「ALOHA」: HENRY KAISER (1981) |
ジャッケトやアルバムタイトルから、ハワイというものを意識し、さらにはそれを表現しようということは明白なのですが、いわゆるハワイアン音楽というものを求めてこのアルバムを聴くと痛い目に遭うでしょう。そこには、ハワイアン音楽とは正反対に位置するような音楽群が詰め込まれています。
ヘンリー・カイザーは、フリージャズ・ギタリストの巨人デレク・ベイリーに触発されてギターを始めた、と言われているアーティストです。「ALOHA」と銘打って、ハワイアンはあり得ません。
ベイリーはインプロヴィゼーションという手法を用いて音楽そのものを追究し続けたのに対し、ヘンリー・カイザーはベイリーが探求したものを用いて、何かを表現しようとしているような印象を受けます。故にベイリーの音楽よりも聴きやすいとは思いますが、決して普通ではありませんし、ハワイアンではありませんので、ご注意を。
個人的な好みからいうと、いわゆるハワイアン音楽というものよりも、このアルバムのほうが断然上です。ハワイアン音楽ではないとはいえ、ハワイのイメージをよく表現しているように思うのです。ギターを用いて(時に違う楽器も入りながら)、あらゆるエフェクトや演奏法を用いて、色んな音をつくり出し、そしてその音を編集段階で色々組み合わせながら、何かを表現しようとする気持ちが伝わってくるのです。ハワイアン音楽にはない、リアルなハワイがそこにあるような気がします。
ただ、聴く人によってはただの雑音、もしくは騒音に聞こえることでしょう。むしろその感覚が正しくて、このような音楽を好む自分が異常なのかもしれません。
普通ではないものを求めている人は最適でしょう。リスペクトしている人も結構いるみたいなので、一聴してみてはいかがでしょうか。すごいです。
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