ロバート・アシュリー (Robert Ashley)
フィリップ・グラス (Philip Glass)
メレディス・モンク (Meredith Monk)
��人のアメリカの現代音楽家が1983年にロンドンで行ったコンサート/パフォーマンスをもとに、ピーター・グリーナウェイがドキュメンタリーを作成。
ジョン・ケージ/ロバート・アシュリー
フィリップ・グラス/メレディス・モンク
フィリップ・グラス/メレディス・モンク編を見ました。
正直にいうと、音楽およびパフォーマンスの面でみるとモンクの方が断然面白くて、一方グラスはものすごくつまらなく映っている。それは、モンクはもともと“見せる”ことを意識して音楽を作っているからであり、グラスは“見せる”ために音楽を提供しているが、自らはあまり映像を意識して作曲していないからであろう。それ故、グラスは純粋に音楽を追求していると言えるのかもしれないが─。
しかし、ドキュメンタリーとしてみるとグラスの方が非常に面白かった。それはピーター・グリーナウェイの手腕によるところ大である。
モンクは映画監督でもあり、パフォーマーであるので、彼女の作成した作品をつないでそれに彼女のインタビューなど加えると十分見せられるはずであり、事実そういった内容であった。
グラスは反復音楽を数時間という単位で淡々と演奏しているだけなので、ビジュアル的にはかなりつらい。だからインタビューのシチュエーションとか絵のつなぎ方を、グリーナウェイはかなり工夫している。インタビューでのインタビューアー、場所、背景をいろいろ変えて絵作りしていて、見ている者を飽きさせない。バレエ教室でのインタビュー、全面ガラス張り・バレエを練習している人が画面の中に入ってくる・インタビューしているスタッフ丸写し、といった設定などがあり、つまらなくなりがちなインタビュー映像も十分楽しめる。そして何より、グラスの語りが面白いというのが一番だ。
フィリップ・グラスは1937年にメリーランド州ボルチモアのユダヤ系の家庭で生まれる。6歳の時から音楽を始め、ジュリアード音楽院に進学、卒業後パリに留学して28歳までレッスンを受けたと語っている。
有名なシタール奏者・ラヴィ・シャンカールと出会い大きな影響を受け、インドへ行ったり、チベットへ行きダライ・ラマ14世に会ったりしている。彼は哲学も学んでいるらしく、音楽にもかなり哲学的な思考が内包されているのかもしれない。
ニューヨークでタクシードライバーもしながらラヴィ・シャンカールとともに仕事をして、インド音楽を吸収していきながら独自のスタイルを確立していったようだ。
初めてコンサートを開いたとき、その聴衆は6人でそのうち3人は家族だったと笑い話も語っている。活動初期は卵を投げられたり、相当非難を浴びたらしい。
「昔ならば現代音楽のコンサートにくる人数はせいぜい50~60人、それがいまや映画で使用した音楽を演奏するといっただけで6000人がくる」─自分の音楽が受け入れられていることを自負しているようだった。
何故、グラスの音楽は映画にもてはやされるのか、そして何故グラスが映画音楽へと突き進んでいったのか、その一端を垣間見ることができた。
映像でのフィリップ・グラスの演奏ステージ風景は非常に地味で、何の演出もなく、演奏者はただ椅子に座って淡々と演奏しているだけである。しかし、演奏が終了するとものすごい拍手が浴びせられていた。フィリップ・グラス、勝利の瞬間なのだろうか─…。
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