キース・ジャレットの「The Koln Concert」を聴きながら都バスに身を委ねてゆらゆら揺られていました。
素晴らしいインプロビゼーション─、洗練されたアバンギャルド─…
イヤホンをしながらその音楽の世界に浸っていると、これを超える音楽なんてないなという変な確信が生まれてくる。それ故、聴いている曲が静寂になると、周りの雑音がよけいに大きく・強く聞こえてくるのだが…。
キース・ジャレットを超える革命的な音楽など存在しないという錯覚を覚えたころ、ピアノの音が静けさを持つようになり、ふと右斜め前の席に座っている年配の男性に目を向けると、イヤホンをして音楽を聴いているようだった。その視覚とともに、ゴロゴロgろzgROO…ピピピPpp…という音楽に似ても似つかない雑音が聞こえてきた。まさか、前の年配男性が聴いている音楽の音漏れなのか!?それにしても、なんという爆音で聴いていることか─、いやその前になんというアバンギャルドな音楽を聴いていることか!?自分は、果たして、キースで満足していいのか…このさっきまで最強のアバンギャルドだと思っていたものが、急に無難な守りのような音楽に思えてきた。
もはや、メインのはずのキースの音は聴こえない。自分の耳にある片方のイヤホンを外し、必死にアバンギャルドな音を追い求めた。
男性は何を聴いているのか、悠然と居眠りをしているような姿勢─、それが一層自分の心をかきむしる。
しばらくすると、その男性のさらに前の席に親子連れが座っていることに気がついた。子供は何か落ち着かない様子。どうやら携帯ゲーム機に夢中になっているようだ。
おや?ゴロゴロgろzgROO…ピピピPpp…の正体は、お前か!!!アバンギャルドな正体はゲームの音…、なんてアバンギャルドな…。その音だけを録音して、CDなど洗練された媒体に変化させたならば、きっと現代音楽と呼ばれるものが出来上がるに違いない。
それにしても、意識が大きく関与しているとはいえ、本当に偶然の雑音が洗練された音楽をも凌駕してしまうとは─。
そういえば、斜め前の男性、彼はいったい何を聴いているのだろうか。まぁ、そんなのどうでもいいか、と再びキースの世界へと戻っていった。やっぱり素晴らしい、最高だ。
キース・ジャレットを超えるゲーム音楽、すごいですね!
返信削除なんてゲームだったか気になります。
子供がプレイすることにより、現代音楽になってしまうわけですねぇ。
ゲーム音楽って結構アヴァンギャルドだったり、プログレだったりしますよね。
でも、シュリンパーさんはゲームしないんでしたっけ・・。
ゲームは全くしません。だから、なんのゲームなのか判別できませんでした。
返信削除今のゲームの音ってどうなのかよく分からないのですけど、昔のインベーダーとかゼビウスなど、シンプルな音色のゲームの音をリアルタイムで奏でれば、それはもしかしたら音楽的な作品になり得るのでは?と思ってしまいました。誰かやっていそうですけどね。
ご無沙汰してます。はじめまして。
返信削除キースの「THE KOLN CONCERT」!
いつなんどき、どんな状況で聴いたとしても
すばらしい音楽だと、私も思います。
いみじくも2年前の2005年10月に
芸術劇場でのソロコンサートに行きました。
本人の集中力を保つため、
演奏中はもちろん、演奏のない間も
「極力、観客席から音を出さぬようご理解を」
との、厳重な注意書きの張り紙がありました。
その極度の緊張感と
キースの音楽を体験した感動のあまり
��曲目が終わったとき
ぐしゃぐしゃに泣いたのを思い出します…。
そこまで大変な思いは
何度もしなくていいと、正直思いますが
何度でも、いつまででも聴いていたい音楽には
ちがいないです…。
ご無沙汰はじめまして!
返信削除勇気を出してコメントありがとうございます。
注意書きの張り紙があるなんて驚きです。クラシックのコンサートでもそんなのはないですからね。
音楽をライブで聴くのって、何ものにも敵わないですよね。とくにインプロとかなると、生で聴かないと意味がない。すばらしいと思ったインプロの音源を録音し、後でそれを聴いても、不思議と興奮半減です。
だから、ケルン・コンサートなどを聴いていると、これを生で見た人が本当にうらやましぃぃ。
キース・ジャレットはもう日本に来ないかもねぇ。来てもケルン・コンサートのころのような健康体でもなさそうだし…。
もし今度来日するようなことがありましたら、ぜひご一緒に。
僕の上司の知り合いにチケットをお願いしましょうよ。
では、また。