2008年7月11日金曜日

ティナリウェン Tinariwen

ワールドミュージックというものをそれほど頻繁に聴いてきたわけではないので、世界的に有名なアーティストであっても、全く知らなかったというケースが結構多い。大いなる無知と賞賛したくなるくらいに、このような個人的な大発見にはちょっとした興奮を覚える。
最近では、ティナリウェンというアフリカ・サハラ砂漠のバンドから新たな感覚を頂いた。サハラ砂漠のバンドとは何か変な表現かもしれないが、トゥアレグという遊牧民族からなるこのバンドをどこのバンドだと聞かれたならば、サハラ砂漠というのが最も正確であろう。
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バンドリーダーのイブラヒム(写真の中央)、彼はマリ共和国に生まれ、政変や干ばつで不安定なマリを離れアルジェリアへ、1980年に難民を受け入れ始めたリビアへと移り、1982年、最高指導者カダフィ大佐が庇護するトゥアレグ反政府キャンプにてティナリウェンを結成した。
トゥアレグ族は16世紀から19世紀にかけサハラ砂漠を支配していたベルベル人系の遊牧民族で、1960年代のアフリカ諸国の独立にともない5つの国家に分断・吸収されてしまう。
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トゥアレグは青いターバン・民族衣装を身につけていたことから“青の民”と呼ばれ、戦闘的で勇猛なことから周囲の民族から恐れられていたという。「風の谷のナウシカ」の登場人物の衣装は、“青の民”をモデルにしているようだ。使用言語はタマシェク語という、独自の表音文字。ティナリウェンの音楽もタマシェク語で歌われている。歌詞の内容は、主に社会の矛盾を歌っていて、反政府運動の象徴となっているようだ。


アマサクル Amassakoul (2004)
ティナリウェン Tinariwen
アルバム「アマサクル」は全世界で大ヒットし、“砂漠のブルース”と大絶賛された。トゥアレグの伝統的なリズムとコーラスをベースに、エレクトリックギターとイブラヒムが歌うタマシェク語が独特な“砂漠のブルース”を響かせる。レゲエの要素も盛り込んでいて、まさにワールドワイドな遊牧音楽といえる。
彼らの音楽のファンは多く、ロバート・プラントは「これぞ生涯かけて探し求めていた音楽だ」と言ったとか。また、コールド・プレイのボーカリスト、クリス・マーチンはローリング・ストーン誌のインタビューで「(新作のアルバム)『美しき生命』はティナリウェンから大きな影響を受けている」と語っている。
そして、カルロス・サンタナとも共演─
♪Matadjem Yinmixan / Tinariwen & Carlos Santana

そして、プラントと胸いっぱいの愛を─
♪Whole lotta love / TInariwen / Robert Plant


スタジオ録音は─
♪Chet Boghassa / Tinariwen


そして、これがコールドプレイ「美しき生命」の1曲目


確かに、ティナリウェンの音楽が西洋音楽のフィルターを通してきたような響き。ティナリウェンの音楽自体は、西洋音楽をアフリカ音楽のフィルターを通して構築されたものなのだろうから、それがまた形を変えて戻っていっていると言える。なかなか興味深い。そのようなことが繰り返し成されて、新しいものが生まれてきているのかもしれない。


2 件のコメント:

  1. 民族衣装とエレクトリック・ギターが新鮮な感じ!スタジオ録音版、ハマリました。一緒に踊りたくなってきちゃった!
    コールド・プレイ、ロバート・プラント、カルロス・サンタナが惹きつけられた理由がわかりました。

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  2. シュリンパー2008年7月13日 19:27

    ギターのリフがものすごくいいと思うんですよ。カッコいいリフが、独特なメロディーとリズムと非常にうまく絡んで、そして、プラントが“追い求めていた音"になっているんでしょう。

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