2010年9月17日金曜日

イマジン・プロジェクト




 音楽を聴きながらランニングしていると、どうしても耳からこぼれ落ちそうになるイヤホンに悩まされる。気にしすぎるあまり、音楽を聴くこと、走っていることにすら疑問を感じ始める有様。何とかせねばと、“ウォークマン”Wシリーズを購入。最高なランニングを手に入れた。
 ウォークマンWで最初に聴いたのは、ハービー・ハンコックの新作「Herbie Hancock/Imagine Project」。多数の有名ミュージシャンとのコラボレーション。素晴らしい演奏の結晶。走りながら簡易的にウォークマンWで聴くものではないか。
 冒頭のイマジンはまあまあか─。全曲カバーであるし、全曲それなりに良いはずで、期待以上の演奏を聴かせてくれなければ大満足とはいかないか─。ハービーのアルバムでありながら、聴いていてハービーの姿が全く見えない。ハービーのピアノは確かにはっきりと聴こえる。しかし、見えてくるのはあくまで曲だけであり、これがハービーのプロジェクトであり創造物であるという意識がわき起こらない。それでいいのかハービー、いや、恐るべしハービーか…。
 ボブ・ディランの6曲目、ティナリウェンとボブ・マーリーが融合した8曲目などがおもしろかった。サハラとカリブの見事な融合。「平和と地球規模の責任」というアルバムコンセプトということもあって、世界中の音楽とアーティストが融合しているというわけだ。
 このアルバムを収録したもようは、ドキュメンタリーとしてDVDでリリースされるようだ。本当にハービーが演奏しているのかどうか確かめよう。

Imagine Project


2010年9月8日水曜日

Against the wind

 Running on empty と検索すると、ジャクソン・ブラウンの「孤独のランナー」はもちろんヒットされるが、映画「旅立ちの時」も結構出てくる。「孤独のランナー」がテーマ曲とか思ったのだが、そうではなく、原題が「Running on empty」だったのだ。好きな映画で何度も見ているが、はじめて知った。日本語タイトルの何とかけ離れていることか。まぁ、それが面白いところではあるのだが…。「ランニング・オン・エンプティー」という邦題をもって、今一度映画を見てみようか。その前に日課のランニングを─。

 台風9号が日本のそばにいる。ここ最近風が強いのは、確実にそのせいだ。海に向かって走っていくと、向かい風が否応なく体力を奪っていく。いつものように耳にしているイヤホンも、頻繁に耳から落ちかける。緩んだイヤホンをなおすだけでも、リズムを乱され、自然と疲労が溜まっていく。それでも、耳から聴こえてくる音楽がくじける心を励ましてくれる。使い古された表現だが、追いつめられるとそういうものが身につまされて迫ってくる。
 ボブ・シーガーの「アゲインスト・ザ・ウィンド」が流れてきた。これで、この強風にも負けることはない、だろう・・・
Against the Wind - Bob Seger

 これを聴いた後、耳からイヤホンを外し、この曲の余韻だけで走りぬいた。アゲインスト・ザ・ウィンドというフレーズを頭の中でループさせることにより、半ば無心となり、奔馬の如く、ようやく10km走りきった。耳から直接的に音楽を聴かずとも、音楽によって体に力がみなぎった、としておこう。

 目標だった10kmを達成できたのは、風のおかげだ。風が妨げになるだろうと思っていたものが、風のためにスピードを出せずに、いつもよりもかなり遅いペースで進んだ。そのことがかえって後々の体力温存となり、長い距離を走りぬくことができたわけだ。足もとをみて走ることが大切だ。風に逆らって進んでも、身のほどを知れば、着実にすすむことができるはず。これからもボブ・シーガーを聴きながら、走っていこうかな。






Against the Wind / Bob Seger

It seems like yesterday
But it was long ago
Janey was lovely she was the queen of my nights
There in the darkness with the radio playing low
And the secrets that we shared
The mountains that we moved
Caught like a wildfire out of control
'Til there was nothing left to burn and nothing left to prove
And I remember what she said to me
How she swore that it never would end
I remember how she held me oh so tight
Wish I didn't know now what I didn't know then

Against the wind
We were runnin' against the wind
We were young and strong, we were runnin'
Against the wind

The years rolled slowly past
And I found myself alone
Surrounded by strangers I thought were my friends
I found myself further and further from my home
And I guess I lost my way
There were oh so many roads
I was living to run and running to live
Never worryied about paying or even how much I owed
Moving eight miles a minute for months at a time
Breaking all of the rules that would bend
I began to find myself searching
Searching for shelter again and again

Against the wind
A little something against the wind
I found myself seeking shelter sgainst the wind

Well those drifter's days are past me now
I've got so much more to think about
Deadlines and commitments
What to leave in, what to leave out

Against the wind
I'm still runnin' against the wind
I'm older now but still runnin' against the wind
Well I'm older now and still runnin'
Against the wind
Against the wind
Against the wind

Still runnin'
I'm still runnin' against the wind
I'm still runnin'
I'm still runnin' against the wind
Still runnin'
Runnin' against the wind
Runnin' against the wind
See the young man run
Watch the young man run
Watch the young man runnin'
He'll be runnin' against the wind
Let the cowboys ride
Let the cowboys ride
They'll be ridin' against the wind
Against the wind ...


昨日のことのようだ
でもずっと前のことだ
ジェイニーは素敵で、俺にとって夜の女王だった
暗闇の中で小さく鳴るラジオ
俺達が分かち合った秘密
俺達が動かした山は
手に負えない野火のように広まり
燃やすものも証明するものもなくなるまで燃え続けた
俺は彼女の言葉を思い出す
彼女は誓った。決して終わりはこないと
彼女が俺を強く抱きしめたあの感覚を覚えている
あのとき俺が知らなかったことを、今でも知らなければいいなと思う

風に逆らって
俺達は風に逆らって走っていた
俺達は若くて強かった。俺達は走っていた
風に逆らって

年月はゆっくりと流れ
俺は一人になっていた
友達だと思っていた他人に囲まれて
家から遠く遠く離れている自分がいた
道に迷ったんだろうな
本当にたくさんの道があった
俺は走るために生き、生きるために走っていた
金払いの心配など全くせず、借金の額さえも
何か月も、8マイル/分で移動した。少しずつ
破れるルールは全部破った
自分が何かを探していることに気づき始めた
避難場所を探していたんだ。何度も何度も

風から身を守って
風から身を守るための、ささいな何か
風からの避難場所を探している俺がいた

そんなさまよい人の日々も、今では昔の話だ
考えなきゃならないことが、たくさんある
締め切りだの、約束だの
持っておくものと捨てるものの区別だの

風に逆らって
俺は今でも風に逆らって走っている
今じゃ老けたが、まだ風に逆らって走っている
そうさ。年を取ってもまだ走っているんだ
風に逆らって
風に逆らって
風に逆らって

今でも走っている
俺は今でも風に逆らって走っている
俺は今でも走っている
俺は今でも風に逆らって走っている
今でも走っている
風に逆らって走っている
風に逆らって走っている
その若者が走る姿を見ろ
その若者が走る姿をよく見ろ
その若者が走っている姿をよく見ろ
彼は風に逆らって走り続けるだろう
カウボーイを馬に乗せてやってくれ
カウボーイを馬に乗せてやってくれ
彼らは風に逆らって走り続けるだろう
風に逆らって……

2010年9月7日火曜日

孤独のランナー

 走り始めてちょうど1ヵ月になるだろうか。徐々に膝や腰の痛みを感じなくなってきた。当初1kmほどで息絶え絶えだったものが、きのうはようやく9kmをノンストップで走り切った。目標にしていた一日10kmはまず無理だと思っていたが、あとわずか。たかがあと1km、されど1km、焦らず伸ばすか。
 道中、疲労の気を紛らすかのように、音楽を聴きながら走っていた。その際、1曲目は必ずジャクソン・ブラウンの「孤独のランナー」─

Running on empty


画像


 通勤の行き帰り、背負っているかばんの重みも、この曲のフレッシュさで一蹴していたわけだ。

 そんなある日…。太陽が照りつける中、猛暑日なんぞに負けないぞと「孤独のランナー」を聴きながら勢い勇んで家を出た。正直、足腰の痛みはかなりのもので、走ることへの疑問を感じ始めた時期。簡単に日差しに負けてしまいそうに思えたものが、不思議とそれまでにないくらいの体の動き。自宅から駅まで3.5km、いつもなら3度はストップしていたものが、1ストップで到着。
 さあ、駅のトイレで汗だくの服を着替えて、まさにフレッシュな気持ちで出社だ!と満たされた気持ちで背負ったかばんを前方のほうに下ろすと、かばんのチャックが全開で、走る際に邪魔になると思い詰めていた財布・携帯・眼鏡などほとんどのものが、そこには無かった。空っぽのままに走っていたわけだ。
 すぐさま、また3.5kmを走る。財布も、携帯も、眼鏡も、何も道に落ちてはいない。諦めのままに、とりあえず、自宅へ戻り、通帳を手に銀行へ。口座を止めて、携帯電話もストップ、あとは交番へ行くしかなかった。
 自宅を出て1時間ほど経っただろうか。もう丸一日動き回った気分だ。最寄り駅の交番へ落し物の届け出をして、あとは待つだけ。しかし、なんとそこに落としたはずの財布と眼鏡が届けられていた。奇跡というほかない。届けてくれた人にただただ感謝、後日、直接会って感謝とそれなりのお礼が出来た。その誠実な人の話によると、かばんから次々に物が落ちるのを目撃して、大きな声を掛けてくれたらしいのだが、不幸にもその時「Running on empty」に夢中になっていた自分はその善意を完全無視してしまったわけだ。からっぽにもほどがある。

 その後、通勤時のランニングと通勤時の歩きながらのウォークマンは厳禁にした。自分の時間のなかで、走る時間をつくり、そのなかでウォークマンを聴きながらランニングを続けている。相変わらず背中にはかばんを背負っているが、その中に入っているのはタオルとカメラだけ。なるべく空っぽに─。ちなみに、もうランニング時のジャクソン・ブラウンはやめにした。その前向きな歌詞とフレッシュなメロディーは、今の自分には不釣り合いだから。


RUNNING ON EMPTY / JACKSON BROWNE

Looking out at the road rushing under my wheels
Looking back at the years gone by like so many summer fields
In sixty-five I was seventeen and running up one-o-one
I don't know where I'm running now, I'm just running on

Running on running on empty
Running on running blind
Running on running into the sun
But I'm running behind

Gotta do what you can just to keep your love alive
Trying not to confuse it with what you do to survive
In sixty-nine I was twenty-one and I called the road my own
I don't know when that road turned into the road I'm on

Running on running on empty
Running on running blind
Running on running into the sun
But I'm running behind

Everyone I know, everywhere I go
People need some reason to believe
I don't know about anyone but me
If it takes all night, that'll be all right
If I can get you to smile before I leave

Looking out at the road rushing under my wheels
I don't know how to tell you all just how crazy this life feels
I look around for the friends that I used to turn to
to pull me through
Looking into their eyes I see them running too

Running on running on empty
Running on running blind
Running on running into the sun
But I'm running behind

Honey you really tempt me
You know the way you look so kind
I'd love to stick around
But I'm running behind

Running on
You know I don't even know what I'm hoping to find
Running behind
Running into the sun but I'm running behind


車輪の下をすり抜けていく道路を眺めながら
あの夏の草原のように過ぎ去って行った年月を思い返す
��5年 17歳だった僕は
��01号線を北へ向って走っていた
今 僕はどこを走っているかも分からず
ただ走り続けている

走り続ける 空しく走り続ける
走り続ける 訳も分からず走り続ける
走り続ける 太陽に向って走り続ける
それなのになかなか追いつけない

愛を守り続ける為にはどんな事でもしなくちゃいけない
でもそのことと生き残る為にしなくちゃいけない事を
取り違えてはいけない
��9年 21歳になった僕は道路を僕の人生と呼んだ
あの道路はいつ僕の道路の方に向きを変えたのだろう

走り続ける 空しく走り続ける
走り続ける 訳も分からず走り続ける
走り続ける 太陽に向って走り続ける
それなのになかなか追いつけない

どんな人でも どこにいようと
信じる理由が必要なんだ
僕は自分のことしか知らない
一晩中かかろうといいじゃないか
もし僕が発つ前に君を笑わせることが出来るなら

車輪の下をすり抜けて行く道路を眺めていた
この狂った人生を君に上手く話す事が
僕には出来そうもない
ここから引きずり出して欲しくて
かつては振り向けばそこにいた友の姿を
捜し求める その彼らもまた走り続けている

走り続ける 空しく走り続ける
走り続ける 訳も分からず走り続ける
走り続ける 太陽に向って走り続ける
それなのになかなか追いつけない

ハニー 君はとても魅力的だよ
自分を優しく見せる術を心得ているんだね
君と一緒にいたいけど僕は
追いかけなくてはいけないんだ
自分が何を求めて走り続けているのかも
分からなくなってしまった
太陽に向って走り続けているけど
なかなか追いつけない