2012年5月7日月曜日

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012の記録

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「熱狂の日」 音楽祭2012

Le Sacre Russe -サクル・リュス-

東京・丸の内エリア 4月27日(金)-5月5日(土)

東京国際フォーラム 5月3日(木)-5月5日(土)

 

112

5月3日(木) 12:15-13:00
ホールA プーシキン

演目

モソロフ:交響的エピソード「鉄工場」 op. 19

ストラヴィンスキー:春の祭典

演奏

読売日本交響楽団

指揮

下野竜也
  初めて聴いたモソロフ「鉄工場」がなかなか良かった。指揮も演奏も素晴らしいながらも、2階席で管弦楽の編成が小ぶりなためか、やや弦の音が弱かった


134

5月3日(木) 16:45-17:30
ホールB ツルゲーネフ

演目

クレーク:夜の典礼

作曲者不明:賛歌「沈黙の光」(ズナメニ聖歌)

ペルト:カノン・ポカヤネンより(オードⅠ、オードⅢ、オードⅥ、コンタキオン、イコス、カノンの後の祈り)

合唱

ヴォックス・クラマンティス

指揮

ヤーン=エイク・トゥルヴェ
  癒やしの歌声、睡魔との闘い
アンコールをしてくれた公演

ヴォックス・クラマンティス

1996年創立。歌手・器楽奏者から成り、中世の多声声楽曲と現代音楽を得意とする。エストニアの作曲家ペルトからの信頼が厚く、多くの作品を献呈され初演している。ペヌティエ、古楽アンサンブルのホルトゥス・ムジクス、現代音楽アンサンブルNYYD等と共演。

ヤーン=エイク・トゥルヴェ

タリン音楽学院卒業後、パリ国立高等音楽院でグレゴリオ聖歌の指揮法を学び、仏ソレル修道院のドム・ダニエル・ソルニエにも師事。96年にヴォックス・クラマンティスを設立。パリ・グレゴリオ聖歌合唱団を定期的に指揮。ヨーロッパ中でグレゴリオ聖歌を指揮している。

 

177

5月3日(木) 19:30-20:15
G409 ゴーリキー

演目

チャイコフスキー:四季 op. 37bis

ピアノ

エマニュエル・シュトロッセ

チャイコフスキーはいい。
軽やかなピアノ。

エマニュエル・シュトロッセ

ストラスブール出身。パリ国立音楽院にてJ-C.ペヌティエ、C.イヴァルディ、M.J.ピリスらに師事。フィレンツェ国際室内楽コンクール、クララ・ハスキル・コンクール入賞。

 

147

5月3日(木) 21:45-22:45
ホールC ドストエフスキー

演目

渋さ版「サクル・リュス」

演奏

渋さ知らズオーケストラ

白鳥の湖、展覧会の絵、このメロディーが鳴っていたような、そして火の鳥を会場のみんなで歌ったような─、バレエリュスを意識したようなパフォーマンス、完全にバレエリュスを超えていた。あくまで個人的見解。

渋さ知らズオーケストラ

その音楽はジャズ、ロック、歌謡曲、フォークなどが混在し、既存のジャンル分けに収まらないという特異性を持つ。さらに舞踏、ダンス、美術など音楽以外の表現要素が加わり、渾然一体となる演劇的祝祭感のある空間を創出していく。日本以外でもヨーロッパ各国で高い評価を受け続ける。

不破大輔/立花秀輝/佐藤 帆/松本卓也/鬼頭 哲/吉田隆一/北 陽一郎/辰巳光英/高橋保行/オデオン ジュークス/太田恵資/斉藤“社長”良一/ファン テイル/小野 章/小林真理子/磯部 潤/山本直樹/関根真理/室舘 彩/渡部真一/南波トモコ/山口コーイチ/ペロ/松原東洋/東野祥子/安田理英/ケンジルビエン/長谷川宝子/霜村佳宏/若林 淳/南 加絵/ねねむ/広田清子/とっくん/田中篤史/青山健一/横沢紅太郎

 

247

5月4日(金) 20:15-21:00
ホールB5 ツルゲーネフ

演目

リムスキー=コルサコフ:弦楽六重奏曲 イ長調
ボロディン:弦楽六重奏曲 ニ短調

演奏

ブラジャーク弦楽四重奏団
ジェラール・コセ(ヴィオラ)
エドガー・モロー(チェロ)
  いかにも難しそうな弦楽器の絡み合い。奏者の熱演に熱い拍手。

ブラジャーク弦楽四重奏団

パヴェル・フーラ(ヴァイオリン)

ヴラスティミル・ホレク(ヴァイオリン)

ヨセフ・クルソニュ(ヴィオラ)

ミハル・カニュカ(チェロ)

1972年、プラハ音楽院在学中に結成。スメタナ四重奏団、ラサール四重奏団、ヴラフ四重奏団のメンバーに師事。78年エヴィアン国際コンクールで優勝しラジオ・フランス特別賞にも輝く。翌年プラハの春音楽祭でも受賞。これまでプレスラー、スークらと共演。

ジェラール・コセ(ヴィオラ)

フランスを代表する巨匠。クリヴィヌ、デュトワ、ナガノ、クレメール、デュメイ、ピリスらと共演。ピエール・ブーレーズ主催のアンサンブル・アンテルコンタンポランに1976年の創立時にソロ・ヴィオラ奏者として参加。現代音楽の初演等にも積極的に関わっている。

エドガー・モロー(チェロ)

1994年生まれ。17歳で第14回チャイコフスキー・コンクール2位および現代作品最優秀演奏者賞。パリ国立高等音楽院にてP.ミュレールに師事。ブルネロ、ビルスマ、ゲリンガスらのマスタークラスを受講。ヴェルヴィエ音楽祭アカデミーにも参加している。

 

247

5月4日(金) 21:15-22:15
ホールC ドストエフスキー

演目

チャイコフスキー:弦楽六重奏曲 op. 70「フィレンツェの思い出」
チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 op. 48

演奏

横浜シンフォニエッタ

指揮

山田和樹
  演奏前、奇妙な音で公演開始が妨げられるというトラブル発生も、その演奏はそれら嫌なこと全て忘れさせてくれるぐらい見事なもの。これは演奏が故なのか指揮故なのか、楽曲故なのか・・・その全てが合致した結果だろう。それにしても、チャイコフスキーは気持ちいい。


356

5月5日(土) 19:15-20:00
ホールD パステルナーク

演目

ストラヴィンスキー:イタリア組曲 チェロ・ピアノ版

プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 op. 119

演奏

タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)
プラメナ・マンゴーヴァ(ピアノ)
  どちらも初めて聴く楽曲。ストラヴィンスキーのものは非常に気に入った。CDでじっくり聴きたい。プロコフィエフのものは難しそうで難解。二人の女性奏者のすごさを感じた。

タチアナ・ヴァシリエエヴァ(チェロ)

01年ロストロボーヴィッチ国際チェロ・コンクールロシア人初の第1位。驚異的なテクニックと、圧倒的な音楽センスで世界の注目を集める気鋭の若手。使用楽器はフランスLVMH社から貸与された1725年製ストラディヴァリウスの“Vaslin”。

プラメナ・マンゴーヴァ(ピアノ)

1980年生まれ。マドリードのソフィア音楽アカデミーにてパシュキロフに師事。エル=パシャのもとでも研鑽を積む。2007年エリザベート王妃国際コンクール2位。シンフォニア・ヴァルソヴィア、ドレスデン・フィル、クリヴィヌ、デュメイ、ピリスらと共演。

 

316

5月5日(土) 21:00-22:00
ホールA プーシキン

演目

チャイコフスキー:イタリア奇想曲
ボロディン:だったん人の踊り
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ長調 op.18

演奏

ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
カペラ・サンクトペテルブルク(合唱)

指揮

ドミトリー・リス
  会場のど真ん中で聴くことができて、音響は最高。気持ちいいチャイコフスキー、贅沢なボロディン(出来れば合唱無しバージョンのほうを聴きたかったが)、ドラマチックなラフマニノフとお腹一杯の内容。ファイナルにふさわしい演奏に会場はスタンディングオベーション。ピアノもすごかった。

ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)

モスクワ音楽院卒。1990年チャイコフスキー国際コンクール優勝。超絶技巧と力強さ、独自の洞察力と豊かな感性を兼ね備えた才能あふれる音楽家として高い評価を得ている。ミュンヘン・フィル、ニューヨーク・フィル、ロンドン・フィル等世界的オーケストラと度々共演。

ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

1936年創設。本拠地はウラル山脈中央東麓のエカテリンブルク。95年に指揮者ドミトリー・リスを迎えた。2010年にゲルギエフよりマリインスキー劇場に招かれ、西欧の国際音楽祭でも度々演奏。これまでロストロボーヴィッチ、庄司紗矢香らと共演。

カペラ・サンクトペテルブルク

1479年に皇帝イヴァン3世がモスクワに設立した世俗合唱団が起源。改称を経て、サンクトペテルブルクに拠点を移す。500年の歴史の中で、パイジェロック、グリンカ、バラキレフらが指揮。1974年以降、指揮のチェルヌチェンコのもとでレパートリーを広げた。

ドミトリー・リス

モスクワ音楽院にてキタエンコに師事。モスクワ・フィルでのアシスタントを経、ロシア最年少でクズパス響の首席指揮者に就任。現在はウラル・フィルの芸術監督・首席指揮者。ロシア国立管の指揮も任されている。クレメール、ロストロボーヴィチ、パシュメットらと共演。


2012年4月12日木曜日

シネマ[cinema]


シネマ【(フランス)cinema】
 映画。映画館。キネマ。→シネマトグラフ
シネマトグラフ【(フランス)cinematographe】
 映画の撮影と、その映写を兼ね備えた機械の名称。
 1895年、フランスのリュミエール兄弟が発明した。
 「映画」を意味する「シネマ」はこれに由来する。

(デジタル大辞泉より)


最近“シネマ”にはまっている。その始まりは確かヴィム・ヴェンダースの「ピナ」だったか─、これは前々から見ようと思っていたもので、ヴェンダース、ピナ・バウシュ、3Dというものに惹かれての観賞─、座席もゆったり、絵はもちろん素晴らしい、3Dも想像以上に効果的で目もそれほど疲れない、平日のサービスデーだと空いていて安く見ることができる、やっぱ映画館で見るべきだなと久々に思った。

ラース・フォン・トリアーの「メランコリア」も気になっていた映画だったが、あとで家で見ればいいかなと─。

映画の集客力を奪ったのは紛れもなくテレビだろう。でも、ここ最近映画が好調なのはテレビの力を大いに利用しているからではなかろうか。テレビと映画は別物という考え方は元凶でしかないのかもしれない。

個人的に「ドッグヴィル」を最低な映画だと見なして以来、ラース・フォン・トリアーの映画を見に行くことに抵抗を感じつつも、「エレメント・クライム」「キングダム」「奇跡の海」という至極の作品(←個人的好み)もあるのだということに賭けて、安価なレイトショー、つまんなかったら寝てればいいかという思いで、「メランコリア」を観賞した。ワーグナーのトリスタンとイゾルデの序曲があまりにリフレインするために、多少の苦痛を感じつつも、それもある種の意図であり、わかりやすいストーリーを基に終始一貫して精神障害というコンセプト的なものを明確に表現し得ている、優れた映画だった。しかし、これを見て嫌悪感を示す人も少なくないだろう。そういう作品を作ろうとしている監督なのだろうから、それも本望か・・・。

よい映画というのは、アカデミー賞とかが決めるものかもしれないしれないが、それが必ずしも好きな映画になるものではない。そういう意識がどこかしらにあるから、テレビで録画していた米アカデミー賞授賞式などもほったらかしにしておくのだが、いい映画を見たなと感じると不思議ともっと欲を持ってしまうもので、とにかくも映画の情報を求めて2011年にアメリカで評価された映画を確認してみた。

その中で気になったのはなんといっても作品賞を受賞した「アーティスト」。そして、マーチン・スコセッシの「ヒューゴの不思議な発明」、ウディ・アレンの「ミンドナイト・イン・パリ」。それらを次に見る候補として記憶─。

アカデミー賞授賞式を録画したものを見る、ついでにまだ見ぬ録画番組を片っ端に見る、するとグラストンベリー2011もそこに含まれていて TWO DOOR CINEMA CULB というバンドのパフォーマンスが気に入った。何せ名前がいい。とは言え、最初はその音、軽やかに疾走するそのメロディーに惹かれ、リリースされている1枚だけのアルバムを繰り返し聴いている。



Two Door Cinema Club/Tourist History

Alex Trimble ? Lead vocals, Guitar, Synths
Sam Halliday ? Guitar, Vocals
Kevin Baird ? Bass, Vocals

SOMETHING GOOD CAN WORK


北アイルランド出身の3ピースバンドである、トゥー・ドア・シネマ・クラブ。決して新しさは感じないが、グレートブリテン及び北アイルランド連合国らしいサウンド。イギリスらしいサウンドというのがどんなものかと問われると明確に答えることができないのだが、ビートルズ、ザ・フー、U2、オアシス、レディオヘッドなどに通ずるものを感じるわけで、それ故にそう思うだけ。

似たような音楽は、おそらく、過去にも今にもこれからもたくさんあるとは思うけれど、何故に彼らの音楽が気に入ったのか─、やっぱ名前かな。

バンドの名前の由来は、Tudor Cinema(チューダー・シネマ)から来ているそうだ。なんでも、彼らの地元にチューダー・シネマなる映画館があり、Tudor を分かりやすく Two Door に変えてバンド名を考えたらしい。

サウンド的に映画に関連があるとは思えない。しかし、映画を見に行く途上、ウォークマンで聴くには最高だ。足取り軽く、「ヒューゴ」を見に行った。

レイトショーのシネコンは非常に空いていて最高だ。3Dというものを非常にうまく利用した「ヒューゴの不思議な発明」、学問としてしか認識のなかった“リュミエール”、“ジョルジュ・メリエス”、“月世界旅行”がピュアな感動を呼ぶ。マーチン・スコセッシのファンタジーなんて・・・とどこかで思っていたものの、これはスコセッシの映画に対するオマージュなのであり、それをより多くの人々に伝えたいという思いなのだと勝手に想像して、さらに気持ちを盛り上げた。これを凌いだ映画とは如何なるものなのか─、そして、アギーを見るべく「アーティスト」を見に行った。

レイトショーのシネコンは、公開間もないアカデミー賞最優秀作品賞でもスクリーンを独占させてくれる。そう、最高だ。けれど、これで映画は大丈夫なのだろうかという多少の不安、こんなにも素晴らしい作品なのに─。

主演のジャン・デュジャルダンは、最初から最後までジーン・ケリーにしか見えなかった。そして、あの「雨に唄えば」が大好きな自分にとって、この「アーティスト」に込められている熱い思いも強く感じることができた。不自然なまでにジャック・ラッセル・テリアのアギーが常に登場する面白みもまた、映画へのオマージュなのだと感じてしまう。フランス人監督がアメリカを舞台にした映画を撮り、アメリカ人監督がフランスを舞台にした映画を撮る、しかもそれが二つともに映画へのオマージュであり、それが作品賞を争っていたということを改めて知る。なかなかドラマチックな2011年度のオスカーだったということもまた知るに至る。

次は、「ミッドナイト・イン・パリ」かー。これもまたフランスが舞台、撮っているのはウディ・アレンと、なんとも不思議なシネマな展開。


2012年3月15日木曜日

タンポポとマーラー、そしてリスト

テレビで映画「タンポポ」が放映されていた。故・伊丹十三氏の傑作であり、テレビで見かけることも別に珍しいことではないけれども、背後に流れる音楽がマーラーの交響曲第5番第5楽章だということに初めて気がついて、思わず身を入れてしまう。

ヴィスコンティの映画「ベニスに死す」での第4楽章などは、曲調と映像が非常にマッチしていて、効果的なマーラーの最たるものだと思うのだが、「タンポポ」での第5楽章も悪くない。もっとも「タンポポ」でも第4楽章は多用されているのだが…官能的な場面では必ずといっていいほど第4楽章が流れ、本筋のラーメン修行の場面では第5楽章とうまく使い分けている。

「タンポポ」を初めて見たガキの頃は、エロいシーンと(自分が虫歯で苦しんでいたために)おっさんが歯を抜かれるシーンだけしか印象に残らなかった。それ以外のものが駄目とかというよりも、自分にとってそれらがあまりに強烈だったためだ。どちらも映画の本筋から外れたものであり、それらばかりに気を取られると当然ながら映画の良さも理解できない、かといってそれらを無視したのでは本当の「タンポポ」の良さが失われてしまうと思うのだが。

数度の「タンポポ」と年齢を重ねることで、その良さを徐々に理解し得るようになってきて、そしてまた、遅ればせながら「タンポポ」でのマーラーを見出して、さらに映画を租借する。非常に美味しい映画だ。

 

マーラーの第5番を初めて聴いたのも、「タンポポ」が話題になっていた頃だと記憶する。脈絡があったわけではなく、単なる偶然。レンタル店に耳慣れぬマーラーなるCDが目立つように置かれていたために、半ば興味本位で借りて聴いた。「タンポポ」があってのレンタル店の主張だったのかもしれない。そう考えると、世間的な脈絡というのがあってそれに自分は乗っかったといえるのかもしれない。

(メンデルスゾーンによる)結婚式の歌のような出だしで始まるマーラー5番の第1楽章、突如マイナーの響きへと突き落とされて不快な思いしか感じ得なかったものだが、いまではその展開に病みつきだ。

 

マーラーの愛弟子ブルーノ・ワルター、少し前にBruno Walter Conducts MahlerなるCDを目にしたものの、どうせ古い録音で自分が理解できるわけでもないということで購入を回避していたのだが、あまりの破格値とほぼステレオ録音だということで結局買ってしまった。でどうだったのかというと、想像以上に良い音でかなりの満足。これを基準にあらゆるマーラーを比較していけそうな気がする。

 

映画「ベニスに死す」を今一度見直している。トーマス・マンがマーラーの死によって小説家である主人公がグスタフという名を持つに至った小説、それをヴィスコンティが映画化、グスタフを音楽家に仕立て上げ、マーラーの交響曲とともにマーラーの姿を映画の中に強く反映させている。見事なテーマ、見事な映像、見事な音楽─。

 

続けてケン・ラッセルの映画「マーラー」を見直す。「ベニスに死す」のグスタフに扮した男が駅のベンチに座って、その周りをタージオ的な美少年がぐるぐる回って茶化している、そしてそれを汽車の窓から微笑みながら眺めるマーラー、音楽は当然5番のアダージェット、この上なく好きなシーン。

そういえばケン・ラッセルは2011年の暮れに逝ってしまったはず。彼の自由な発想をもやは新たには見ることはできない、残念。もっとも、映画「リストマニア」のようなあまりにも自由すぎるような作品になると、見る側は戸惑いを覚える。もっともその破天荒ぶりこそがいいのだという見方もあるのだが。

 

そういえば2011年はリスト生誕200周年だったはず、それにちなんだ演奏会もあったはずだが、すっかり忘れていた。

ギターで演奏した「愛の夢」ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010で聴いたブリジット・エンゲラーの「葬送」、これらがリストにおける個人的な思い入れ。

マーラーの第5番第1楽章も「葬送行進曲」といったはず。送り出す響きは非常に重要だということなのだろう。

映画「タンポポ」ではリストの「前奏曲」が劇的に使用されている。リストというとあまりにもピアノのイメージが強すぎて、シンフォニー的なものはほとんど気にしてこなかったけれども、「前奏曲」の感動的な響きは無視できない。ということで早速、リストの交響詩をじっくりと鑑賞する。

 

リスト、フランツ(1811-1886)/Les Preludes Mazeppa Tasso Orpheus Mephisto Waltz: Masur / Lgo

 


2012年3月8日木曜日

ヴィニシウス・カントゥアリアとビル・フリゼール@マウントレーニアホール

Vinicius Cantuaria & Bill Frisell Japan Tour 2012

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3/6(tue) 3/7(wed) @Mt.RAINIER HALL

<Open> 1st 18:00 2nd 20:00

<Start> 1st 18:30 2nd 21:00

全席指定6000円+ドリンク500円

3月7日(水)ファーストセット、A列6番・一番前やや右寄りという最高の座席。ゆったりした座席、座るとステージが目線の高さにある。当然ながら場内の撮影・録音一切禁止。

 

それほどの混雑なく、ドリンク・マウントレーニアのカフェラテ(オリジナルストラップ付き)を選択、座席のドリンク台を利用しつつスタート待ち。

 

少々遅れてビル・フリゼールとヴィニシウス・カントゥアリアがステージに登場。ビルは水色のフェンダー・ストラトキャスター、ヴィニシウスはガット弦を張ったアコースティックギター、二人ともに椅子に座りながら演奏する完全なギターデュオ。

 

ヴィニシウスがリズム的な演奏、それをベースにビルが自由にソロを弾きまくる。

 

曲目はアルバム「Lagrimas Mexicanas」からのものがほとんど、しかしアルバムに含まれているベースもドラムもなし、さらには多様なインプロヴィゼーションの応酬のために、耳慣れない演奏がほとんど。出だしから聴いたこともないインプロ的な演奏、2曲目からアルバムの曲を演奏しだした、と認識している。

 

生の演奏で、ヴィニシウスはやはりブラジルの生まれだということを確認、彼の演奏はまさにボサノバ的、“メキシコ”と銘打っているアルバムではあったが、南米の音楽というところまでしか捉えられなかったわけだ。

 

それにして、ドラムやパーカッションの奏者でもあるヴィニシウスだけあって、素晴らしいリズム感、ビルのような変幻自在なギタリストにとってこの中で“踊る”ことは無上の喜びなのではなかろうか。

 

目の前のビル。空色のストラト─これが似合うのは彼かジェフ・ベックぐらいではないか、と思わせるくらいの爽やかな音色を奏で続ける。ボリューム、トーン、エフェクターを巧みにコントロール、ギターそのもの歪ませたり引っ掻いたり、とにかくその技のバリエーションには驚いてしまうのではあるが、その技の一つ一つがあくまで楽曲ありきのものなのだということが目や耳を通して確実に伝わってくる、唯一無二のギタリスト。

 

ブラジル的なギターを奏で続けるヴィニシウスとは違い、ビルの演奏は非常にアメリカ的な印象、さすがはアメリカ音楽のルーツを探求し続けるアーティスト。そしてふと思う、アメリカとブラジルの中間に位置しているもの、それがまさにメキシコだと、今回の彼らのコンセプトはメキシコ音楽を純粋に探求したわけではなくて、ふたつの違った音楽が融合した結果、別の音楽が自然発生した、そしてそれが地理的中間地点のメキシコだった、そう勝手に夢想したのだが、真意は分からない。

 

あくまで静寂を基調にしたギターデュオ、ヴィニシウスの優しいボイス、ホールの見事な音響──、そしてステージ上ではビルが左足のつま先を真横にしてその上に右足のかかとを載せ不思議な足の組み方をしている、ヴィニシウスのスニーカーが軽やかに左右にリズムを取る、ダークブルーに真っ白に浮かぶビルの顔、ダークレッドに浮かぶビルの顔…、確実に脳にはアルファー波、強烈な睡魔…、この椅子も原因か──。

 

一日2セットあるだけに実際の演奏時間も短かったとは思うが、そんな心地よい時間もあっという間に終了。アンコールも非常にいい演奏で、もっと観たいという思い。次のセットも控えているわけで、あっさり終了。

 

正直これまで見たライブで最も地味な演奏の部類だったいう印象。しかし、信じられないくらいの満足感。とにかく年期が違う二人の演奏に感服するばかり。

 

帰りに「Floratone II」を購入。これでまた別のビル・フリゼールを楽しもう。それにしても、Floratoneまだ続くのかー。


2012年2月23日木曜日

音楽の選択

魅惑の巨大CDショップ。10%引き、20%引き、30%引き、半額!?今だけプライス、いまだけ1000円─。視聴、視聴、ジャズ、クラシック、ロック、ポップ、JPOP、洋楽、邦楽、ワールドワイド─。聴いて選択する姿勢こそが本来あるべき姿、しかしそういう姿勢で臨むと自分は破産必至、故に切り捨てるために視聴するというぐらいの気持ちで臨まなければならないこの悲しさ。

視聴する、よほどじゃない限りほとんど良く聞こえる、とりあえず買おうか迷う、そしてお店のポップやジャケ、価格を必死に見ながら、平凡?何が新しい?飽きるか…高い!と必死に否定しにかかる。なんと悲しいことか。そうでもしないと無駄に買うだけ、これも音楽への愛、哀、皮肉れた愛。

そしてきょうも愛すべき音楽を選択してきた。

 

Bruno Walter Conducts Mahler

視聴もできなかったし、いくら巨匠の指揮だとしても、古い録音では自分にはその良さは分かりません。非常にお買い得感はございましたが、無駄回避。

 

最近少し気になっているserph。確かに心地いい。ジャケもいい。でもきっと飽きる、イーノやライヒを聴けば済むことではないか、と気持ちを抑えて無駄回避…ずっと聴いてるとなぜか生の楽器音が恋しくなってくる。それだけでも価値があるのではという肯定が台頭してくるが、いやいやそれじゃあジャズでも聴きに行こう、ということで危機回避。

 

ヒューバート・ロウズが1980年にリリースしたリイシュー。待ち望まれた、評価の高い、などという言葉に惹かれ、チック・コリアやアール・クルーという名前に惹かれ、1曲目のボレロなどで思わずいっちゃいそうに─。ただ、お店プッシュの4曲目Familyがそれほど心に響かずに無駄回避、というか保留?

 

チック・コリアの新ピアノコンチェルト『大陸』がグラムフォンから─、というだけで魅力的。視聴しただけでお腹一杯、難なく回避。

 

澤野工房のラベルがついたイカしたジャケ、Ginza Shuffle というタイトルにも惹かれるところ。そしてその中身も、非常に洗練されたおジャズといった感じで、全く自分には合わないものであったので、楽勝回避。それにしても、なかなかいいジャケットだ。

 

そして、回避できなかった─というよりも、きょう選択した愛すべき音楽がこれ─

Gary Husband/Dirty And Beautiful Vol.2

豪華なアーティストと見事な演奏。何より音色が自分に合っていた。ギター中心のハードはフュージョン。ジャケットは気になったCDの中で最も気に入らなかったものの、音が最高だったために買い。Vo1.1も存在するようで、それも気になるところ─

Gary Husband/Dirty And Beautiful Vol.1

2012年2月18日土曜日

ヴィニシウス・カントゥアリアとビル・フリゼール

 ビル・フリゼールが来日公演をするという記事を目にする。前回の来日公演が素晴らしかっただけに、チケット即買い、といきたかったが、共演の名前に、ヴィニシウス・カントゥアリアと耳慣れないアーティストが─。だれ?
 ブラジル生まれのヴィニシウス・カントゥアリア、ビル・フリゼールのアルバム「The Intercontinentals」に参加していた。個人的にかなり気に入っているアルバムで、すでにヴィニシウス・カントゥアリアの奏でる音楽は聴いていたわけだ。改めてアルバムの名義を確認してみると、ヴィニシウスが担当している楽器は、アコギ・エレキギター・ボーカル・ドラム・パーカッションと、まぁ何と多彩なことか。
 それにしても、「The Intercontinentals」がリリースされたのは2003年であり、今ごろになって何故にビル=ヴィニシウス名義の来日なのかと思ってしまうのだが、去年、2人名義のアルバムをリリースしていた。



見覚えあるジャケット。確かにビル・フリゼールの新譜として陳列されていた。しかし「Lagrimas Mexicanas」というアルバムタイトル、何語で何と読むのか分からなかったので買うのやめた記憶がよみがえる。完全視聴できる所もなかったし─。ライブの記事に興味を持ってしまったことだし、ここは思い切って、チケットもCDも─、というわけで、「Lágrimas Mexicanas」のレビューとなります。
 収録参加アーティストはあくまでヴィニシウス・カントゥアリアとビル・フリーゼルの2人だけ。前編ギターデュオ形式での録音、アコギ&アコギはもちろんのこと、アコギ&エレキの場合も多々あり、そこにヴィニシウスが奏でるパーカッションなどもオーバーダブ。ブラジル生まれのヴィニシウスの音楽センスを前面に出したような中南米色。しかしながら、ボサノバ的要素は非常に少ないと感じる。その要因となっているのは、独特の哀調のせいなのだろう。決して派手とはいえない楽曲群で展開されて、長短の響きが波のように交互に押し寄せる印象。ヴィニシウスの歌唱力もまた予想外、優しく歌い上げるその声は、まさにフォルクローレ。メキシコと銘打ってはいるが、(ステレオタイプ的な見解になってしまうが)メキシコ音楽特有の陽気さは感じられず。それがかえってこのアルバムの質を上げているように感じてしまうほどの、素晴らしい曲と演奏。アルバムタイトル「Lágrimas Mexicanas」をウェブ上で翻訳してみると、それはスペイン語ということが分かり、日本語に訳すと「メキシコの涙」と出た。うまいタイトルを考えたものだ。
 CD付属のDVDでヴィニシウスは言う、「ビルと演奏するときは、なるべく控えめに演奏して音の数を抑えている。そうするとビルのギターがその隙間を見事に埋めてくれる」と─。これを聞いて、このアルバムそして今回の2人の来日を知ることができて幸運だったと実感する。

Vinicius Cantuaria - Calle 7 (Lagrimas Mexicanas) by naiverecords





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ヴィニシウス・カントゥアリア & ビル・フリーゼル

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2012年2月15日水曜日

第54回グラミー賞 個人的な覚書

開催前日にホイットニー・ヒューストンの訃報
追悼ムードで授賞式

アデルが主要部門を独占
1. Record Of The Year
2. Album Of The Year
3. Song Of The Year
5. Best Pop Solo Performance
etc...

確かにデビューアルバム「19」は素晴らしかった
21」はまだ聴いてない


トニー・ベネットが85歳で史上最高齢の受賞
6. Best Pop Duo/Group Performance
故エイミー・ワインハイスとのデュエット
Tony Bennett & Amy Winehouse - Body And Soul



13. Best Hard Rock/Metal Performance
フー・ファイターズが受賞
質からするとドリーム・シアターのほうが圧倒、しかしどうもこの曲は好きになれないかも、ふざけ半分のフー・ファイターズの曲のほうが断然いい
メガデスのPVは笑える
Megadeth - Public Enemy No. 1

デイヴ・ムスティンも年を重ねたもんだ

パット・メセニーもあのアルバムも受賞
29. Best New Age Album
なるほど、ニュー・エージとして聴けばいいわけだ

チック・コリアも─
30. Best Improvised Jazz Solo
32. Best Jazz Instrumental Album

フォーエヴァー

ティナリウェンが受賞していた
49. Best World Music Album
Tassili
カダフィ大佐がまだ身を隠していたころ、彼らのウェブサイトも開けない状態だった。バンドの成り立ちが間接的にもカダフィに通じてしまうところがあるため、かなり心配するところだったけれど、無事に活動・評価されているようで一安心

57. Best Instrumental Composition
確かにすごい・・・
Bela Fleck - Life In Eleven


60. Best Recording Package
受賞したのはアーケイド・ファイアSuburbs
ノミネートにチキンフットChickenfoot III
まだやってるんだー