかし、これを見て嫌悪感を示す人も少なくないだろう。そういう作品を作ろうとしている監督なのだろうから、それも本望か・・・。

よい映画というのは、アカデミー賞とかが決めるものかもしれないしれないが、それが必ずしも好きな映画になるものではない。そういう意識がどこかしらにあるから、テレビで録画していた米アカデミー賞授賞式などもほったらかしにしておくのだが、いい映画を見たなと感じると不思議ともっと欲を持ってしまうもので、とにかくも映画の情報を求めて2011年にアメリカで評価された映画を確認してみた。

その中で気になったのはなんといっても作品賞を受賞した「アーティスト」。そして、マーチン・スコセッシの「ヒューゴの不思議な発明」、ウディ・アレンの「ミンドナイト・イン・パリ」。それらを次に見る候補として記憶─。

アカデミー賞授賞式を録画したものを見る、ついでにまだ見ぬ録画番組を片っ端に見る、するとグラストンベリー2011もそこに含まれていて TWO DOOR CINEMA CULB というバンドのパフォーマンスが気に入った。何せ名前がいい。とは言え、最初はその音、軽やかに疾走するそのメロディーに惹かれ、リリースされている1枚だけのアルバムを繰り返し聴いている。



Two Door Cinema Club/Tourist History

Alex Trimble ? Lead vocals, Guitar, Synths
Sam Halliday ? Guitar, Vocals
Kevin Baird ? Bass, Vocals

SOMETHING GOOD CAN WORK


北アイルランド出身の3ピースバンドである、トゥー・ドア・シネマ・クラブ。決して新しさは感じないが、グレートブリテン及び北アイルランド連合国らしいサウンド。イギリスらしいサウンドというのがどんなものかと問われると明確に答えることができないのだが、ビートルズ、ザ・フー、U2、オアシス、レディオヘッドなどに通ずるものを感じるわけで、それ故にそう思うだけ。

似たような音楽は、おそらく、過去にも今にもこれからもたくさんあるとは思うけれど、何故に彼らの音楽が気に入ったのか─、やっぱ名前かな。

バンドの名前の由来は、Tudor Cinema(チューダー・シネマ)から来ているそうだ。なんでも、彼らの地元にチューダー・シネマなる映画館があり、Tudor を分かりやすく Two Door に変えてバンド名を考えたらしい。

サウンド的に映画に関連があるとは思えない。しかし、映画を見に行く途上、ウォークマンで聴くには最高だ。足取り軽く、「ヒューゴ」を見に行った。

レイトショーのシネコンは非常に空いていて最高だ。3Dというものを非常にうまく利用した「ヒューゴの不思議な発明」、学問としてしか認識のなかった“リュミエール”、“ジョルジュ・メリエス”、“月世界旅行”がピュアな感動を呼ぶ。マーチン・スコセッシのファンタジーなんて・・・とどこかで思っていたものの、これはスコセッシの映画に対するオマージュなのであり、それをより多くの人々に伝えたいという思いなのだと勝手に想像して、さらに気持ちを盛り上げた。これを凌いだ映画とは如何なるものなのか─、そして、アギーを見るべく「アーティスト」を見に行った。

レイトショーのシネコンは、公開間もないアカデミー賞最優秀作品賞でもスクリーンを独占させてくれる。そう、最高だ。けれど、これで映画は大丈夫なのだろうかという多少の不安、こんなにも素晴らしい作品なのに─。

主演のジャン・デュジャルダンは、最初から最後までジーン・ケリーにしか見えなかった。そして、あの「雨に唄えば」が大好きな自分にとって、この「アーティスト」に込められている熱い思いも強く感じることができた。不自然なまでにジャック・ラッセル・テリアのアギーが常に登場する面白みもまた、映画へのオマージュなのだと感じてしまう。フランス人監督がアメリカを舞台にした映画を撮り、アメリカ人監督がフランスを舞台にした映画を撮る、しかもそれが二つともに映画へのオマージュであり、それが作品賞を争っていたということを改めて知る。なかなかドラマチックな2011年度のオスカーだったということもまた知るに至る。

次は、「ミッドナイト・イン・パリ」かー。これもまたフランスが舞台、撮っているのはウディ・アレンと、なんとも不思議なシネマな展開。