黒澤 明監督「用心棒」のテーマ曲を知っていますか。映画を見た後で、そのテーマ曲をじっくり聴いてみてください、映画の一コマ一コマが脳裏に浮かぶことでしょう。この音楽なくして「用心棒」は成立しなかったことでしょう。
佐藤 勝、その人が「用心棒」を作曲したのです。そして、この「用心棒」のテーマ曲は米アカデミー賞作曲賞にノミネートされたらしい。
黒澤映画では「蜘蛛巣城」「どん底」「隠し砦の三悪人」「悪い奴ほどよく眠る」「用心棒」「椿三十郎」「天国と地獄」「赤ひげ」「野良犬」の計10作品の音楽を担当。そのほか「独立愚連隊」「ああ爆弾」「血と砂」「斬る」など岡本喜八監督の映画にも多く携わっていたり、「ゴジラ対メカゴジラ」「札幌オリンピック」「地球へ…」「極道の妻たち」などなど、数多くの映像作品の音楽を担当している。一度検索してみてください。ものすごい数の映画音楽を担当しています。
映画「ああ爆弾」は日本のミュージカル映画の傑作なので、これを見れば岡本喜八ワールドとともに佐藤 勝の世界も堪能できることでしょう。
話はそれますが、岡本映画では僕は「斬る」が一番のお気に入りです。あの映画での仲代達也の演技がすばらしいと思うのです。ドラマ「大地の子」での熟年演技や映画「用心棒」での若くてギラギラした演技もいいのですが、映画「斬る」での若くして熟年の域に達した仲代達也の演技が最高です。
さて佐藤 勝の話に戻しましょう。
映画「赤ひげ」のオープニングシーンでの音楽は、街の人々の声や雑音を積極的に取り入れています。それが瓦屋根だけのフィックス映像とみごとに溶け合い、見ている人の創造を刺激するのです。この音楽が黒澤 明のアイデアなのか佐藤 勝のアイデアなのか知る由はないのですが、いずれにしても佐藤 勝の音楽がなければ黒澤映画が名作となり得なかったかもしれないのです。ヴァンゲリス、エンニオ・モリコーネ、ニーノ・ロータ、ジョン・アダムスなどを聴く前に、まずは日本の佐藤 勝を聴くべきではないでしょうか。
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