2007年10月21日日曜日

D956 Op.163

中学校のころ、音楽の授業でシューベルトを描いた映画「未完成交響楽」を見た。貧困の中で作曲し続けて、挙句の果てにはよく分からない独りよがりな失恋と─、あまりにも悲しいその物語のせいでシューベルトの音楽すべてがあまりに悲しく聴こえるようになってしまい、以来、素直にその音楽を受け入れられなくなってしまった。
シューベルトは数多くの歌曲を作曲しているため歌曲王と呼ばれている─、そういえば「魔王」も授業で聴かされ、その悲劇的なストーリー展開とおどろおどろしい響きをどうしても受け入れ難かった記憶がある。
「魔王」には作品番号1(Op.1)がつけられている。つまりは、シューベルトの作品の中で一番最初に出版されたもので、つまりデビュー作といえる。シューベルトが18歳ころの作品。若いのにずいぶんと大人びた作品で世に出たものだと思ってしまう。もっとも、ドイチュ番号は328(D328)ではあるけれど─。
オットー・エーリッヒ・ドイチュがまとめたシューベルト年代順作品表題目録であるドイチュ番号はD998まで存在する(参:trovar.com)。中にはドイチェ番号もついていないシューベルトの作品も存在し、すなわち、シューベルトは31年という短い生涯の間に最低でも1000以上は作曲しているわけだ。ブラボー…
これだけ偉大な作品を残しているのならば、1つぐらい気に入る曲があるわけで、自分にとってそれは、弦楽五重奏曲 ハ長調(D956 Op.163)であった。
弦楽四重奏(通例:バイオリン2、ビオラ、チェロ)にもうひとつ弦楽器を加えると弦楽五重奏となり、多くの弦楽五重奏曲の場合、バイオリンかビオラを加えるところをこのシューベルト弦楽五重奏曲ではチェロが加えられていて、それゆえ低音域の響きが充実している…ということなのだが、正直、弦楽四重奏自体ほとんど聴かないし、五重奏などこの作品しか知らないわけで、その違いがよく理解できていない。しかし、その低音の響きは聴いていて非常に心地よいものであり、それゆえにこのD956 Op.163を気に入ったのだと思う。


弦楽五重奏曲 ハ長調
String Quintet in C Major D956 Op.163

 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ
       Allegro ma non troppo
 第2楽章 アダージョ
       Adagio
 第3楽章 「スケルツォ」(プレスト) -
       「トリオ」(アンダンテ・ソステヌート)
       Scherzo: Presto - Trio: Andante sostenuto
 第4楽章 アレグレット
       Allegretto


第2楽章が評価が高く、知名度も高いということだが、個人的には第3・第4楽章のほうを好んでいる。


第3楽章 「スケルツォ」(プレスト)
        - 「トリオ」(アンダンテ・ソステヌート)


第4楽章 アレグレット




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