2008年3月13日木曜日

「コメディ・フランセーズ 演じられた愛」を見る 

��月の中ごろから、フレデリック・ワイズマン映画祭がアテネ・フランセで開催されています。
過去に、ワイズマンの特集上映は小規模ながら至る所で開催されているのですが、興味を持ちつつ、実際に足を運んだことはありませんでした。
今回、時間がある限り見ようと気合を入れて、前売り3回券を事前に購入、開催初日に「法と秩序」という警察密着もののドキュメンタリーを見にいきました。81分、音楽も効果もない、カット編集だけの映像が淡々と流れ続けて、正直、途中寝てしまいました。映画がいけないのか、それとも自分自身が現代の映像手法に慣らされてしまったためなのか…。
��回券はすぐになくなってしまうだろうと思っていたのが、1回使用しただけで、いつのまにか開催最終週に突入してしまいました。一時上映禁止になっていた「チチカット・フォーリーズ」、358分の大作「臨死」など見ようとしていたのに─。
ちょっとこれはまずいぞ、とようやく思い立ち、今日上映していた「コメディ・フランセーズ」を見てきました。有名な作品でDVDにもなっていたのですけれど、劇場で見るのも悪くありません。

画像コメディ・フランセーズ
~演じられた愛~

コメディ・フランセーズ 演じられた愛(1996) - goo 映画


やはり、音楽や効果が(フェードすら)なく、淡々としたカット編集─、しかし眠りませんでした。ただ、フィルムチェンジのための休憩が1回挟んだにもかかわらず、途中でトイレに立ってしまいました。受付の人がにらんでいたような気がするのですけど、仕方ないでしょ。
��23分、4時間近くの長さ。過去、劇場で見た映画で一番長いものは何だったか思い出してみると、「七人の侍」207分、「キングダム II 第3章/第4章」291分、この中間。しかし、体感的な長さは一番長かった─。ワンカットがワンカットが非常に長いために、全体的に長いと感じてしまうのでしょう。実際のコメディ・フランセーズの歴史は、1680年から始まっているのだから、長く感じることこそワイズマンが意図したことなのかもしれません。
長く感じたとはいえ、内容は決してつまらないものではありません。舞台の中の面白みと、舞台の外での面白みをうまく展開させて、非常に内容が濃いものでした。200分を超えるドキュメンタリー超大作と思って、眉間にしわを入れて見ようとしてはいけない作品だと思います。ワイズマンのドキュメンタリーには問題提起など何もないのかもしれません。人間社会の面白さを感じたままに捉え・再構築し、提示しているだけなのでしょう。それをどう感じるかは、見る人それぞれ違って構わない、提示されたものをどう捉えるかそれは見る側に委ねられているのでしょう。
ふと思うのは、人間社会の一部分を捉えたそのままの姿を、自由に楽しんでくれというのであれば、ドキュメンタリーなんてわざわざ見なくても、自分の生活、あるいは周りの社会や人々を眺めていればいいのでは─、ということなのですが、コメディ・フランセーズの内幕はなかなか見ることができないわけで、そこを素直な視点で捉えて・構築してくれているということ自体、ものすごく意味があることなのです。223分は確かに長すぎるとは思いますが、その中には興味深い話がたくさん詰め込まれていて、見る価値はあると思います。DVDでも構わないと思うので、頑張って見てください。

徹底的に客観的であろうとするフレデリック・ワイズマンの姿勢には頭が下がる思いですが、そのワイズマンの作品を客観的な気持ちで眺めれば眺めるほど、せめて音楽か何かほしいと思ってしまうのですが、逆に何か音楽をその映像に当てはめて想像してみると、やっぱり必要ないのかなと思ってしまうのもまた事実であり、結局は頑張って見るしかないのかなと思うのです。
さて、映画祭の回数券─あと1回残っています。それはだいぶ前から見ようと決めていたものに使用します。頑張ります!


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