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2007年6月22日金曜日

映画「麦の穂をゆらす風」

画像
麦の穂をゆらす風
THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY

アイルランド・イギリス・ドイツ・
イタリア・スペイン 合作
2006年 126分

 監督:ケン・ローチ
 脚本:ポール・ラヴァティ
 音楽:ジョージ・フェントン
 出演:キリアン・マーフィー
     ポードリック・ディレーニー
     リーアム・カニンガム


THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY」というタイトルは、アイルランドの伝統歌の曲名を引用したもの。
19世紀後半からアイルランドの独立を掲げるときに、イギリスへの抵抗歌としてよく歌われたという。
この映画の内容は、まさに、この伝統歌の歌詞のように展開していく。
ケン・ローチのリアルな表現に、見ていてつらい場面が多いにある。
そして、そのリアルな表現であるが故に、複雑な思いが頭を駆け巡る。
そこには、明確ではっきりした答えなど一切ない。

それにしても、自由とか権利を手に入れるためには、こんなにも犠牲を必要とするものなのだろうか。

理想を追求し、争い・戦争といったもので人を殺すことは何と無駄なことだろう。
しかし、アイルランドは結果として独立を勝ち取った─
つまり、その犠牲は無駄ではなかった…
しかし、犠牲者・あるいはその家族の立場になったとき、果たして“この犠牲は無駄ではない”とはっきりと述べることができるだろうか。

ひとつの答えを導き出すのは本当に難しい。
映画の中で、1921年のイギリス・アイルランド条約に反対か賛成かを議論する場面が、まさにそれを象徴している。
一人一人の若者が共通の理想を求め議論をするが、その先にあるのはなぜか対立…
…画面の中の若者たちは本当に議論しているようなリアリティー
この場面には決められたセリフなんてないように思ってしまう。

映画の始まりでは、ジョージ・フェルトンの音楽はやはり素晴らしいなどと思っていたのが、終盤になるにつれて、周りのものに一切感覚が向かなくなるくらい内容に引き込まれ、考えさせられてしまった。

この映画でケン・ローチが主張したいことなど何もないのかもしれない。
この映画が何なのかを見出すのは、あくまでも提示された我々であって、100人が見たら100通りの意見が出るであろう。そして、残念ながら100人全員が戦争を否定することはないであろう。
戦争は永遠になくならないのだろうか─。

2007年6月21日木曜日

映画「レディバード・レディバード」

 
画像レディバード・レディバード
 LADYBIRD, LADYBIRD

 イギリス 1994
 102分

 監督:ケン・ローチ
 製作:サリー・ヒビン
 脚本:ロナ・ムンロ
 撮影:バリー・アクロイド
 音楽:ジョージ・フェントン 
 出演:クリシー・ロック
     ウラジミール・ヴェガ


主人公のマギー(クリシー・ロック)がカラオケで♪ローズを歌っている場面から映画が始まる。

♪ローズは映画「ローズ」のエンディング曲。
映画「ローズ」はジャニス・ジョプリンをモデルに、架空のシンガー、ローズの悲劇的な人生をベッド・ミドラーが演じている。

♪ローズから始まる「レディバード・レディバード」はこれから始まるマギーの悲劇を暗示している。そして、この映画は救いようのない終わり方をしていて、思わず映画の最初と最後を変えてしまいたい気持ちになるのだが、そこにこそケン・ローチの頑固なリアリズムが秘められているのだといえよう。

個人的には、悲劇的でありながら劇的に終わる映画「ローズ」よりも、とことん悲劇的に終わってしまう映画「レディバード・レディバード」のほうが断然好きです。

2007年6月20日水曜日

映画「ケス」

1995年、リュミエール兄弟が映画を発明して100年というこの年─
英国映画協会が「シリーズ・映画誕生100年」と題して、各国の監督に自国の“映画100年”を撮らせる企画を行った。

日本の映画100年…大島 渚 監督
アメリカの映画100年…マーチン・スコセッシ 監督
フランスの映画100年…ジャン=リュック・ゴダール 監督
イギリスの映画100年…スティーブン・フリアーズ 監督
ほか多数
  
以上のように、各国を代表する監督が“映画100年”を依頼されている。

数多くの代表的な映画が紹介されている中で
イギリス映画「ケス Kes (1969)」という作品が非常に気になった。

画像 ケス Kes
 112分
 イギリス(1969)


監督
製作
原作
脚本


撮影
音楽
出演
ケン・ローチ
トニー・ガーネット
バリー・ハインズ
ケン・ローチ
バリー・ハインズ
トニー・ガーネット
クリス・メンゲス
ジョン・キャメロン
デヴィッド・ブラッドレイ
リン・ペリー
コリン・ウェランド
フレディ・フレッチャー



スティーブン・フリアーズ監督は「イギリス映画誕生100年」で、アラン・パーカー監督と対話しながらイギリスの映画の歴史を振り返っているのだが、その中で、戦後のイギリス映画の最高峰として映画「ケス」を挙げていた。
「ケス」は1995年当時、日本でまだ上映されていなかった。翌年の1996年、ようやく日本で劇場公開され、もちろん自分も見にいった。ケン・ローチのリアリズムに感服した。しかし、これほどまでにリアルに描いた映画は、商業映画として嫌われてしまうのかもしれない。
商業的に大成功を収めることがなくとも、ケン・ローチはその姿勢を崩さず、リアリズムを追求し続けて、ついに去年、映画「麦の穂をゆらす風」で2006年第59回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した。

「ケス」の中で流れる音楽は、ケルティックな笛の音。
緑の生い茂る丘で少年とハヤブサが訓練して、次第に心を寄せ合うようになっていく場面に、その音楽が非常に合っていて、思わずサントラもほしくなるかもしれません。
画像 @TOWER.JP
 激レアなものらしいです
 激レアならタワレコにはない気が…