2007年5月28日月曜日

Presence

画像Presence (1976)
LED ZEPPELIN


1. Achilles Last Stand
2. For Your Life
3. Royal Orleans
4. Nobody's Fault But Mine
5. Candy Store Rock
6. Hots On For Nowhere
7. Tea For One



1975年、この年がレッド・ツェッペリンの絶頂期といっていいだろう。実力もさることながら、セールスの上でも一番稼いだ時期であった。
しかし、その年の8月にロバート・プラントの交通事故で、アメリカ・ツアーを途中でキャンセルせざるを得なくなった。命に別条はなかったものの、入院を強いられたのだ。
程なくして、プラントとジミー・ペイジは作曲活動を開始して、11月にドイツ・ミュンヘンのレコーディングスタジオにメンバーが集まって、アルバム「プレゼンス」のレコーディングが始まった。
一日に18~20時間という信じられない時間をレコーディングに費やしたといわれていて、その甲斐あって3週間でアルバムが完成した。
レコーディング期間中、プラントとペイジはハード・ロックへの回帰を模索していたという。前作ではアコースティックとエレクトリックのバランスを非常によく考えて、複雑な構成の曲が多かったが、今回はギターをベースとしたストレートなロックを作りたかったのだ。結果、ほぼ全てエレクトリック・ギターを基調としたハードな音楽ばかりとなった。
個人的にはジョン・ポール・ジョーンズがベースだけというのは非常に物足りないし、そのベースもそれほど目立つ演奏がないのが残念でならない。そういう思いが頭から離れないためなのか、ペイジのギターがやけにうるさく、疎ましく感じてしまうのだ。
このアルバムからペイジとジョーンズに亀裂が生じてきたという。それはもちろん、ペイジのギターばかりが目立ちすぎるという低次元のレベルによるものではなく、18時間以上という異常なレコーディングに対しジョーンズは非常に不満を抱いたらしい。
メンバーの仲までも犠牲にして完成させた「プレゼンス」、さて、その内容はどんなものなのか…。

1 アキレス最後の戦い

(Page & Plant)

10分25秒あるこの曲は、レッド・ツェッペリンの楽曲の中で最も長いもの。ジョン・ボーナムのパワフルなドラム、ジョン・ポール・ジョーンズのアレンビック社製8弦ベース、そしてジミー・ペイジのオーバーダビングされたギター・オーケストラ、と聴き所が盛りだくさんな曲だ。ペイジのドラマティックで雄大なギターソロは、ベストプレイだという意見が多い。
曲調やテンポから、その後に登場してくるスピード・メタル、スラッシュ・メタルに通じるものがある。
曲のタイトルは、ロバート・プラントが交通事故で足を骨折していたことをヒントにに提案されたらしい。歌詞の内容は、モロッコのアトラス山脈のことを中心に描かれたもの。また、ギリシャ神話(タイタン神アトラスのこと)やウィリアム・ブレイクの詩と版画から触発された部分がみられる。
1975年後半に録音されたこの曲は、それ以前に部分的にライブなどで演奏されていたようだ。1973-1975年のコンサート・ツアーでの♪幻惑されて では、リズムセクションを聴くことができて、1973年に収録されたライブ映像「永遠の詩(狂熱のライヴ)」の序曲でもメロディーを聴くことができる。

2 フォー・ユア・ライフ

(Page & Plant)

ペイジが初めてフェンダー・ストラトキャスターを使用した。トレモロ・アームを何度も使用しているのが分かる。
歌詞はプラントがロック界でのライフスタイルについて不満を述べたもの。ドラックに依存している彼の友人のことを述べている部分もある。

3 ロイヤル・オルレアン

(Bohnam, Jones, Page & Plant)

この曲は1970年、ニューオリンズのロイヤル・オルレアン・ホテルに4人のメンバーが宿泊した時の出来事を書いたもの。
メンバーの一人が女装した男性をそうとは知らずに部屋に連れ込んで、一緒にマリファナを吸ってそのまま寝入ってしまった。女装した男性は火がついたままのタバコを手に寝てしまったために、火事を引き起こしてメンバー全員が避難する結果になった。
「選ぶのには気をつけろ」「貧租なひげが火事を引き起こした」というような歌詞が含まれている。
“やっちまった”メンバーが誰なのか曖昧のままにしてはいるものの、歌詞の中でジョーンズであるとほのめかしている。
プラントは、以前ジョーンズが歌の歌詞などそれほど重要なものじゃないと述べたことを逆手にとって、ジョーンズをからかうような歌詞を書いたという。

4 俺の罪

(Page & Plant)

イントロ部分のギターはオクターブ上の音2つが重ねられて、プラントのボーカルとユニゾンを成している。1977年以降、ライブでは重要な曲となった。
この曲は、ブラインド・ウイリー・ジョンソンの同名の曲を編曲したもの。グレイトフル・デッドが1966年から1994年まで約20分にも及ぶ曲として演奏していた。

5 キャンディ・ストア・ロック

(Page & Plant)

ボーナムのドラムは抑え気味で、ペイジのギターもソロが短く音色もクリアに施されている。それはエルビス・プレスリーのような50年代のロックンロールを意識して作られた曲だからだ。
アメリカでシングルとしてリリースされたが、チャートインすることはなかったという。ライブでは演奏されることはなかったというが、それでも、プラントはこの曲を気に入っているようだ。

6 何処へ

(Page & Plant)

ここでもペイジはフェンダーのストラトを使用している。
この曲はプラントがペイジとマネージャーのピーター・グラントに対する不満を表現したもの。“Fuck”という言葉が含まれている唯一の曲。ライブでは決して演奏されなかった。

7 一人でお茶を

(Page & Plant)

冒頭、ギターとドラムのミドルテンポで始まり、その後すぐスローテンポのブルージーな曲となる。
歌詞の内容はホームシックなどの寂しさを表現したもの。これはプラントがコンサートツアーの際、ホテルで一人お茶を飲んでいるときに感じたものだという。
♪あなたを愛し続けてに通じるこの曲は、もう一度原点に返って、自分たちが若いころに比べてどのように変わったのか知りたいという思いから作られたという。

4 件のコメント:

  1. 前作と続けて聴くと随分と硬い印象を受けました。ある意味シンプルですよね。こういうツェッペリンを待ってた人もいたんでしょうね~。
    今聴くと一曲目、意外と長くなかったです(笑)。

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  2. シュリンパー2007年5月28日 21:44

    前作までかなり頭使いすぎて疲れちゃったんでしょうね。全作品のなかで、一番シンプルだったと、改めて気がつきました。明らかにここから発生したHR/HMがたくさん存在するように感じます。
    ちなみにアキレスはやっぱ長すぎると思いま~す♪

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  3. このアルバムも意外と好きで結構聴きこんでいましたね。
    ベタかもしれませんが「アキレス最後の戦い」好きです。
    ギターをコピーし、自分で実際弾いてみると、あらためてペイジのセンスを感じさせられます。
    ギターソロなんて聴いているとなにげないフレーズなんですけど、自分で弾いてみると絶対こんなの思いつかないだろうなぁって思いましたね。

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  4. シュリンパー2007年5月29日 15:28

    僕もペイジのギターはコピーしたものです。
    コピーするたびに、こんなの思いつかないと思って、それもツェッペリン・ワールドへひきこまれた一つの要因かもしれません。
    このアルバムでのペイジのギターは全ての作品の中で頂点を極めてると思います。ここで全てを出し切って燃え尽きて、次では気持ちここにあらずみたいになったのでしょうかねぇ

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