2013年9月19日木曜日

イーハトーヴ交響曲 @ オーチャードホール

 


冨田勲×初音ミク
無限大の旅路 ~イーハトーヴ交響曲~

2013/9/15(日)13:30開演/18:00開演
2013/9/16(月・祝)13:30開演
Bunkamura オーチャードホール
料金:S¥9,500 A¥8,500 全席指定(税込)
【指揮】
 河合尚市
【管弦楽】
 東京フィルハーモニー交響楽団
【出演】
 初音ミク(ヴァーチャルシンガー)
 ことぶき光(エレクトロニクス)
 梯郁夫(パーカッション)
 鈴木隆太(シンセサイザー)
【合唱】
 慶応義塾ワグネル・ソサィエティー男性合唱団
 聖心女子大学グリークラブ
 シンフォニーヒルズ少年少女合唱団
【プログラム】
 新日本紀行
 山田洋次監督映画音楽集
  たそがれ清兵衛~隠し剣鬼の爪~武士の一分~おとうと
 子供のための交響詩
 新・ジャングル大帝2009年版 ジャングルの朝~動物たちのつどい
 勝海舟
 イーハトーヴ交響曲
 リボンの騎士(アンコール)
 青い地球は誰のもの(アンコール)

 


S席1階6列目10番、ステージ向かって左側からやや見上げる位置、弦楽と指揮者の表情はよく見えたが、管楽などステージ全体を見ることができなくて多少不満。

新日本紀行から勝海舟までが前半、15分の休憩をはさんで、イーハトーヴ交響曲から最後まで演奏というプログラム。

前半部は新日本紀行のほかは耳慣れない曲ばかり。映画やテレビのための音楽というのは、もともと映像ありきで作られているためか、音楽に集中できずに聞き流してしまった。

後半、交響曲が始まる前に冨田勲氏の御言葉あり。東京フィルが新作を演奏してくれることを喜び、その低音部の鳴りを非常に褒めていた。同時に、初音ミクというバーチャルシンガーと生の演奏が融合したこの新しい芸術を自画自賛していた。冨田氏が客席に着席すると間もなく、メインの演奏がスタート。

シンフォニーヒルズ少年少女合唱団が歌う宮沢賢治作詞作曲の「牧歌」を拝借したコーラスから始まったその演奏は、全てにわたって満足がいくもの。初音ミクの絡みや動き、溶け込みといったものも至極自然で、まさに質の高い総合芸術であった。特に、第5楽章というべきなのか「銀河鉄道の夜」の部分は、ステージ上部に大きく投影されたイメージ映像が効果的で、ラフマニノフの交響曲第2番を拝借しているそのメロディーと相まって、大きな感動を呼び起こす。この交響曲のために専用のステージをしっかり組んで欲しい─もっとイメージ映像がしっかりと映し出されるようなスクリーンなどを設置するなどし、より音と映像が融合するような仕組みを作り上げて演奏されるべきなのではと、夢想してしまった。

あまりに素晴らしい交響曲の演奏で、申し訳ないがアンコールの曲が非常に煩わしいものに感じる。称賛の拍手はどうしてもアンコールを求めるものになってしまうか。

イーハトーヴ交響曲の演奏終了後にも冨田氏の御言葉あり。氏によると、新しい芸術の始まりとしてこの交響曲が位置づけられると言っていた。確かに、それくらいの作品であり演奏であった。しかし、バーチャルと生演奏の融合というのは想像以上に難しいものだと思うわけで、この作品は奇跡的に生まれたようなものかもしれない、そう思うとこのような作品が後に続くことが想像できない、まさに唯一無二のアートであると思えるのだが、果たしてどうだろうか。想像を超えることがアートであるとも言えるのであるけれども…。

終わってみて、やはり、ステージ全体を見渡せなかったことが非常に残念だった。できることなら、初音ミクをどのようにリアルタイムで演出しているのか、その端緒などを確認したかった。

音楽は文句のつけようのないくらい完璧、それというのもクラシック音楽の歴史を考えたならば当然ではあるけれども、歴史が浅い映像やCGに関していえばまだまだ改善の余地はあり、そして、また洗練された総合芸術を鑑賞したいものである。

いまはただ、この新しいものを生み出した全ての人に対して、惜しみない拍手を贈りたい。


2013年9月9日月曜日

HELGE LIEN TRIO @ 東京ジャズ “the CLUB”

蒸し暑く、大雨の降るなか、久々の音楽観賞─

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2013. 9.8.sun COTTON CLUB コットンクラブ
��東京JAZZ "the CLUB"]
��JAZZ CRUISE NORWAY>
HELGE LIEN TRIO
[1st. show] open:4:00pm / start:5:00pm
[2nd. show] open:7:00pm / start:8:00pm
Charge ¥3,000 《全席自由席・税込》

2ndを選択。1ドリンクオーダー制とはいえ、かなりお得。しかも全席自由とあって、開場前から行列が…30人ほど後につく。既に、前回彼らを見聴きした際に確認した観客数を超えているかもしれない。

ここはインターネットなどで予約すると、チケットではなく名前確認のみで入場となる。ステキなシステムではあるけれど、明確に証明する物を自らが持っていないとなぜか不安になるものだ。そんな心配をよそに、無事に入場─

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ステージ向かって右側のカウンター状の席に着席。手前にベースがくる位置。悪くはないが、少々狭い。やはり複数人数で来てボックス席を選ぶのが賢明だったか…何せすべてが自由席で早い者勝ちなのだから。

開演まで1時間あるということは、ゆっくり食事ができるということであり、これで腹ぺことなると美味しそうなものに飛びついてしまう─

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フォアグラとポルチーニ茸を詰めた 福島県産 伊達鶏モモ肉のロティ ジャガイモのニョッキ添え 松の実風味のソース、ポークリエット、ダージリンティー、以上3品の注文でライブ自体の値段を余裕で超えてしまうという恐ろしさ…。反面教師と記憶しておこう。

料理が全部出揃ったころ、ようやく開演時間が迫ってくる。180席あるという会場はほぼ満席状態。正直、こんなに入るとは思いもしなかった。事前にみんなが知るということが重要なのだと、再認識。

さて、食事半ばでメンバー登場。というわけで食事しながらの観賞。なんとオシャレ、とはいかないもので、なかなか演奏に集中できない。あまり調子に乗ってナイフとフォークを持つべきじゃないと肝に銘ず。

全体を通して何を演奏していたのかあまり記憶していないが、直近のアルバム「Natsukashii」からの曲が多かったように思う。ライブの始まりはアルバムラストの曲♪Living In Different Livesで、ライブの最後のアンコールの曲はアルバム最初のタイトル曲♪Natsukashiiだったということしか明確に覚えていないが、随所にインプロビゼーションを絡めたその演奏は素晴らしいもの。このトリオはライブでは音質重視なのだということが、よく伝わってくる。こんな演奏を聴いてしまうと、その後で彼らのアルバムを聴いても何か物足りなさを覚えてしまう。それが良いことなのか悪いことなのか判別できないところだが、それほどライブの音が素晴らしいトリオだということだ。

残念ながら、自分が最も気に入っている曲♪Snurtの演奏はなかったものの、お気に入りのアルバム「Halla Troll」からも何曲か演奏してくれた─

※上の映像は2008年のベルリンでの演奏、それを拝借

今回はベースの近くということもあって、フローデ・バルグが奏でるメロディアスなベースラインにも魅了された。ヘルゲ・リエン・トリオ、またPA共々来日して素晴らしい音を聴かせてほしい。



2時間ぶりに外に出ると雨は止み、心地よい空気に包まれる。