2007年5月31日木曜日

I'm not in love

自分のiPodではアーティスト欄の一番上に10ccがきている。アルファベットの索引順に並んでいるため、数字の“1”が一番最初にきているのだ。
10ccの曲は♪アイム・ノット・イン・ラブしか入れていない。
この曲は有名で、彼らの作品の中でも最も素晴らしいと出来ではないだろうか。この曲以外にもっと10cc知ろうとベスト・アルバムを聴いたりしたが、僕には全く合わなかった。
♪アイム・ノット・イン・ラブは僕が音楽を聴きだしたころからのお気に入りで、学校の帰り道などでよく口ずさんだもの。あの幻想的な空間を作り出しているのは、やはりギズモトロンを使用しているためなのだろうか。
ギズモトロンとはいったいなんなのか?どんなに調べてもイメージできない。実物をみても、謎が深まるばかりだ。

「The Works Of Godley & Creme」より


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ジミー・ペイジの弓弾きギターからヒントを得て、マサチューセッツ工科大学とゴドレー&クレームが共同開発したものらしい。
ジミー・ペイジも♪イン・ジ・イヴニングで使用したり、ポール・マッカートニーも開発当初のギズモトロンを譲渡されたらしい。


ギズモトロンがどんなものか明確に分かったとしても、♪アイム・ノット・イン・ラブのよさは、僕の中で変わることはないだろう。だから、謎は謎のままでいいのかもしれない。
この曲は架空の映画サウンドトラックというコンセプトで制作された、アルバム「オリジナル・サウンドトラック」に収録されている。コンセプトは非常に面白いと思うのだが、やはり、この曲以外は馴染めない。

The Original Soundtrack (+2 Bonus Tracks)
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1. Nuit a Paris, Pt. 1: One Night in Paris
          Pt. 2: The Same Night in Paris
2. I'm Not in Love
3. Blackmail
4. Second Sitting for the Last Supper
5. Brand New Day
6. Flying Junk
7. Life Is a Minestrone
8. Film of My Love
9. Channel Swimmer [*]
10. Good News [*]



Low-Country Messiahs

レッド・ツェッペリンのアルバム「フィジカル・グラフィティー」に収録されている♪死にかけて(In My Time Of Dying)は、ブルースのスタンダードというべき♪Jesus Make Up My Dying Bed という曲をもとに作られている。
♪Jesus Make Up My Dying Bed はボブ・ディランなど様々なミュージシャンによってカバーされている。それらを色々探っていると、ロウ・カントリー・メシアス(Low-Country Messiahs)というバンドが演奏するものに出会った。

BISCUIT PALACE (2006)画像
1.Goofer Dust
2.Church, I'm Fully Saved Today
3.Milk White Horse
4.Jesus, Make Up My Dying Bed
5.Steeple on the House
6.Bootlegger Blues
7.Knitting Circle
8.Resurrection of Gullah Jack
9.Mourner's Bench
10.Tijuana Bible

ロバート・ハミルトン(Robert Hamilton)が中心に結成されたこのバンドは、ギタリスト:ブライアン・ワトキンス(Brian Watkins)、パーカッション:ジェローム・グリーン(Jerome Greene)が参加している。
デルタブルースなどアメリカのルーツ音楽を基盤としていて、その音楽は非常にゆったりとしていて哀愁深い。2本のブルージーなギターにシンプルなパーカッションをベースに、ブルージーなボーカルがこだましている。

聴いていると非常にリラックスした気持ちになれるが、心に傷を抱えていると非常に悲しく響いてくるかもしれない。ま、それもいいか─。

2007年5月29日火曜日

最終楽章(コーダ) Coda

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最終楽章(コーダ) Coda (1980)
LED ZEPPELIN


1. We're Gonna Groove
2. Poor Tom
3. I Can't Quit You Baby
4. Walter's Walk
5. Ozone Baby
6. Darlene
7. Bonzo's Montreaux
8. Wearing And Tearing



1980年9月25日、ジョン・ボーナム死去。同年12月4日、残された3人は解散の声明を発表し、レッド・ツェッペリンは歴史上のバンドになってしまった。
実質的な最後のアルバムは前作の「In Through the Out Door」であったのだが、スワン・レコードはアトランティック・レコードと、レッド・ツェッペリンのアルバムを5枚リリースする、という契約を結んでいたために、もう1枚アルバムを作らざるを得なかった。それがこの「Coda」なのである。
��2年間の活動の中で未発表の曲や録音をかきあつめたジミー・ペイジが、ロバート・プラントやジョン・ポール・ジョーンズの協力のもと再編集をして、1982年アルバムを完成させた。
「Physical Graffiti」もそうであったように、寄せ集めのアルバムとはいえ、その内容は今までのアルバムと比べ決して劣るものではない。彼らがトラックをアルバムに入れるかどうか決めたのは、あくまでもそのアルバムのコンセプトやイメージに合うかどうかということであり、しっかりと録音したものであれば、全てリリース可能であるといっても過言でないだろう。世界で最も海賊版がリリースされて、その中に数多くの未発表曲が収録されているということが、そのことを証明している。

ボーナムの死因は、アルコールを過度に摂取し過ぎて寝ながら嘔吐し、その嘔吐物がのどに詰まったことによる窒息死だった。ボーナムは過度のホームシックや重度の飛行機恐怖症といったものに悩まされ、それを紛らわすためにアルコールを大量に摂取するようになっていったという。それにしても、ボンゾと言われた男には何と不釣合いな死に方であろう。格好が悪い死に方であるが故に、一層ボーナムの死がもったいない気持ちになってしまう。かっこ悪いからもう一度生き返ってかっこいい死に方を見せてみろ!とひどいことを言っても、怒って生き返ってくるわけがない。かっこいいボンゾはアルバムの中で探すことにしますか…


1 ウィアー・ゴナ・グルーヴ

(Ben E. King & James Bethea)

ベン・E・キングの♪Groovin'が原曲。
モーガン・スタジオとクレジットされているが、実はロイヤル・アルバート・ホールでのライブ収録されたものであり、それにペイジのギターがオーバーダビングしているものである。
当初、セカンドアルバムに収録されるつもりで作曲されたが、スタジオで録音されることはなかった。
スネア・ドラムのドラミングから始まり、ボーカルが1フレーズを歌うたびにギターのメロディーがそれに呼応するというのがメロディー的な特徴だ。

2 プア・トム

(Page & Plant)

ウェールズにあるコテージ、ブロン・イ・アーで作曲されて、サードアルバムに収録される予定だったのが外された。
ハーモニカとドラムとアコースティック・ギターで演奏されている。

3 君から離れられない

(Willie Dixon)

オーティス・ラッシュなどもカバーしているこの曲は、彼らがロイヤル・アルバート・ホールで演奏したものを収録。
プラントの雄叫びに続いて、ペイジの即興的演奏が終始鳴り響くブルージーな曲。

4 ウォルターズ・ウォーク

(Page & Plant)

「聖なる館」のために録音されたが見送られた。ここにあるバージョンは、ボーカルが後から重ねられたものではないかと言われている。
ライブなどでは♪幻惑されて、♪クランジの演奏でこの曲のメロディーとして部分的に奏でられていたようだ。

5 オゾン・ベイビー

(Page & Plant)

アップ・テンポのストレート・ロック。アルバム「In Through the Out Door」に収録する予定で作られた。
ボーカルでハーモニーを用いている。それは彼らの楽曲の中では珍しいものだ。

6 ダーリーン

(Bonham, Jones, Page & Plant)

アルバム「In Through the Out Door」に収録される予定だったが見送られた。「In Through the Out Door」のセッションで唯一4人全員の名前がクレジットされている曲。

7 モントルーのボンゾ

(Bonham)

1976年に録音されたボーナムのドラムソロ。ペイジが編集でエフェクトを加えている。
ボーナムがバスドラをたたくときのペダル音を聴くことができる。

8 ウェアリング・アンド・ティアリング

(Page & Plant)

激しくスピード感があるこの曲は、パンク・ロックに対抗したものだという。
「In Through the Out Door」のセッションで録音された。

2007年5月28日月曜日

In Through the Out Door

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In Through the Out Door (1979)
LED ZEPPELIN


1. In the evening
2. South bound saurez
3. Fool in the rain
4. Hot dog
5. Carouselambra
6. All my love
7. I'm gonna crawl



1977年のアメリカツアー終盤、ロバート・プラントにまたしても悲劇が襲う。プラントの愛息が急逝したのだ。すぐにツアーはキャンセルされ、しばらくの間、プラントは公の場から姿を消した。
翌年に傷心をかろうじて癒やしたプラントが、ほかのメンバーとともにリハーサルを行い、次のアルバムの準備に入った。
数カ月後、スウェーデン・ストックホルムでレコーディングに入ることになるのだが、休止期間中にジョン・ポール・ジョーンズが黙々と作曲活動をしていたため、今回のセッションではジョーンズが主導で進行することになった。その結果、前作とは全く異り、キーボードが主体となったアルバムが完成することになる。
この収録中、ジミー・ペイジとジョン・ボーナムはしばしば遅れてスタジオ入りしたり、全く来ない日もあったという。そのため、作詞・作曲のクレジットにボーナムの名前が全く載らず、ペイジの名前さえ載らない曲もあった。また、前作に生じたペイジとジョーンズの亀裂がここでさらに広がってしまったといわれている。ペイジは1998年の雑誌のインタビューで─、アルバムは少しソフトになり過ぎだと感じていた。♪All My Loveなどは全く激しさなんてない。曲のコーラスにも不安があった。人々が波打つ姿なんて全く想像することができなかった。あんなの自分たちの音楽なんかじゃない。あんな方向性を続けていくつもりはなかった─と語っている。

ジャケット・デザインはヒプノシスが担当した。「聖なる館」「プレゼンス」に続いて3度目になる。バーのカウンターで男が紙に火をつけているセピア色の写真を基調としたデザインで、男を6つの視点から見た写真が使用された。すなわち、6種類のジャケットが存在したということであり、発売された時には、ジャケットが見えないようにブラウンの紙袋に包まれた状態で店頭に並び、どのジャケットを購入したのかその袋を開けるまで分からないようになっていた。また、そのブランの紙に水を含ませると発色する仕掛けも施されていた。
パンクやディスコ・ムーブメントが台頭する中、このアルバムはそれに負けないくらいのセールスを記録した。それは周囲の予想を大きく上回るものだったが、この凝ったジャケットが成功につながったのではという見方も多いようだ。

このアルバムでも今までにないレッド・ツェッペリンを作り上げていると思うのだが、今までと違うのは、それがたまたまそうなったに過ぎないということだろう。バンドのリーダー的存在、ジミー・ペイジが方向性を示したわけでなく、半ばジョーンズにまかせっきりにしたため、結果的に新しいレッド・ツェッペリンを表現することになっただけであり、積極的なアプローチではなかったのである。こういった表現もできるのかと、素直に驚きを感じる反面、こんなものは本当のレッド・ツェッペリンではないという意見もの否定できない。
果たして、このアルバムの次はどんなものが生まれたのだろうか。全く想像がつかない。できることならば、この次が見たかった。しかし、1980年9月25日、ジョン・ボーナムが32歳という若さで他界し、このアルバムが実質的にレッド・ツェッペリン最後の作品となった。
ボーナムはこのアルバムに身が入らなかったようだが、ボーナムをしのび、こちらは身を入れて聴くべきか…


1 イン・ジ・イヴニング

(Jones, Page & Plant)

曲の最初、ペイジの弓弾きギターとジョーンズのシンセサイザーの音でひとつの世界観を作り出している。また、ペイジはこの曲でゴドレイ&クレームが開発したギズモを使用している。
導入部分はペイジがケネス・アンガーの映画「ルシファー・ライジング」のために制作することになっていたサウンド・トラックから引用している。そのサントラはなかなか完成しなかったことから、アンガー監督から契約を打ち切られ、ボビー・ボーソレイユが後にそれを引き継いでいる。
ボーナムがレコーディングに遅れたり現れなかったりしたため、ドラム部分はジョーンズがドラムマシンを使って考えたものだという。

2 サウス・バウンド・サウレス

(Jones & Plant)

ジョーンズのファンキーなピアノが中心となっているこの曲は、ペイジがクレジットに載っていない珍しい曲(ほかに♪オール・マイ・ラヴもペイジの名前がなく、この2曲だけ)。
ペイジの細かなミスが目立つ曲らしい。

3 フール・イン・ザ・レイン

(Jones, Page & Plant)

ラテン音楽の雰囲気を作り出しているこの曲は、ペイジが1978年のアルゼンチンでのサッカー・ワールドカップを見ていて思いついたものだという。
ボーナムは、ラテンのリズムのほかにニューオリンズ風のシャッフルビートを刻んでいる。
ペイジはソロでMXR Blue Boxというエフェクターを使用して、ファズの音と同時にオクターブ上の音を出している。

4 ホット・ドッグ

(Page & Plant)

カントリーもしくはロカビリーといった雰囲気をもったこの曲で、プラントはエルビス・プレスリーのように歌っている。
曲調に合わせ、ペイジはフェンダー・テレキャスタ-B-BENDERを使用している。
歌詞はプラントがテキサスの女性に惹かれた経験をもとに書かれていて、テキサスの人々に捧げたものだという。

5 ケラウズランブラ

(Jones, Page & Plant)

曲名は、曲の最初の部分がメリーゴーランド(carousel)の音楽に似ているということから付けられたという。
彼らの楽曲の中で2番目に長い曲。
ペイジのギターがバッキングに徹していて、ジョーンズのシンセサイザーが目立つという今までにない曲で、プログレッシブ・ロックのようだ。
この曲は3つのパートに分けられる─
①ジョーンズのシンセサイザーを中心にリズム・メロディーが展開するアップテンポ部分
②ペイジのギブソン・ダブルネック・ギターのアルペジオを背景にしたスローテンポ部分
③再びアップテンポとなり、それぞれの演奏がより複雑になっている部分
ペイジがスタジオでダブルネック・ギターを使用しているのはこの曲だけである。

6 オール・マイ・ラヴ

(Jones & Plant)

ジョーンズとプラントによるこの曲は、ジョーンズのシンセサイザーのソロが特徴的だ。
歌詞は、1977年5歳の若さで亡くなったプラントの愛息へ捧げられた内容となっている。
ペイジの名前がクレジットされていな珍しい曲でもある(名前がないのは♪サウス・バウンド・サウレスとこの2曲だけ)。

7 アイム・ゴナ・クロール

(Jones, Page & Plant)

1960年代のアメリカン・ソウル、特にオーティス・レディングやウィルソン・ピケットといったアーティストから強く影響を受けている曲。
歌詞は、ある魅力的な少女のことを歌ったものではあるが、実際にはペイジの亡くなった愛息への思いがつづられている。ボーナムは、この曲がプラントのベスト・パフォーマンスだ、と述べたという。



Presence

画像Presence (1976)
LED ZEPPELIN


1. Achilles Last Stand
2. For Your Life
3. Royal Orleans
4. Nobody's Fault But Mine
5. Candy Store Rock
6. Hots On For Nowhere
7. Tea For One



1975年、この年がレッド・ツェッペリンの絶頂期といっていいだろう。実力もさることながら、セールスの上でも一番稼いだ時期であった。
しかし、その年の8月にロバート・プラントの交通事故で、アメリカ・ツアーを途中でキャンセルせざるを得なくなった。命に別条はなかったものの、入院を強いられたのだ。
程なくして、プラントとジミー・ペイジは作曲活動を開始して、11月にドイツ・ミュンヘンのレコーディングスタジオにメンバーが集まって、アルバム「プレゼンス」のレコーディングが始まった。
一日に18~20時間という信じられない時間をレコーディングに費やしたといわれていて、その甲斐あって3週間でアルバムが完成した。
レコーディング期間中、プラントとペイジはハード・ロックへの回帰を模索していたという。前作ではアコースティックとエレクトリックのバランスを非常によく考えて、複雑な構成の曲が多かったが、今回はギターをベースとしたストレートなロックを作りたかったのだ。結果、ほぼ全てエレクトリック・ギターを基調としたハードな音楽ばかりとなった。
個人的にはジョン・ポール・ジョーンズがベースだけというのは非常に物足りないし、そのベースもそれほど目立つ演奏がないのが残念でならない。そういう思いが頭から離れないためなのか、ペイジのギターがやけにうるさく、疎ましく感じてしまうのだ。
このアルバムからペイジとジョーンズに亀裂が生じてきたという。それはもちろん、ペイジのギターばかりが目立ちすぎるという低次元のレベルによるものではなく、18時間以上という異常なレコーディングに対しジョーンズは非常に不満を抱いたらしい。
メンバーの仲までも犠牲にして完成させた「プレゼンス」、さて、その内容はどんなものなのか…。

1 アキレス最後の戦い

(Page & Plant)

10分25秒あるこの曲は、レッド・ツェッペリンの楽曲の中で最も長いもの。ジョン・ボーナムのパワフルなドラム、ジョン・ポール・ジョーンズのアレンビック社製8弦ベース、そしてジミー・ペイジのオーバーダビングされたギター・オーケストラ、と聴き所が盛りだくさんな曲だ。ペイジのドラマティックで雄大なギターソロは、ベストプレイだという意見が多い。
曲調やテンポから、その後に登場してくるスピード・メタル、スラッシュ・メタルに通じるものがある。
曲のタイトルは、ロバート・プラントが交通事故で足を骨折していたことをヒントにに提案されたらしい。歌詞の内容は、モロッコのアトラス山脈のことを中心に描かれたもの。また、ギリシャ神話(タイタン神アトラスのこと)やウィリアム・ブレイクの詩と版画から触発された部分がみられる。
1975年後半に録音されたこの曲は、それ以前に部分的にライブなどで演奏されていたようだ。1973-1975年のコンサート・ツアーでの♪幻惑されて では、リズムセクションを聴くことができて、1973年に収録されたライブ映像「永遠の詩(狂熱のライヴ)」の序曲でもメロディーを聴くことができる。

2 フォー・ユア・ライフ

(Page & Plant)

ペイジが初めてフェンダー・ストラトキャスターを使用した。トレモロ・アームを何度も使用しているのが分かる。
歌詞はプラントがロック界でのライフスタイルについて不満を述べたもの。ドラックに依存している彼の友人のことを述べている部分もある。

3 ロイヤル・オルレアン

(Bohnam, Jones, Page & Plant)

この曲は1970年、ニューオリンズのロイヤル・オルレアン・ホテルに4人のメンバーが宿泊した時の出来事を書いたもの。
メンバーの一人が女装した男性をそうとは知らずに部屋に連れ込んで、一緒にマリファナを吸ってそのまま寝入ってしまった。女装した男性は火がついたままのタバコを手に寝てしまったために、火事を引き起こしてメンバー全員が避難する結果になった。
「選ぶのには気をつけろ」「貧租なひげが火事を引き起こした」というような歌詞が含まれている。
“やっちまった”メンバーが誰なのか曖昧のままにしてはいるものの、歌詞の中でジョーンズであるとほのめかしている。
プラントは、以前ジョーンズが歌の歌詞などそれほど重要なものじゃないと述べたことを逆手にとって、ジョーンズをからかうような歌詞を書いたという。

4 俺の罪

(Page & Plant)

イントロ部分のギターはオクターブ上の音2つが重ねられて、プラントのボーカルとユニゾンを成している。1977年以降、ライブでは重要な曲となった。
この曲は、ブラインド・ウイリー・ジョンソンの同名の曲を編曲したもの。グレイトフル・デッドが1966年から1994年まで約20分にも及ぶ曲として演奏していた。

5 キャンディ・ストア・ロック

(Page & Plant)

ボーナムのドラムは抑え気味で、ペイジのギターもソロが短く音色もクリアに施されている。それはエルビス・プレスリーのような50年代のロックンロールを意識して作られた曲だからだ。
アメリカでシングルとしてリリースされたが、チャートインすることはなかったという。ライブでは演奏されることはなかったというが、それでも、プラントはこの曲を気に入っているようだ。

6 何処へ

(Page & Plant)

ここでもペイジはフェンダーのストラトを使用している。
この曲はプラントがペイジとマネージャーのピーター・グラントに対する不満を表現したもの。“Fuck”という言葉が含まれている唯一の曲。ライブでは決して演奏されなかった。

7 一人でお茶を

(Page & Plant)

冒頭、ギターとドラムのミドルテンポで始まり、その後すぐスローテンポのブルージーな曲となる。
歌詞の内容はホームシックなどの寂しさを表現したもの。これはプラントがコンサートツアーの際、ホテルで一人お茶を飲んでいるときに感じたものだという。
♪あなたを愛し続けてに通じるこの曲は、もう一度原点に返って、自分たちが若いころに比べてどのように変わったのか知りたいという思いから作られたという。

2007年5月27日日曜日

Physical Graffiti

画像Physical Graffiti (1975)
LED ZEPPELIN


Disc 1
1.Custard Pie
2.The Rover
3.In My Time Of Dying
4.Houses Of The Holy
5.Trampled Under Foot
6.Kashmir

Disc 2
1.In The Light
2.Bron-Yr-Aur
3.Down By The Seaside
4.Ten Years Gone
5.Night Flight
6.The Wanton Song
7.Boogie With Stu
8.Black Country Woman
9.Sick Again




新たに「スワンソング・レコード」という独自のレーベルを立ち上げ、その弟1弾となったこのアルバムは、全てのアルバムの中で一番セールスと評価ともに大成功を収めた作品といえるだろう。セールスの面だけでいうと、発売前からゴールドディスクになり、発売されるとこのアルバムとともに過去に発売されたアルバム全てがチャートインするという現象まで起こった。2枚組であるにもかかわらず、これほどまでのセールスを記録すると、批判の声はが少なかったのは当然というべきなのだろう。
このアルバムははじめから2枚組になる予定ではなく、いざレコーディングを終了してみると予想以上に収録時間が長くなり1枚では収まりきらなかったことから、過去の未収録曲を含めて現在の形になった。なんともいいかげんというか、自由というか…1枚に収めるために曲を短くしたりしないところは、しっかりと評価してもよいのだろう。
ジャケットにも創造の芽が及んでいる。写真はニューヨークのマンハッタン、セントマークスという所にあるアパートで、当時発売されたLPでは窓がくり抜かれていて内側が見えるように施されていて、メンバーのプライベート写真などを見ることができたという。また、内包の入れ方に寄って見える絵柄も変わったというから、常に新鮮なジャケットを目にすることができたのではないだろうか。
このアルバムを収録する前、ジョン・ポール・ジョーンズ脱退騒動があったという。ツアーに嫌気が差したジョーンズはウィンチェスター大聖堂の聖歌隊指揮者になるべく脱退を考えたらしいが、忠告や説得があったのだろうか、脱退を思い直しレコーディングに参加したという。そのエピソードを念頭にアルバムを聴くと、ジョーンズが辞めないでよかったと実感すると思うのだが…


Dcsc 1



1 カスタード・パイ

(Page & Plant)

フレッド・マクダウェルの♪Drop Down Mama、ブッカ・ホワイトの♪Shake 'Em On Down、ブラインド・ボーイ・フラーの♪I Want Some Of Your Pie、ブラウニー・マギーの♪Custard Pie Bluesなどがこの曲の元ネタ。
歌詞は非常に理解しがたいものだが、カスタード・パイとは女性の性器を差しているようで、オーラル・セックスの推奨を歌っているようだ。
ジミー・ペイジのワウワウ・ギターとジョン・ポール・ジョーンズのクラビネットが中心に曲が展開している。

2 流浪の民

(Page & Plant)

この曲は1970年、「III」が制作された時期にブロン・イ・アーにてアコースティックな曲として書かれたという。「聖なる館」作成時に録音されるたが、収録されずに、ようやくこのアルバムに収められた。
ジミー・ペイジのスタジオワークにより、よりヘビーな曲に仕上げられた。ここでのペイジはファズを使用している。
イントロ部分は、キンクスの♪Wicked Annabella(1968)に非常によく似ている。
“Rover”とはイギリスのスラングで放浪するという意味。
ライブでは決して演奏されることはなかったという。

3 死にかけて

(Bohnam, Jones, Page & Plant)

ブラインド・ウイリー・ジョンソンがレコーディングした♪Jesus Make Up My Dying Bedというトラディショナル・フォーク/ブルース(ボブ・ディランやジョッシュ・ホワイトなどがカバーしている)を基にしている。
ジミー・ペイジがオープンAコードで演奏するこの曲は、即興的要素を大いに含んでいて、終わりが決められていないため、スタジオ収録でも11分を超え、アルバムの中で一番長い曲となった。ライブで演奏されるときも、終わり方がバラバラだったという。
ここでの終了の仕方は、ロバート・プラントのささやくようなボーカルで演奏終了となっているのだが、実は終了間際プラントが歌っているときに誰かがせきこむ音が収録されている。どうやらジョン・ボーナムらしいのだが、偶然であれ意図的であれ、それがこの場合での終了の演出となっているようだ。

4 聖なる館

(Page & Plant)

ペイジのデジタル・ディレイのギターリフから曲は始まる。ここでも、ボーナムのバスドラをたたくペダルのきしみが聞こえる。
前作のアルバム「聖なる館」に収録されるために録音されたが、そのときは見送られ、今回収録されるに至った。
“聖なる館”とはライブでのアリーナなどを表現したもの。しかし、ライブでは決して演奏されることがなかったという。

5 トランプルド・アンダー・フット

(Jones, Page & Plant)

ロバート・ジョンソンの♪Terraplane Bluesを基にしている。テラプレーン(Terraplane)とは過去に存在した車メーカー。
ジャムセッションから発展し、ライブでよく演奏されて、ペイジのソロやジョン・ポール・ジョーンズのソロなどを加えて長い演奏になったという。ジョーンズのクラビネットから始まるこの曲は♪ノー・クォーター同様、ジョーンズのソロ演奏を披露する場でもあったようだ。
クラビネットを使用していることから、1972年にリリースされたスティービー・ワンダーの♪Superstition(迷信)にいていると言われている。またボーカルのメロディーはドゥービー・ブラザーズの♪Long Train Runnin'(1973)に非常によく似ている。
逆に1979年のスティックスの♪Renegadeでは、この曲が参考にされている。

6 カシミール

( Bonham, Page & Plant)

メンバー全員がこの曲は最も成功した曲だと認めている。
歌詞はプラントがモロッコのサハラ砂漠へ行ったときに書いたもので、インドとパキスタンの間に位置しているカシミールのことを具体的に述べているわけではない。
ペイジのギターはモーダルDまたはDADGADという変則的なもの。
ボーナムは最初4/4のリズムで演奏、途中で3/4のリズムに代わる。淡々とドラミングしているが、実はこの曲のキーポイントであると言っていいだろう。
メロディーはモロッコや中東の音楽の要素を取り入れてる。
コントラバス、チェロ、バイオリン、およびホルンといったオーケストレーションに加え、メロトロンが曲を壮大なものにしている。それぞれの楽器にはそれぞれ独自のメロディーが与えられているようで、そうれが相対的になることにより、音の厚みを増しているようだ。ジョーンズはそれがこの曲が成功した大きな要因だと語っている。
♪天国への階段と同様に、長尺にもかかわらずラジオでよく演奏された曲。


Disc 2


1 イン・ザ・ライト

(Jones, Page & Plant)

ほとんどジョーンズが作曲したこの曲は、バンド発足初期の作品♪In The Morning (別名 Take Me Home)という曲がベースとなっている。
シンセサイザーの生での再現ができなかったため、ライブでは演奏されなかったという。
イントロ部分ではペイジがバイオリンの弓を使ってギターを弾いて、ユニークな音を作り上げている。

2 ブロン・イ・アー

(Jimmy Page)

1970年のサードアルバムの際に録音された、アコースティック・ギターのインストゥルメンタル。曲の名前は、ウェールズのスノウドニアにあるコテージの名前を取ったもの。
ギターはマーチンD-28を使用していて、チューニングはオープンC6(C-A-C-G-C-E)。開放弦が反響したり、ミスタッチのように聞こえるのはペイジの演出だという。

3 ダウン・バイ・ザ・シーサイド

(Page & Plant)

1970年にブロン・イ・アーでアコースティック音楽として作られ、1971年にエレクトリック・アレンジメントされてフォースアルバムに収録される予定だったのが見送られ、結果このアルバムに収められている。
ゆっくりしたテンポと速いテンポ、2つのパートがある。スローテンポ部分では、ギターのアンプにロータリースピーカーを使用していて、コーラス効果を出している。ジョーンズは電子ピアノを弾いている。ライブでは演奏されなかった曲。
この曲は、ニール・ヤングの♪Down by the Riverからの影響を強く受けているという。プラントはヤングとスティルのボーカルを感心していたようで、彼自身、好んでバッファロー・スプリングフィールドやCSN&Yの曲を歌ったという。

4 テン・イヤーズ・ゴーン

(Page & Plant)

最初はインストゥルメンタルとして作曲され、ペイジが14トラックのギターを弾いてオーバーダビングされている。後のプラントがそれに歌詞を付けて、現在の形で完成した。
歌詞の内容は、プラントの10年前の恋人のことを歌ったものだという。
1977年のアメリカ・ツアーでこの曲を演奏する際、ジョーンズが特注のトリプル・ネック・ギター(6弦ギター、12弦ギター、マンドリン、ベースペダル)を使用した。

5 夜間飛行

(Jones, Page & Plant)

フォースアルバムに収録しようとしたのが外されて、このアルバムに収められた。
曲のほとんどをジョーンズが作ったようだが、歌詞をプラントが修正し、徴兵を回避しようと努力する若者の物語になった。

6 ワントン・ソング

(Page & Plant)

ジャム・セッションから生まれた曲で、ペイジのアグレッシブなリフが特徴的だ。
歌詞の内容は、悪意を持った女性とのセックスを描いたものだという。
ペイジはソロでリバーブとロータリースピーカーを併用しているために、ハモンド・オルガンとうまく絡み合い、深淵に入り込んでいくような効果を 作り出している。この手法は、ペイジがヤードバーズ時代からよく用いていたものだが、レッド・ツェッペリン発足当初は、レコーディング・エンジニアから強い拒否反応を示されたという。

7 ブギー・ウィズ・ステュー

(Bonham, Jones, Page, Plant, Ian Stewart & Mrs.Valens)

フォース・アルバムを収録中に出来上がった曲。ローリング・ストーンズの車載スタジオを利用しているのと同時に、ストーンズのロード・マネジャーであるイアン・スチュワートがピアノで参加している。
リッチー・バレンズの♪Ooh, My Headと登用だとして訴えられて、結局契約料を支払うことになった。クレジットに“Mrs.Valens”と記されているのは、「何も報われていないリッチーの母親のため」だとペイジが言ったとか─。

8 黒い田舎の女

(Page & Plant)

このアコースティック音楽は、1972年、ミック・ジャガーの家の裏庭で収録された。
冒頭での声は、レコーディング・エンジニアが「飛行機の音が入ってしまった」と言ったのに対してプラントが「ほっとけ」と言っているもの。
Black Coutryとはプラントが生まれ育ったバーミンガム周辺のこと。原題を直訳すると“ど田舎の女”とするのが正しいらしい。

9 シック・アゲイン

(Page & Plant)

グラム・ロックのようなこの曲は、ホテルの部屋まで押しかけてくる熱狂的なファンのことを“LA Queen”と呼んで、歌われているもの。ボーナムのバスドラが常に強く響いていて、やかましさをよく表現しいる。
ライブではよく演奏されたようだ。



2007年5月26日土曜日

聖なる館 ~ジャケット~

...休憩。




レッド・ツェッペリンの5枚目のアルバム「聖なる館」、ジャケットの舞台となったのはアイルランドの世界遺産、ジャイアント・コーズウェーと呼ばれる地。
珍しい石柱群は、5000万~6000万年前の火山の爆発で噴出した溶岩が冷えてできたと言われています。このような地形を柱状節理といい、世界のあらゆる場所で見ることができて、日本にもごく小さい規模ながらあるそうです。

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このジャケットのデザインを手がけたのはヒプノシスという人です。
最初、ストーム・ソーガスンという人にデザインを依頼したらしいですが、ストームはテニスコートの芝生を題材にしたデザインを提案し、その意図が“racket(=ラケット、騒音)”にあると発言したためにバンドから激しい怒りをかい、即刻デザイナー交代となったわけです。
ヒプノシスは後に、レッド・ツェッペリンのアルバム「プレゼンス」と「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」のジャケットデザインを手がけたようです。

2007年5月24日木曜日

聖なる館 Houses of the Holy

画像聖なる館
Houses of the Holy
(1973)
LED ZEPPELIN


1. Song Remains the Same
2. Rain Song
3. Over the Hills and Far Away
4. Crunge
5. Dancing Days
6. D'Yer Mak'er
7. No Quarter
8. Ocean



前作はロングセラーとなり彼らのアルバムで最も売れたアルバムとなったのだが、アメリカのチャートでは1位になることはなかった。そこでこのアルバムは、アメリカ市場にいかに対応するかということをコンセプトに制作が進められたようだ。
その甲斐あって、アルバムは全米ナンバー1を獲得し目標は実現された形にはなったが、評論家の評価はひどいものであったらしい。
レゲエ、ファンク、ロカビリーといったさまざまな要素を内包しているこのアルバムに対して、レッド・ツェッペリンは軟弱になったという意見が多かったようである。しかし、それは彼らをハードロック・バンドとしてしか捉えていない見方であり、そのような偏った見方を捨てて彼らを捉えたならば、その幅広い音楽性とその実力をもっと評価し、むしろこのアルバムに対し驚きを示すべきなのかもしれない。
中身がいろいろ華々しく飾られたこのアルバムは、ジャケット作成にも非常に力が入っている。裸の子供が光に向かって石段を登っているこの写真は、アイランドの世界遺産、ジャイアント・コーズウェイで撮影されたもの。撮影期間、非常に天気が悪くて光が弱く、満足のいく写真を得ることができなかったらしいが、それがかえってデザインに力を入れることにつながり、不思議な世界観をつくりだすことができたという逸話がある。
画像上に表示されている発売当初のアルバムジャケットは、あらゆる地域で発売禁止となっている。児童ポルノの観点から、好ましくないとされたからだ。そういった地域では、ジャケットの中央部にバンド名とアルバム名が入った白い矩形が配置され、子供の下半身を隠したバージョンで発売された。
バンド史上初めてしっかりとしたタイトルがつけられたこのアルバム、バラエティー豊かだというがさてどんなものか…



1 永遠の詩

(Page & Plant)

当初、この曲は序曲としてインストゥルメンタルで作られようとしていた。それにプラントが歌詞を付けることを提案して、今のような形になった。
プラントの音声部は収録時にテープスピードを少し上げているらしく、ピッチが少し上がっているのだという。
オリジナルタイトルの「音楽は変わることなく永らえる」というフレーズは、その後の彼らのテーマとなり、ライブでのオープニングで常に演奏された。
同名(The Song Remains the Same)のセミドキュメンタリー映画が1976年に制作されていて、日本では「レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ」という邦題で公開されている。

2 レイン・ソング

(Page & Plant)

ジョン・ポール・ジョーンズがメロトロンを使用して、オーケストラ効果を出している。
ライブでは♪永遠の歌~♪レイン・ソングがセットで演奏されたらしく、ペイジはギブソンのダブル・ネック・ギターを使用、上の12弦部分のチューニングはEAGDBEという一般的なもので♪永遠の歌を演奏、下の6弦部分のチューニングはDGCGCDという変則的なもので♪レイン・ソングを演奏した。(ライブではアルバムのバージョンよりもひとつ高いキーで演奏された)

3 丘のむこうに

(Page & Plant)

この曲はペイジがヤードバーズにいたころの♪White Summerへの追憶的作品。
��2弦ギターのフィンガリングプレイで始まり、エレクトリック・ギターがベースとドラムともに曲を勢いづけて、ラストはリバーブを効かせたスローなギターアルペジオで終わる。

4 クランジ

(Bonham, Jones, Page & Plant)

ファンクのようなこの曲は、ジェームス・ブラウンの曲を参考に作られたといわれている。評論家などからは9/8拍子の踊れないファンクと言われたらしい。
シンセサイザーが効果的に使用されている。

5 ダンシング・デイズ

(Page & Plant)

レコーディングに入って最初に完成した曲。レコーディング・エンジニアのエディー・クレーマーは、完成したこの曲を聴きながらメンバーがスタジオにある芝生で踊っている、と述べたというくらい、満足している作品のようだ。
オープニングのギターリフはアメリカのテレビのオープニングなどに使われたくらい、非常にインパクトがあるものだ。

6 デジャ・メイク・ハー

(Bonham, Jones, Page & Plant)

ジョン・ボーナムがスタジオ・リハーサルでドゥーワップのリズムを刻んでいて、それに変化を加えているとレゲエのようなリズムが生まれ、その独特のリズムがこの曲に生かされた。
メロディーでは1960年代のアメリカのミュージカル・グループ、Rosie and the Originalsの♪Angel Babyからの影響・引用がみられる。
曲名と歌詞はイギリスの古いジョークからきている。「D'yer mak'er=Did you make her?(お前がそうさせたのか?)」がレゲエ発祥の地「ジャマイカ」と聞こえることから、次のようなジョークがあるようだ。
��ウィキペディア参照)
A:「妻と喧嘩してね。あいつジャマイカに行っちまったんだよ」
B:「ジャマイカ!?」
A:「(D'yer mak'erと言われたと思って)いや、あいつが自分で出て行ったのさ」

このジョークがこの曲の全てを作り上げている。
ジョン・ポール・ジョーンズはこの曲を嫌っているようだ。

7 ノー・クォーター

(Jones, Page & Plant)

ジョン・ポール・ジョーンズが弾くシンセサイザーが印象的なこの曲は、ライブなどでは神秘的な光の演出とともに、ジョーンズがソロを披露する場にもなっていた。間奏部分ではクラシック・ピアノを演奏し、ピアノ・コンチェルトのような演出となり、もとは7分の曲が20分、30分になったという。

8 オーシャン

(Bonham, Jones, Page & Plant)

この曲は、ステージの上から見たファンの“海”を歌ったもので、そのファンへ捧げられている。
15/16のビートで始まり、途中で4/4へと変化する。
バックコーラスはジョーンズとボーナムが担当している。
曲の1分37秒~38秒と1分42秒付近の2個所で電話が鳴る音が聞こえる。これは意図的という意見もあれば、レコーディングミスという意見もある。この曲のリマスターバージョンでは、電話の音が抑えられているようだ。
この曲でもボーナムがバスドラをたたくときのペダルのきしみが聴こえる。

Led Zeppelin II ~ジャケット~

休憩...



第1次世界大戦中に連合国側から「フライング・サーカス」と恐れられた、ドイツの第一戦闘航空団。司令マンフレート・フォン・リヒトホーフェンは、素晴らしい活躍と紳士的な態度からレッド・バロンと称えられた。
下の写真は、マンフレートが第一戦闘航空団の前に司令官を務めていた第11戦闘機中隊の集合写真である。

Standing: Unknown, Hintsch, Festner, Emil Schaefer, Kurt Wolff, Georg Simon, Otto Brauneck
Sitting: Esser, Krefft, Lothar v. Richtofen
In cockpit: Manfred v. Richtofen

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ジャケット(by David Juniper)はその写真をパロディー化したもの。先頭に座っているマンフレート本人がいて、後ろにメンバー4人、女優:グリニス・ジョーンズ、バンド・マネジャーとツアー・マネジャー、ブルースマン:ブラインド・ウイリー・ジョンソンらの顔に差し替えられている。

2007年5月22日火曜日

Led Zeppelin IV

画像LED ZEPPELIN IV (1971)
LED ZEPPELIN


1. Black dog
2. Rock 'n' roll
3. Battle of Evermore
4. Stairway to Heaven
5. Misty mountain hop
6. Four sticks
7. Going to California
8. When the levee breaks


このアルバムのタイトルはよく「Led Zeppelin IV」と表記されるが、実際にはこのアルバムのタイトル名はない。
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このメンバーを表しているというシンボルマーク(左から順にペイジ、ジョーンズ、ボーナム、プラント)がアルバムタイトルであり、これ以外のレッド・ツェッペリン側からのアルバムタイトルに関する呼称が発表されていないために、世の中で表記されているこのアルバムの文字タイトルは、すべて仮称なのである。
当初、このマークはそれぞれのメンバーが独自にデザインしたものであるとのリリースだったが、後にペイジのマークは、ジェロラモ・カルダーノが1557年に著した「Ars Magica Arteficii (人為的魔術奥義)」からの引用であるということが分かった。※詳しくはこちら
ジャケットに写っている絵は、プラントがレコーディング・スタジオ近くの雑貨店で買ったもので、壁紙がはがれ落ち崩れかけている壁に掛けられている。
レコードで発売された当時、ジャケットの表と裏のどこにも文字が一切なかったという。レコード会社からはジャケットの変更を求められたらしいが、デザイン権はツェッペリン側が保有していたので、異例のデザインでアルバムがリリースされたのだ。この徹底したコンセプトが功を奏したのか、フォース・アルバムは彼らがリリースしたアルバムの中で最も売れている。

「I」「II」のハードな面と「III」のアコースティックな面の融合、それがこのフォース・アルバムの音楽的なコンセプトであるだろう。
あの有名なマエストロ、カラヤンが賞賛した♪Stairway to Heaven の静と動がまさしくこのアルバムを物語っている。8分を超えるこの曲は、ラジオなどで盛んに流されてシングルカットを望む声も多かったらしいが、決してシングルカットされることはなかった。シングルにするということは8分の曲を短くカットしなければならなく、商業目的のためだけに作品を作り変えることを嫌った彼らは、文字なしジャケットというコンセプトも手伝って、人々には非常に芸術性を持っているように写ったのではないだろうか。さてその芸術とは…


1 ブラック・ドッグ

(Jones, Page & Plant)

ギターとベースのユニゾン・ウォーミングアップから始まるこの曲のリフは、ベースを弾いているジョン・ポール・ジョーンズがマディー・ウオータースのアルバム「Electric Mud」からヒントを得たようだ。ジョーンズはベースのパートも一緒に展開するエレクトリック・ブルースなるものを求め、ギターとベースがユニゾンで展開するリフが生まれた。アカペラ部分の歌詞はフリートウッド・マックの♪Oh Well (1969) から思いついたものだという。
ドラム・パターンはシンプルではあるが、リズムやテンポが複雑だ。
この曲でペイジは、ユニバーサル・オーディオの1176リミッティングアンプやマーシャルアンプなどを使用して録音しているのだが、マテリアルに関しても数多くのギタリストに影響を与えている。

2 ロックン・ロール

(Bonham, Jones, Page & Plant)

ジャムセッションから生まれた曲。
最初のボーナムのドラムはリトル・リチャードの♪You Keep A-Knocking (But You Can't Come In)を参考にしたもの。その曲にはジョーンズがベースで、ペイジがギターで参加していたという。また、ドラムラインはエディー・コクランの♪Something Else と全く同じであるという指摘もある。
曲の後半では、当時ローリング・ストーンズのロード・マネジャーだったイアン・スチュワートがピアノで参加している。

3 限りなき戦い

(Page & Plant)

ギターとマンドリンで演奏されるこの曲は、暖炉の前でペイジがマンドリン軽く弾いていたときに生まれたという。
ボーカルはプラントのほかに、イギリスの女性フォークシンガー、サンディー・デニーが参加している。プラント以外のボーカルを聴くことができるのは、この曲だけである。ライブでは、デニーのボーカル部分をジョーンズが歌い、ジョーンズは、また、マンドリンを弾いているペイジに代わってギターを弾いた。
ここでの歌詞はトールキンの「指輪物語」の場面を歌ったものだという説が有力だ。プラントは、「指輪物語」から影響を受けた歌詞をしばしば書いている。

4 天国への階段

(Page & Plant)

12弦アコースティック・ギターとリコーダーの演奏から静かに始まり、単一のメロディーが繰り返しながら徐々に盛り上がっていく構成になっている。
曲は大きく3部に分けられる。
��部(-2:12):ギターのアルペジオとリコーダーだけのアンプラグド
��部(2:13-5:33):エレクトリック・ギター、エレクトリック・ピアノが入ってきて、新たなメロディーパートが加わる
��部(5:55-):テンポが速くなり、曲調とメロディーががらりと変わるが、1部で提示したコード進行を踏襲しているために統一性を保っている
今までのツェッペリンにはないくらいに、すべて考えに考えられて、意図的に配置され、アドリブ的部分は全くないといっていい。今まで彼らをやかましがった評論家は閉口したという。ジョーンズは「この曲でブラック・サバスと比べられるようなことはなくなった」と皮肉をこめて述べたという。
同時に、この曲があまりに評価されすぎて限定的なイメージを持たれることを嫌ったプラントは、「たまたま生まれた曲」などと述べたともいう。
ジャンルが全く違う世界のカラヤンが「オーケストラでこの曲を演奏したとしても、全く同じアレンジにしただろう」というほどに、この曲は素晴らしく、この曲をシングルカットしなかったためにアルバム自体のセールスが伸びたとも言われている。

5 ミスティ・マウンテン・ホップ

(Jones, Page & Plant)

ジョン・ポール・ジョーンズのポップなエレクトリック・ピアノから始まるこの曲の歌詞は、「指輪物語」の霧ふり山脈(Misty Mountains)を引用したもの。
ギターとピアノがユニゾンするリフが非常に特徴的で、そのリフを中心に曲が展開していき、途中ボーカルもそれにシンクロする。しかし、ちょうど2分11秒付近でそのシンクロがばらばらになる個所がある。単にそれは個々が演奏を間違ったものらしいが、それも曲の個性と捉えてそのまま間違ったテイクをアルバムに収録したという。

6 フォア・スティックス

(Page & Plant)

曲の由来は、ボーナムが両手に2ずつのスティック・計4本のスティックを使用したからだという。4本のスティックを持ったボーナムは微妙な音の表現ができなくていらいらし、結局できる限り強くたたき続けたという。
この曲を収録中にミステイクをしたペイジが、たまったフラストレーションを開放するためにふざけてでたらめなリフを弾いて、それに呼応するようにボーナムがリトル・リチャードの曲をたたいた─、その結果生まれた曲が♪ロックン・ロールだといわれている。

7 カリフォルニア

(Page & Plant)

ペイジのアコースティックにジョーンズのマンドリンをバックに静かにプラントが歌うこの曲は、ペイジ、プラントが夢中になったジョニ・ミッチェルのことを歌った曲だという。

8 レヴィー・ブレイク

(Bonham, Jones, Page, Plant & Memphis Minnie)

1927年のミシシッピ大洪水の悲劇を歌ったこの曲を、カンザス・ジョー・マッコイ/メンフィス・ミニー夫妻が1929年に最初に録音した。ツェッペリンはそれを編曲している。
ドラムの音は天井が高いホールで収録しているため、非常に大きい反響効果を生み出している。それに合わせてハーモニカにもリバーブをかけていて、統一された世界観を作り出している。このドラムの音は究極のドラム・サウンドといわれていて、現在、サンプル素材としてよく使用されている。

Led Zeppelin III

画像LED ZEPPELIN III (1970)
LED ZEPPELIN


1. Immigrant song
2. Friends
3. Celebration day
4. Since I've been loving you
5. Out on the tiles
6. Gallows pole
7. Tangerine
8. That's the way
9. Bron Y Aur stomp
10. Hats off to (Roy) Harper


めまぐるしい1969年を終えると、4人はスコットランドのコテージ、ブロン・イ・アーというところで休息をした。その時、自然の流れで作曲活動も行われることになるのだが、大自然に囲まれた環境で電気がなかったためにアコースティックギターでの作曲が多く、それが「III」の方向性を決定付けたといわれている。しかし、それは少し飾った話らしく、前作・前々作のペイジのギターを中心としたハードでブルース色が強いイメージを払拭したかったというのが実情のようだ。
発売当初は酷評されて、クロスビー、スティルス、ナッシュ&クロスビー(CSN&Y)の物まねなどとも言われたらしい。しかし、時がたつにつれて、どんどん評価が上がってきているようだ。
よく言われるのが、このアルバムがLed Zeppelin IVへの重要な準備であったということ。確かにそういった面は否定できないけれども、そんな固定観念的な見方をやめて、じっくりと「III」を聴いてみると、より彼らの奥底へと入り込んでいける、と個人的には思っているのだが…

1 移民の歌 (2:27)

(Page & Plant)

この曲は10世紀から11世紀にかけて活躍したバイキング、レイフ・エリクソンに捧げられている。アイスランドに生まれノルウェーに移り住んでいたレイフが、新しい入植地を求め航海をするさまを背景に歌われているようだ。
冒頭のノイズはエコーがフィードバックする音。ギターとドラムのリフから始まり、プラントの雄叫びの後、ベースがギターとドラムに呼応してそれが最後までループしていく。
ツェッペリンはあまりシングルをリリースしなかったが、この曲はその数少ないシングルカットされたもののひとつ。B面には♪ホワット・キャン・アイ・ドゥが収められたらしいが、日本でのリリースの際、間違って♪アウト・オン・ザ・タイルズがB面に挿入されて、今ではそれがレア版となっているそうだ。

2 フレンズ (3:56)

(Page & Plant)

この曲では擦弦楽器が使用されていて、ジョン・ポール・ジョーンズがアレンジングをしている。
ペイジが弾くアコースティックギターは、CSN&Yの♪Carry on によく似ている。
ボンゴが使用されたりしていて、エスニックな曲。

3 祭典の日 (3:31)

(Jones, Page & Plant)

この曲は一度マスターテープがヘッドに詰まって消えかかったところを、なんとか修復して出来上がったものらしい。修復不可能な所はモーグ・シンセサイザーの音を入れて、前の曲♪フレンドとオーバーダビングさせたために、2曲目と3曲目の合間がない。
内容はニューヨークの印象を歌ったものだと、ロバート・プラント自身が述べている。

4 貴方を愛しつづけて (7:25)

(Jones, Page & Plant)

この曲はすでに1969年の早い段階にレコーディングされていて、セカンドアルバムに入る予定だったが、♪Whole lotta love などの曲調と合わないという理由から収録されなかったらしい。
ここでのジョン・ポール・ジョーンズはハモンド・オルガンを弾いていて、ベースラインはオルガンのベースペダルで弾いている。
ジミー・ペイジのソロを収録するのには相当苦労したらしく、彼が納得するまで収録が続けられて、結果ロック史上最高といわれるギターソロが生まれた。
歌詞はアメリカのサイケデリックバンド、モビー・グレイプの♪Neverという曲からかなりの影響を受けたもの。ロバート・プラントはモビー・グレイプのファンであったようだ。
また、チョーキングから始まるギターのフレーズは、ヤードバーズの♪New York City Blues(1966) とほとんど同じだ。
ジョン・ボーナムについていうと、バスドラのペダル音を聴くことができる数少ない曲のひとつである(ほかに♪The Ocean、♪The Rain Song、♪Ten Years Gone、♪Bonzo's Montreuxなどでもペダル音を聴くことができる)。
ブルースを基調としている彼らの曲の中で頂点を極める曲といえる。

5 アウト・オン・ザ・タイルズ (4:08)

(Bonham, Page & Plant)

この曲の作詞にはジョン・ボーナムもかかわっている。彼らが外へ遊びに行ったときにボンゾが歌った鼻歌を基にしてできた曲。ボンゾは、また、バーへ行くことをよく「Out on the tiles」と表現したという。
0:11 付近で「Alright」、1:23 付近で「Stop」という声が聞こえる。ペイジの声という説があるが、本人は強く否定しているという。
また、この曲は♪Immigrant songが日本で発売される際に、一度間違ってB面に収められた。

6 ギャロウズ・ポウル (4:58)

(Traditional -arr by Page & Plant)

この曲の原曲は♪The Maid Freed from the Gallowsという民謡で、1939年にアメリカのブルース・ミュージシャン、レッドベリーによって♪Gallows Poleという曲名で最初に録音された。それをレッド・ツェッペリンがアレンジしている。
最初にアコースティック・ギターから始まり、マンドリン、ベース、ドラムと次々音が混じり合い、その中で最後にエレクトリック・ギターのソロが混じって曲が終了する。

7 タンジェリン (3:12)

(Jimmy Page)

この曲でジミー・ページはペダル・スチール・ギターを使用している。
曲は12弦ギターのAマイナーから悲しく始まるが、中盤以降はG D C のメジャーキーで推移してそのまま静かに終了する。

8 ザッツ・ザ・ウェイ (5:39)

(Page & Plant)

この曲でもペダル・スチール・ギターが使用されている。
そのほか、アコースティック・ギターとジョン・ポール・ジョーンズによるマンドリン、曲の後半にはロバート・プラントによるタンバリン、ベースとドラムは一切ない。このアルバムを前作・前々作からの脱却と位置づけるならば、この曲がその結果を一番象徴しているのかもしれない。

9 スノウドニアの小屋 (4:18)

(Jones, Page & Plant)

この曲のタイトル「Bron-Y-Aur」のつづりは、実は間違っている。正しくは「Bron-Yr-Aur」。後にまた、このウェールズのコテージをタイトルにした曲をアルバム「フィジカル・グラフィティー」に収録されているが、その際は「Bron-Yr-Aur」と正しく題されている。
初期に彼らが作った♪Jennings Farm Bluesを作り直したのがこの曲。海賊版などでその原曲が現れるという。
ジョン・ボーナムはドラムのほかにスプーンとカスタネットを担当していて、ジョン・ポール・ジョーンズは5弦フレットレス・ベースを弾いている。ライブではボンゾがコーラスを担当、ジョーンズはウッド・ベースで演奏したそうだ。

10 ハッツ・オフ・トゥ・ロイ・ハーパー (3:42)

(Traditional -arr by Charles Obscure)

この曲はロバート・プラントのボーカルとジミー・ペイジのスライド・ギターで構成されている。
ペイジはクレジットで「Charles Obscure(無名)」というペンネームを使用している。
ブッカ・ホワイトの♪Shake 'Em on Downとオスカー・ウッズの♪Lone Wolf Bluesなど古いブルースを基に作られた曲で、題名にあるロイ・ハーパーという人へ捧げられた曲というよりは、むしろ1930年代・1940年代のアメリカ・ブルース・ミュージシャンへ捧げられた曲といえる。
ロイ・ハーパーはイギリスのフォーク・ミュージシャンで、ペイジとも親交があったようだ。ツェッペリンのコンサートのオープニングを務めたり、逆にペイジがレコーディングに参加したりした。また、ハーパーはピンク・フロイドの♪Have a Cigarでリードボーカルを務めている。
あらゆるスタジオで似たような曲が録音され、それらは海賊版として出回っているようだ。オフィシャルリリース同様に、オーティス・ラッシュやエルビス・プレスリーが録音した♪Feel So Bad、ロバート・ジョンソンの♪Traveling Riverside Blues、♪32-20 Blues、スリーピー・ジョン・エスティスの♪Diving Duck Blues、ブッカ・ホワイトの♪Fixin' To Die、エルビスの♪That Alright Mamaなどを基にしたさまざまなバージョンがあるようだ。ライブなどでそれらをメドレーとして演奏したらしいが、オフィシャルリリースである♪ハッツ・オフ・トゥ・ロイ・ハーパーは決して演奏されることはなかったという。

2007年5月21日月曜日

Led Zeppelin II

画像LED ZEPPEIN II (1969)
LED ZEPPELIN


1.Whole lotta love
2.What is and what should never be
3.Lemon song
4.Thank you
5.Heartbreaker
6.Livin' lovin' maid (she's just a woman)
7.Ramble on
8.Moby dick
9.Bring it on home



ファースト・アルバムを出した彼らは、その年だけで全米ツアーを3回こなしてその上、母国イギリスではテレビやラジオに出演するなど精力的に活動した。その甲斐あってか、デビューアルバムはセールス的に成功したのだが、彼らが所属するアトランティック・レコードはビジネス的に成功すると見た途端、次のアルバムを早く出すように強く要求するようになる。ハードなスケジュールではあったが、この勢いに乗りたいという思いから、早く新しいアルバムを出したいという気持ちはレッド・ツェッペリンのメンバー全員が持っていたようで、休む暇も惜しんでレコーディングを続けて、年が明けないうちにセカンド・アルバムを完成させる。レッド・ツェッペリンのアルバムの中で、最も勢いがあって力強さを感じるのは、この制作過程によるものであろう。
個人的に思うのだが、このアルバムの曲すべて思いつきで作り始められて、完成させていく中で強引に洗練させていったのではないだろか。考えに考え抜いたものであれば、♪Whole lotta loveのような曲は生まれてこないと思うのだが…

1 胸いっぱいの愛を (5:35)

(Bonham, Jones, Page & Plant)

この曲はマディー・ウォータースが歌ったウィリー・ディクソン作の♪You need loveからの引用が多くみられ、後に訴訟にまで発展した。その後和解し、ディクソンの名前もクレジットに入るようになったようだ。
また、ハウリン・ウルフが最初にレコーディングした、これもまたディクソンの曲♪Back Door Manと♪Shake for Meからの影響もみられるようで、つまり、ブルースを集約させた結果ハードロックの代表曲になったといえるだろう。
ジミー・ペイジの有名なギター・リフから始まり、途中、テルミンとロバート・プラントの雄叫びがフリー・インプロビゼーションのごとく展開して、レコーディングの際、エンジニアのエディー・クレイマーが逆回転やエコー、ミキシング・コンソールの変化などを駆使して、歴史的な録音を作り上げていった。
初期の代表曲としてこの曲がよく挙げられる。

2 強き二人の愛 (4:45)

(Page & Plant)

ロバート・プラントが初めて執筆料を手にした曲で、内容はプラントと彼の奥さんの妹とのロマンスを歌ったものだという。
また、この曲で初めてジミー・ペイジがギブソンのレスポールを使用した。4チャンネルのステレオ・パンを駆使していて、音が上下・左右に動き回って、パワフルで幻想的なギターを堪能できる。

3 レモン・ソング (6:19)

(Bonham, Jones, Page & Plant)

この曲の元になったのはハウリン・ウルフが1964年に発表した曲♪Killing Floorで、後に訴えられてクレジットにハウリン・ウルフの名前も記されるようになった。
歌詞もロバート・ジョンソンの♪Traveling Riverside Bluesから借用しているようだ。
スタジオでもライブ録音されたこの曲の一番の聴き所は、何といってもジョン・ポール・ジョーンズの見事なベースであろう。曲全体にわたって即興的に弾いていたという。このベースの録音は、ロック界における最高の演奏のひとつとされている。

4 サンキュー (4:49)

(Page & Plant)

ロバート・プラントが彼の妻に捧げたバラード。
冒頭の歌詞がジミ・ヘンドリックスの♪If 6 was 9 と非常によく似ているそうだ。
ジョン・ポール・ジョーンズのオルガンが前面に出ているこの曲は、レッド・ツェッペリンの代表曲になっていると同時に、ジョン・ポールのキーボード演奏を代表する曲のひとつにもなっている。

5 ハートブレイカー (4:14)

(Bonham, Jones, Page & Plant)

ジミー・ペイジのギターリフ・ギターソロ、すべてが特徴的で忘れることができない。すべてが即興的に組み立てられていると、聴けばすぐ分かるのだが、それゆえにペイジの恐ろしさを感じてしまう。レッド・ツェッペリンをジミー・ペイジのバンドだとするならば、その基本的なものはすべてこの曲に内包されているといっても過言ではないだろう。
言うまでもなく、レッド・ツェッペリンの代表曲。

6 リヴィング・ラヴィング・メイド (2:39)

(Page & Plant)

ジミー・ペイジはこの曲があまり好きでなかったらしく、ライブなどではほとんど演奏されなかったという。また、ジミー・ペイジがバック・ボーカルをしている数少ない曲のひとつである。
逆にロバート・プラントはこの曲を気に入っていて、ソロになってからしばしば演奏されている。
ベースラインがどっしりとしていて、シンプルな曲。

7 ランブル・オン (4:24)

(Page & Plant)

歌詞がトールキンの「指輪物語」の影響を強く受けているようだ。
冒頭、ペタペタと聴こえる打楽器は、ジョン・ボーナムがバケツをたたいている音。
ギターとベースとドラムが非常にバランスがいい曲なのだが、ライブでは決して演奏されることはなかったという。

8 モビー・ディック (4:20)

(Bonham, Jones & Page)

ジョン・ボーナムのドラムソロがメインとなっているインストゥルメンタル。ライブでドラムソロをする際の定番の曲となった。
この曲ではデイブ・ブルーベック・カルテットのドラマー、ジョー・モレロの演奏とクリームのドラマー、ジンジャー・ベイカーの演奏が大きく影響している。ハンドドラミング、手足による三連、バスドラでのダブルストロークなどの技は、デイブ・ブルーベック・カルテットのカーネギーホールでのライブ♪Castilian Drums、クリームの♪Toad などから吸収したもの。
ギターのリフはヤードバーズの♪I'm Not Talking に非常によく似ている。

9 ブリング・イット・オン・ホーム (4:21)

(Page & Plant)

作曲:サニー・ボーイ・ウィリアムソンII 作詞:ウイリー・ディクソンのブルースに独自のメロディーを加えたもの。これもやはり裁判沙汰になっている。
導入部と最後でのプラントのブルースハープとペイジのギター演奏がサニー・ボーイのブルースで、途中の激しいバンド演奏はペイジとプラントが作曲したもの。


2007年5月20日日曜日

Led Zeppelin I

画像LED ZEPPELIN
LED ZEPPELIN
(1969)
 1. Good Times Bad Times
 2. Babe I'm Gonna Leave You
 3. You Shook Me
 4. Dazed And Confused
 5. Your Time Is Gonna Come
 6. Black Mountain Side
 7. Communication Breakdown
 8. I Can't Quit You Baby
 9. How Many More Times


1966年、ジミー・ペイジがヤードバーズに参加、まもなくジェフ・ベックがヤードバーズを抜けて、そこからレッド・ツェッペリンが始まったといえるのかもしれない。同年にジェフ・ベックとジミー・ペイジは、ジョン・ポール・ジョーンズ(ベース)、ニッキー・ホプキンス(ピアノ)、キース・ムーン(ドラムス、ザ・フー)とセッションをして♪ベックス・ボレロという素晴らしい音源を残している(ジェフ・ベックのアルバム「Truth」に収録)。このメンバーでバンド活動を続ける案もあったらしいが個々の契約上不可能であったという。その時、キース・ムーンが色んなしがらみがある自分たちを飛べない飛行船((Lead Balloon)と表現して、それが墜落炎上したドイツの飛行船ツェッペリン号と掛け合わされて、“ Led Zeppelin”というバンド名が生まれたと言われている。
ジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ボーナム、ジョン・ポール・ジョーンズ、この4人が揃ったのは1968年で、そのころはまだ「ヤードバーズ」というバンド名でライブ活動をしていた。
1969年、わずか9日間、36時間のスタジオ・ワークで完成させたファースト・アルバム「レッド・ツェッペリン」をリリースしてレッド・ツェッペリンが誕生する。前年にライブ活動をしていたため、短時間でアルバムを完成させることができたらしい。ほとんどが、スタジオライブ録音ということらしいが…。

1 グッド・タイムズ・バッド・タイムズ (2:47)

(Page, Jones & Bonham)

ドン、ドン、と始まる出だしが印象的な曲。
ジミー・ペイジのレスリースピーカー(Leslie Speaker)でのソロが特徴的。フランジャーのように、音がぐるぐる回っている。
ジョン・ボーナムが高速での三連バスを連続している技も聴き所。

2 ゴナ・リーヴ・ユー (6:41)

(Trad-arr.by Jimmy Page)

長いことトラディショナル・ナンバーなのだと信じられていたが、1980年代になってアン・ブレドンというアメリカ人女性の作品であることが判明し、クレジットが「Anne Bredon / Jimmy Page & Robert Plant」と改められた。ジョーン・バエズが1962年にリリースした「Joan Baez in Concert」に収められているバージョンが原曲。
原曲がフォークソングであるためか、アコースティックギターのアルペジオが非常に美しく、さらにフラメンコ風にギターがかき鳴らされると同時に曲調が激しくなり、そしてまたアコギのアルペジオとソロ…、というように抑揚が聴いた曲。

3 ユー・シュック・ミー (6:27)

(Dixon/Lenoir)

1962年にマディー・ウォーターズが録音したブルース。その後、ジェフ・ベックがアルバム「Truth」(1968)でカバーしている。
ジョン・ポールのオルガン、ページのギターソロ、プラントのブルース・ハープが見事に融合している。

4 幻惑されて (6:26)

(Jimmy Page)

ペイジの作品とクレジットされているが、実はジェイク・ホルムズが1967年にリリースしたアルバム「The Above Ground Sound" of Jake Holmes」に収められている作品。
バンド名がまだヤードバーズであったころから演奏されていた曲。
ジョン・ポールの重低音ベースからゆったりと始まり、途中、ペイジの弓弾きギターを中心とした幻想的な曲調になり、その後アップテンポになる。再びスローに戻る際に鳴らされるペイジのギターリフは、一度聴いたら忘れられない。

5 時が来たりて (4:34)

(Page & Jones)

ジョン・ポールの幻想的なパイプ・オルガンのような音から始まり、途中、ペイジが10弦ペダル・スチール・ギターを使用している。
さわやかな60年代のブリティッシュ・ロックといえるだろう。

6 ブラック・マウンテン・サイド (2:21)

(Page)

ペイジのギターとヴィラム・ジャザニ(Viram Jasani)のタンブラーによるインストゥルメンタル。
ペイジの作品となっているが、実際は♪Blackwatersideというイギリス民謡。イギリスのフォークミュージシャン、バート・ヤンシュのアレンジを引用しているようだ。ヤンシュと違うのは、ペイジはモーダルDチューニング(DADGAD)で演奏しているという点。
非常にエスニックな曲。

7 コミュニケイション・ブレイクダウン (2:29)

(Page, Jones & Bonham)

ペイジの印象的なギターリフから始まる、アップテンポでポップな曲。シンプルで短い曲なので、ツェッペリンをカバーするには最適。
ライブでは常に演奏されたらしく、ツェッペリンの代表的な曲のひとつといっていいだろう。

8 君から離れられない (4:42)

(Willie Dixon)

多くのミュージシャンが演奏しているブルースナンバー。オーティス・ラッシュがレコーディングしたものが有名。
ジョン・ポールとボンゾの重々しいブルージーなリズムをバックに、ペイジのインプロヴィゼーション的ギターソロが自由に響いている。

9 ハウ・メニー・モア・タイムズ (8:28)

(Page, Jones & Bonham)

曲の途中、ボレロのリズムが入ってくるのだが、それは♪ベックス・ボレロでペイジが演奏しているパートを再現しているもの。
また、この曲はペイジ、ジョーンズ、ボンゾが影響を受けたブルースナンバーをミックスして作られている。とくにアルバート・キングの♪Hunter、ハウリン・ウルフの♪How Many More Yearsからの引用が多い。
ここでもペイジの弓弾きを聴くことができる。








2007年5月18日金曜日

ジョン・ポール・ジョーンズ

レッド・ツェッペリン、メンバー4人、ひとりひとり個性が強いと思うのですが、プラント、ページ、ボンゾに比べるとジョン・ポール・ジョーンズの存在はどうしても薄くなってしまのではないでしょうか?
ツェッペリンの音楽を聴けば聴くほど、ジョン・ポール・ジョーンズの存在がいかに重要なものかわかってくるのですが─。

何も知らない僕が初めてレッド・ツェッペリンを知った時、誰よりもジョン・ポール・ジョーンズにひかれたものです。なんと贅沢な名前なのかと─。ジョンポールという名前を冠にしているなんて、よっぽどすごいのでは!?と純粋無垢な若造が勝手にそう思い込んだのです。ビートルズとは何の関係もないらしいと分かり、そして徐々にツェッペリンの音楽を知ってくると、自然とプラント、ページ、ボンゾに興味がいってしまいました。3人のパワーにどうしても圧倒されてしまうわけなんです。

アルバム「フィジカルグラフィティ」を聴いた時、ようやくジョン・ポール・ジョーンズの偉大さに気がつきました。♪カシミール♪ノー・クォーターなどは、パワフルな3人だけでは作れなかったでしょう。

サードアルバムに収録されている♪Since I've been loving you という曲は、僕が最も好きな曲のひとつ。
ブルージーなページのギター、情熱的なプラントの歌、重々しいボンゾのドラム─
当初はその3要素だけにしか耳がいってなかったのですが、ジョン・ポールの偉大さを知って改めて聴いてみると、堅実なベースとともにかなりいかしたオルガンもジョン・ポールのなせる業なのかと、さらにこの曲のよさを知り、最も好きな曲のひとつにまで昇華したのです。

いまでは、レッド・ツェッペリンが伝説的な存在と成り得ているのはジョン・ポール・ジョーンズがいたからだと、勝手ながら、そう思っているのです。

2007年5月17日木曜日

iTunesでポールが聴けるらしい

きょうiTunesストアのメールにポールの写真が大きく掲載されていて
ポール・マッカートニー
「Memory Almost Full」で iTunes デビュー
と宣伝されていました。

iTunesがビートルズの楽曲配信を狙っている意思を感じます。

今月初め英EMIが買収の打診を受けたというニュースを目にしました。英EMIに打診した企業は明かされていませんでしたが、もしかしたらアップル・コンピュータかも、と想像を膨らませてみるのもなかなか面白いものです。

さてポールですが、新作を出したあとはワールドツアーなどするのでしょうか?今年65歳になるポールは─…。

2002年、当時60歳のール・マッカートニーの来日公演が東京ドームでありまして、幸運にも僕は、音楽好きの会社の社長と上司のおかげでその公演を見ることができました。
その内容は、とても60歳のとは思えないパフォーマンスで、ポールのすごさを新たに感じたものです。それ故に、当然のように65歳のポール・マッカートニー来日公演を期待してしまうのです。


↑2002年の全米ツアーの映像ですが、僕が見た東京ドーム公演もまさにこのようなステージでした。ポール、ものすごくアクティブですよね。彼はこのテンションのまま、2時間以上、30曲以上、演奏していました。
あれが最後の公演だと思っていましたが、まだまだ、まだまだでしょう。

2007年5月15日火曜日

松坂のテーマ曲

さぁ松坂大輔の登場です。

デトロイト・タイガース
vs
ボストン・レッドソックス



デトロイト・タイガースは去年のアメリカン・リーグのチャンピオンで現在、中地区首位。油断はできません。
試合開始は日本時間午前8時から。
はやる気持ちを抑えきれず、ただいまフジテレビでヤンキース対マリナーズ(録画)を見ています。選手や審判がピンクのリストバンドをしたりピンクのバットを振っていたりして、球場全体がなぜかピンクで染まっています。この試合は現地時間の13日夜に行われた試合で、その日は母の日ということで乳ガン撲滅基金キャンペーンの一環として「ピンクリボン」を胸に試合が行われていたようです。
画像
Pink Ribbon
NPO法人 J.POSH
ピンクリボン(Wikipedia)


さて、松坂に話しを戻しますと─
彼のテーマ曲がいつの間にか決まっていたようです。
ヒップホップ界の“怪物”こと、ジュエルズ・サンタナ♪The Second Comingという曲らしいのですが、全く知らないなぁ…

ナイキのCMでも使用されているということだったので、どうぞ─

ベースボールにヒップポップはどうかと思うのは古い人間だけなのでしょうか。イチローもヒップポップをテーマソングにしているみたいだし、何選んでも本人の自由なんです。
何よりもまず、いいピッチングをしてもらうのが最優先です。変なピッチングを続けていると、テーマ曲もかけてくれなくなりますから。

ウイリアム・テル

ウイリアム・テルという名前を知ったのは、フジテレビのバラエティー番組「オレたちひょうき族」からだ、という人は意外と多いのではないだろうか。僕もそのひとりだ。

ウイリアム・テル序曲(William Tell Overture)
1829年 ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini)作曲

・夜明け (Prelude) Em
 五つの独奏チェロと残りのチェロ、コントラバス、ティンパニだけで演奏
・嵐 (Storm) Em
 ここから全合奏になり、強風から暴風雨になるが描写
・牧歌 (Ranz des vaches) G
 嵐の後の静けさの中からコーラングレとフルートによる牧童の笛
・スイス独立軍の行進 (Finale)
 E
 トランペット、ホルン、ティンパニによるファンファーレ

��つの部分から構成されていて、演奏時間は12~13分程度

ドイツの詩人、フリードリヒ・フォン・シラー(Friedrich von Schiller)が1804年に書いた戯曲をもとに、イタリア人のロッシーニがオペラ「ウイリアム・テル」を作曲

スイスの英雄ウイリアム・テルが、ドイツの詩人により世に紹介され、イタリア人作曲家によって世界中に広められた─なんとも不思議な経緯

��4世紀のボーガン名手「ウイリアム・テル」、その名前は歴史文献の記述では一切出てこないため、あくまで伝説上の人物だとされているが、スイスの人々はその存在を強く信じているらしい


小学校の音楽の授業で「スイス独立軍の行進」を聴いた時は、かなり驚いた。「オレたちひょうきん族」のオープニングテーマ曲が、まさか歴史に名を残している大作曲家の曲などと、夢にも思っていなかったからだ。
それまで、なぜ過去のものを今学ばなければならないのか、と子供ながらもそんな思いで音楽の授業を受けていたのだが、♪ウィリアム・テル序曲はその考え方を180度変えてくれた。

ウイリアム・テルは僕のハートもみごとに打ち抜いた、ということにしておきますか。

2007年5月14日月曜日

若者たち

1966~67年にかけてフジテレビで放送されていたドラマ「若者たち
その主題歌の作曲は映画「用心棒」などの音楽で知られている佐藤 勝だったと、いま初めて知りました。

若者たち
作曲:佐藤 勝
作詞:藤田敏雄
歌手:ザ・ブロードサイドフォー



君のゆく道は はてしなく遠い
だのになぜ 歯をくいしばり
君はゆくのか そんなにしてまで

君のあのひとは 今はもういない
だのになぜ なにを探して
君はゆくのか あてもないのに

君のゆく道は 希望へとつづく

空にまた 陽が昇るとき
若者はまた 歩き始める

空にまた 陽が昇るとき
若者はまた 歩きはじめる



自分の場合、音楽を聴く上で重要視するのは、基本的にメロディーなのですが、自分が若者から遠ざかっていくのと比例して、その歌詞にも興味をおぼえるようになってきました。
若者には見えない若者が♪若者たちでは歌われていると初めて気づかされたとき、もはや自分は若者ではないような気がしました。

若者に理解されべきではない曲であり、若者の時が過ぎ去ったあとに理解されるべき曲、それが♪若者たちではないでしょうか。

2007年5月12日土曜日

横浜のワーグナー

きょう1組の夫婦が誕生するのを見届けました。
海好きの新郎のためにブライアン・イーノ♪Deep Blue Dayパット・ブーン♪砂に書いたラブレターを捧げました。

結婚といったらやっぱり、ワーグナーの♪ウェディング・マーチも一緒に捧げればよかったかなと、今さらながら思ってしまいます。横浜にはワーグナーの曲が合いそうもなかったのでやめたのですが、きょう初めて桜木町の駅へ行って夜の横浜を見たら、結構ワーグナーの音楽が合う街なのかもしれない、と勝手に思ってしまいました。

よく聴くオルガン演奏の♪ウエディング・マーチは編曲されたものなのだそうで、原曲はコーラスが入った合唱曲だという。1850年初演のリヒャルト・ワーグナーのオペラ「ローエングリン」に収録─「ローエングリン」は第1幕、第2幕、第3幕という構成になっていて、第3幕の第1場面で演奏される「婚礼の合唱」♪ウエディング・マーチなのでした。実際聴いてみると、非常に厳かで静かな曲で、結婚というのは儀式なのだと再確認させられました。きょうの儀式はとても厳かとは程遠いものだったので、♪ウエディング・マーチは必要ないかな、とその場では思ったのですが、帰りにビルの谷間を歩いていると「婚礼の合唱」のごとく厳かなものを感じて、横浜のワーグナーも悪くないかなと思い直しました。
最後に新郎はあいさつで、「大好きな横浜の夜景を見ながら、皆さんに盛大にお祝いしてもらい、本当に幸せです」と語っていました。ビーチだけが横浜ではないのですよね。色んな表情を持つ海の街・横浜を愛する新郎の気持ちも、少し、分かった気がしました。

ご結婚おめでとうございます、これから長い旅を夫婦ともに楽しく過ごしてください。そしてすばらしいビーチをつくりあげてください。

Music for Airports

4月12日の午前9時20分、シカゴ・オヘア空港着
その日のシカゴは季節外れの大雪に見舞われていて、ほとんどの飛行機が欠航状態
入国審査を受けるその巨大なスペースはがらんとしていて、なにか人がいない早朝の大都会のような光景だった

その人のいない空港は、ブライアン・イーノMusic for Airports」のイメージにぴったりなような気がして、空港で待たされた長くて怠惰な時間を、ずっと「Music for Airports」聴いて過ごした。

Ambient 1: Music for Airports
画像 __

2007年5月10日木曜日

ビーチにあう音楽

ここ数日間、ビーチをテーマにした音楽を探していた。

ビーチ・ボーイズ、チューブ、サザン…
個人的に歌が入ってないほうがいい─

ハワイアンとかカリビアンとか、ベタな感じも避けたい─

クラックやジャズ、フュージョン、ニューエージ…
インストでビーチにあう音楽って意外と少ない。ちょっとあいそうな曲も、なぜか妙に寂しくて、晩夏とか季節はずれのビーチをイメージしてしまう。

ブライアン・イーノ…
素晴らしいインストがたくさんあるけれど、どうしても寂しさや無機質感を感じてしまう。ここにもないかと思ったとき、ドキュメンタリー映画「アポロ」のサウンドトラックに求める音楽があった。

Apollo: Atmospheres & Soundtracks画像
Brian Eno


1. Under stars
2. Secret place
3. Matta
4. Signals
5. Ending (ascent)
6. Under stars II
7. Drift
8. Silver morning
9. Deep blue day
10. Weightless
11. Always returning
12. Stars


スタバにポールが並ぶらしい

アメリカのスターバックス・コーヒーコンコード・ミュージックが新しいミュージック・レーベル「Hear Music」を立ち上げて、その第一弾のアーティストとしてポール・マッカートニーと契約したそうです。6月にはポールの新作がスタバに並ぶそうです。

EMIとはどうするんだろう?
やぱり、あくまでCDだけなんだろうか?
iTunesからのダウンロードは?
アップル社とアップル・コンピュータとの関係は?

それはともかく…

コンビにの次はカフェが増えてくるのでしょうか?お気軽に入ることができるカフェに、色んなものが売られるようになり、それが新たな形態のショップが登場となるのでしょうか?CD産業にしてみれば、ダウンロードに押されている現状、朗報なのかもしれません。
考えてみたら、この逆はほとんど考えられていなかったように思います。タワレコとかHMVの中にカフェなんて聞いたことがありません。コーヒー飲みながら音楽をじっくり視聴できるなんて、ものすごく魅力的ではありませんか?巨大レコード店が閉店している中、広い敷地をもっと上手に活用する方法も模索してもいいのではありませんかねぇ。あまりにも、盗難対策だけ気を使っていて、CDを買いにいっても何か落ち着いた気持ちになれないのです。一日中楽しめるCDショップをつくってほしいものです。
これからのスターバックスは、ますます一日中楽しめるお店になってくる気がします。まずはコーヒーを注文して、お店で買ったCDをノートパソコンで聴きながら、インターネット…あるいはポータブルCDで聴きながら読書…色んな楽しみ方が広がってきました。

一日中同じ人がお店にいるのって、お店にとってはどうなんでしょうねぇ。

2007年5月8日火曜日

チェレスタってなんだろう

チェレスタって決して一般的な楽器ではないように思うのは、自分だけではないはずです。
画像
ウィキペディアより

オルガンとかチェンバロに見えるのですが、鉄琴をピアノのようにしたのがチェレスタだということです。1889年、フランスのオーギュスト・ミュステルが作り出したそうです。
一般的に知られたのはチャイコフスキーの「くるみ割り人形(The Nutcracker)」から─バレエ組曲「くるみ割り人形」の3曲目にあたる「こんぺい糖の精の踊り(Dance of the Sugar-Plum Fairy)」を聴けばチェレスタの音がよく理解できます。オルゴールの音に非常によく似ているので、チェレスタはあまり聴いたことがないと思っているだけで、実は結構聴いているのかもしれません。

チェレスタが使用されている音楽

ラヴェル:『マ・メール・ロワ』
マーラー:交響曲第6番
バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
バルトーク:舞踏組曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
マリ:『金婚式』
グローフェ:組曲『グランド・キャニオン』
グラズノフ:バレエ音楽『四季』の『秋』
リヒャルト・シュトラウス:『アルプス交響曲』
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『火の鳥』
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲『展覧会の絵』
ガーシュウィン:『パリのアメリカ人』
小山清茂:管弦楽のための木挽歌
リヒャルト・シュトラウス:『サロメ』
リヒャルト・シュトラウス:『影のない女』
ベルク:『ヴォツェック』
作詞・下山啓、作曲・宮川彬良:『ちょっと』
J.ウィリアムズ:『ハリー・ポッターと賢者の石』~『ヘドウィグのテーマ』


チェレスタの実際の音を聴きたい、もっとチェレスタのことを具体的に知りたいという方は、以下のサイトをのぞいてみてください。

「鳴るほど!音楽解体全書」
第1回~チェレスタ~



2007年5月7日月曜日

Music for Strings, Percussion and Celesta Sz 106

2007年5月7日現在、このブログの記事数207あります。

 Q  この中で一番アクセス数が多い記事は何だと思いますか?

あまりアクセス数が多くないので、ちょっと恥ずかしいので、アクセス表示を伏せているのですが、だいたい45アクセスがこのブログの平均値みたいです。

 A  一番アクセスが多かった記事は、2006年11月26日付「ルーマニア民俗舞曲 Romanian Folk-Dances Sz.68」です。

��00アクセス近くありました。当初、なんでこんなに多いのか困惑したものです。特別なことは全く書いてないし、むしろクラシックの素人が学びのために記録した記事なのに、こんなにアクセスが多いとなるとなんか気恥ずかしい…と、まぁ自分よがりな考えであったのですが、冷静に考えてみるとそれはバルトーク様の力なのだと分かりました。
ということで、ここでもう一度、バルトーク様の力をお借りしようかなーと思ったわけです。


バルトーク・ベーラ 作曲
(Bartok Bela 1881-1945)

弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(1936)
(Music for Strings, Percussion and Celesta Sz 106)

第1楽章
Andante tranquillo (歩くような速さで 静かに)
第2楽章 
Allegro (快速に・陽気に)
第3楽章
Adagio (ゆるやかに)
第4楽章
Allegro molto (非常に快速に)

演奏平均は30分前後です。
楽器は─
左右にヴァイオリンヴィオラチェロコントラバス
中央にピアノチェレスタハープ
背後に木琴スネア付きドラムスネア無しドラムシンバルタムタムバスドラムティンパニ─以上のように配置されています。

作曲に黄金比分割比十二音技法民族音楽的なイディオム打楽器的なピアノ技法バルトーク・ピチカートなど、さまざまな技法を用いていて非常に濃密です。
第1楽章の変則・変拍子のフーガが曲全体の特徴を示すメロディーとなっています。
第2楽章はソナタ形式で、バルトーク・ピチカートが特徴的に奏でられます。
第3楽章では再び第1楽章のメロディーが全体を支配して、木琴が即興的に奏でられ、まさに「夜の歌」というべき不気味さが表現されています。
第4楽章はロンド形式で最も展開が激しく、民族的な響きが見え隠れしています。

それにしてもチェレスタと題名に書かれているわりには、それがあまり前面に出てきていないと思うのですが、ほかのバルトークの弦楽や管弦楽を聴いて比べてみると、「弦チェレ」はキラキラした印象があります。そのキラキラに気がづいて初めてこの曲の中に入り込んでいけるんでしょうねぇ。

生2ピアノ協奏曲と弦チェレ

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭2007 ~民族のハーモニー~』最終日、最後のチャンス、早朝からクラシック聴いてきました!

東京国際フォーラム
ホールCカフカ
公演番号541

児玉麻里(ピアノ)
児玉 桃(ピアノ)
トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ
沼尻竜典(指揮)

マルティヌー:2台ピアノと管弦楽のための協奏曲 H.292
バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106


ステージの一番前、ど真ん中に2台のグランドピアノが設置されていて、初めて体験する音楽に大いに期待させられました。
児玉姉妹が赤とオレンジを基調とした衣装で登場、ビジュアル的にすでに楽しむことができました。あとは音楽─…2つのピアノが激しくかき鳴らされて、見た目と同様、派手に始まりました。
そもそも、ボフスラフ・マルティヌーというチェコの作曲家さえ知らなかったし、2台のピアノが一緒に響くのを聴くのも初めてだし、もちろんこの曲を聴くのも初めてで、正直、始めから終わりまで????でした。3楽章あって、第1・第3が激しく、第2がゆったりしていて、変拍子や不協和音がたくさんあったような…気がします。僕には全く記憶不可能な音楽でした。
それと、ピアノの音があまりに拡散しすぎていたように思うのです。それが2台だから、本当に捉えどころがないといった印象でした。
しかし、華麗な姉妹のトリッキーな演奏に魅了されたことは何よりです。会場にいる人ほとんど、そう思ったに違いありません。演奏後の拍手は明らかに大きかったように思います。

そして、いよいよ期待の「弦チェレ」です。
2台ピアノ」の後のステージ再セッティングが忙しいものでした。
ピアノ、チェレスタ、ハープが中央に配置され、背後にシンバル・ティンパニ・小太鼓・木琴、そして左右にバイオリン・チェロ・ビオラ・コントラバスが均等に配置されました。
指揮者が登場し、奥のほうから徐々に音が押し寄せるように演奏が始まりました。
何でこんな配置にするのだろうと、セッティングを見ていると不思議で仕方なかったのですが、演奏を聴くとそれは非常に意味があるのだと感じます。バルトークは音楽のみならず、空間を作り出そうとしていたのではないか─、バルトークが天才だといわれる所以が少しばかり理解できたような気がします。
第2楽章の弦楽器一斉のバルトーク・ピチカートはCDなんかよりも数段良くて、よくもこんなことを考え付くものだなぁと感心しました。恐れ多いことですけれど─…
第4楽章での民俗音楽的な響きを聴いて、20世紀の音楽として最初にバルトークを教えられた意味を本当に実感できました。
またバルトークを聴きにいこう。

この音楽祭では無料の公開コンサートも行われていました。
バルトークの余韻覚めやらぬままふらついていると、ちょうどブラスバンドの公演が始まろうとしていて、運よく一番前の席に座ることができました。そして、ちょっと高目に設置されたステージに立っているのは、初々しい学生服姿の少年少女、足立区立第十一中学校吹奏楽部の皆さんでした。

足立区立第十一中学校吹奏楽部

【マーチング オン クラシックス】
 ヴェルディ:アイーダより「行進曲」
 ドヴォルザーク:新世界より「家路」
 チャイコフスキー:くるみ割り人形より「行進曲」
 エルガー:威風堂々第1番

ビゼー:「カルメン」よりアラゴネーズ、闘牛士の歌

カッポレねぶた



ものすごく良かったです。隣に座っていたお年よりは終始、涙ボロボロ流しハンカチで目をふいていて、危うくこちらももらい泣きしそうになりました。
演奏のみならず、最後の♪カッポレねぶたでは歌と踊りも交えて、ものすごいエンターテインメントを提供してくれました。

足立区立第十一中学校吹奏楽部の皆さん、お疲れさまでした。最高だったよー

もう十分楽しんだので、これにて帰ろうかとしていると、すてきなステージの上ですてきな女性がすてきな演奏をしていました。

画像

ストラビンスキーとかピアソラを華麗に演奏していました。



目でも耳でも楽しませてもらったラ・フォル・ジュルネ。来年も期待しています。そして来年こそはもっともっと─。

2007年5月6日日曜日

Blackbird by Jaco

♪ブラックバードといえば“ホワイトアルバム”に収録されている、言わずと知れたビートルズの名曲。しかし、僕はビートルズのこの曲をあまり聴きません。この曲は大好きなのんですが…

きょうも♪ブラックバードを聴きました。ビートルの演奏ではなく、ジャコ・パトリアスがアレンジした♪ブラックバードを─
ジャコのグルーブの効いたベースラインにトゥーツ・シールマンスのいかしたハーモニカが鳴り響く、いつ聴いても最高です。これを聴くたびにいつも、ビートルズではなくなぜかウエザーリポートの♪バードランドをイメージしてしまいます。ただ単にバード─バードでイメージしてしまうと思うんですが─。もしかしたら、完全にジャコの世界が作り出されているから無意識に共通項を見出しているのかもしれません。

Word Of Mouth
画像 1. Crisis
 2. 3 Views Of A Secret
 3. Liberty City
 4. Chromatic Fantasy
 5. Blackbird
 6. Word Of Mouth
 7. John And Mary


with Wayne Shorter
Michael Brecker
Jack DeJohnette
Toots Thielmans







Youtubeにジャコの♪ブラックバードがありませんでした...
かわりに♪バードランドをおまけにどうぞ。

Birdland by Weather Repot

2007年5月5日土曜日

来年こそは…

きょう徹夜仕事明けで東京国際フォーラムの{%diacritic_a%}ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン{%fire_a%}へ行ってみました。音楽聴きながら眠っちゃうんじゃないかなぁ、などとかなりの癒やしを期待していたのに、癒やしどころか暑いわ人がいっぱいだわで非常に疲れました。チケットもほとんどがソールドアウト...。ドボルザークの「新世界」、バルトークの「ハンガリアン・フォークダンス」、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」、グリーグの「ペール・ギュント」…有名どころ人気どころは見られるはずもなく、チケットを購入するのにも長蛇の列。結局スタバのカフェモカを飲みにいっただけになってしまいました。そのカフェモカのせいなのか、疲労のせいなのかわかりませんが、帰りの電車ではおなかが緊急事態になり、途中下車の速攻トイレ…暑さとつらさで変な汗を流して…ゴールデンウイークのバカヤロー{%naku_a%}

帰宅してどうしてもあきらめきらずに、電子チケットぴあで最終日の朝一・バルトーク「弦チェレ」など演奏される公演をゲットしました。さすがインターネット{%hurrah_a%}

チケットは3月から発売されていたようで、この価格じゃぁ当然人気のものはすぐ売り切れだったのだろう。
今年の会場の混雑を見れば、大成功だと分かります。この音楽祭は間違いなく続くだろうから、来年こそはチケットをネットで買い占めだ{%exmark2%}{%power_a%}

今年の「民族のハーモニー」という企画は非常に良かったなぁ。毎年、企画が違うから来年も違う企画だろう。実行委員会の皆さん、なるべく、似たような企画をよろしくお願いしまーす。
あ、とりあえず日曜日は少しは楽しまないと{%diacritic_a%}

2007年5月3日木曜日

ゴールデンウィークは音楽祭

僕にとってゴールデンウィークは全く意味なく、実感もないのですが、イベントなぞに少しさんかして、少しでもゴールデンウィークを体感しておこうかと思っております。

きのうから東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」という音楽祭が開催されているようなので、注目してみました。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 
「熱狂の日」音楽祭2007
��民族のハーモニー~

 

有料・無料、約300公演、朝から晩までクラシックコンサートが展開されているらしいです。チケットも高くて3000円とものすごくお手ごろ価格で、プログラムもしっかりしているみたいです。朝9時ごろ終電までやっているみたいなので、仕事帰りなども行けるかもしれません。
バルトーク、ドボルザーク、シベリウス、グリーグを狙ってますが、チケットゲットできるでしょうか…。しかし、たくさんの公演があるから行き当たりばったりでもいいかもしれません。

ゴールデンウィークが直接的に関係なくても、通勤電車が空いていたり、イベントがいろいろあったり、まんざら悪いもんでもないですね。

2007年5月2日水曜日

My Favorite Thigs

きょうもジョン・コルトレーンの♪My Favorite Thigsを聴いた。文字通り、この曲は僕のお気に入りになっている。非常にクールなこの曲がミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌とは、コルトレーンバージョンからはとても想像できない。

ロジャース&ハマースタインとして知られる、リチャード・ロジャース(作曲)とオスカー・ハマースタイン2世(作詞)は数多くのすばらしいミュージカルを残している。「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌もこの2人による楽曲。♪私のお気に入り♪ドレミの歌♪エーデルワイス…もっとロジャース&ハマースタインを称えて、感謝しなければ─。

サウンド・オブ・ミュージック」を音楽だけで楽しんでみた。映像なしのサウンド・オブ・ミュージックを体験したのは初めてだったが、音楽のよさを実感する上で映像がない方がいいのかもしれない。♪My Favorite Thigsのオリジナルを聴いて、コルトレーンの創造性も実感できた。
音楽だけ聴いてみると、どの曲がどこでどのように流れていたのか全く思い浮かべることができない。久々に映画を見ようかと思うのだが、175分というこの長さ…この長さが僕の記憶をあいまいにしているのかもしれない。

サウンド・オブ・ミュージック(1965) - goo 映画

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Singin' in the rain

ジーン・ケリー主演のミュージカル映画「私を野球に連れてって」を見た記憶があるのだが、全く覚えていない。さらにがんばって記憶を搾り出してみると、確かあまりにも面白くなくて途中で眠ってしまって、後日また見直したら、また眠ってしまい…これは本当につまらない映画だと見るのをあきらめたようの気がしてきた。

ジーン・ケリーを初めて知ったのはあの有名な映画「雨に歌えば」からだ。
それまでミュージカル映画って少し苦手にかんじていたのが、「雨に歌えば」はものすごく面白くて、ミュージカル映画への偏見が解消されたような気がした。ジーン・ケリーを中心にミュージカル映画を楽しもうと試みました。「踊る大ニューヨーク」などではフランク・シナトラの美声なども堪能できて楽しめたのだが、「私を野球に連れてって」で挫折─…どうしても野球しながら歌って踊ることへの違和感を拭いきれなかったのだ。結局「雨に歌えば」という映画がいかに優れた映画かというのが分かっただけだったのかもしれない。
当然ジーン・ケリーは素晴らしいのだが、共演しているドナルド・オコナーも非常にいいと思う。なぜジーン・ケリーは、その後の映画でドナルド・オコナーを起用しなかったのだろう。

突然歌いだすことに違和感を感じるか感じないかでミュージカル映画の好き嫌いが決まってしまうと思うのだが、素晴らしいミュージカル映画といわれるものは意外と歌いだす場面を自然に作っていると思う。いくら非現実世界だからといって、いつでもどこでも歌っていいというものではないはずで、そのことをよく考えていない映画は見たくないものだ。

雨の中でジーン・ケリーが歌いだすシーンは、確かに突然かもしれないが、その恋焦がれる気持ちを表すために最高の演出であり、ものすごく自然にその歌と踊りを受け止めることができる。それが「雨に歌えば」が名画とされている所以なのだろう。