2011年8月24日(水)19時開演
サントリーホール
指揮:小林研一郎(読響特別客演指揮者)
ピアノ:金子三勇士
演奏:読売日本交響楽団
《リスト生誕200年記念》
リスト/交響詩「前奏曲」
リスト/ピアノ協奏曲第1番
《マーラー・イヤー・プログラム》
マーラー/交響曲第1番「巨人」
A席、2階、LD3列8番席。やや右斜め下にステージを眺める位置。演奏者すべてを見渡すことができる。
ほぼ定刻通り、使い古されたタクトが振り上げられた。
まったくの「巨人」目的であったため、待ち構えていた耳には予想外のメロディーが。後からそれはリストの作曲によるもの知る。しかもかなり有名だということで、ウィキペディアなどを引いてみると、ナチスがイベントなどで盛んに流した曲だとか。正負の背景など気にすることなく、その美しく堂々たるメロディーには感服。むしろ背景など知らずにこのような素晴らしい音楽を堪能できたことが幸運だったという思い。演奏も完璧。
前奏曲が終わると、ピアノが設えられた。やはり「巨人」目的であった自分には、意表を突かれたそのピアノ。見慣れない男性ピアニスト登場。奏でられ始めたその音色から、リスト的な響きを感じ取ることはできたものの、やはりそれがピアノなに協奏曲であるのか知り得なかった。
後にそのピアニストは金子三勇士(みゆじ)、日本人の父とハンガリー人の母をもつ21歳の期待の新鋭だと知るに至る。そして、その曲はリストのピアノ協奏曲第1番、つまりは、リスト生誕200年とマーラー没後100年を意識したプログラムであった。
ピアノの音はあまりにも美しく華麗すぎて、強烈な眠気に襲われる。気がつけば強烈なカーテンコールで満員の会場が揺れていた。半ば意味がわからないまま、流れに身をまかせつつ、心地よさに大いに感謝しながら、カーテンコールに参加。若手の有望株の今後に期待しよう。
ここで15分の休憩。
「巨人」目的であった自分、いよいよ期待通りのメロディー。静寂から始まるその第1楽章は演奏も鑑賞もかなりの難易度。これは恐らく、指揮者マーラーが演奏者の技量と聴衆の耳を確認するために作曲したに違いない、そういう思いで聴いていた。初演は芳しいものではなかったというこの「巨人」、自分のような凡人にとってこのメロディーを捉えるためには、数度聴かねば無理だと実感。いまでこそ存分に堪能し得る1・2楽章だが、その当時の初演に聴いたのであれば、やはり、難解という思いだけであっただろう。
3楽章の「グー・チョキ・パーで、グー・チョキ・パーで、なにつくろう、なにつくろう・・・」のメロディーで、ようやくあらゆる思考が消え去り、純粋に音楽そのものを聴くに至る。全体的にゆったり目のこの「巨人」においては、まさにこの3楽章がはまり箇所だったような気がした。
そしてやはりこの第4楽章は非常に気持ちがいいものだと確認した。どんなに小難しい前置きがあっても、やはりここを聴けば、素晴らしきかなこの巨人、となってしまう。若干スロー過ぎはしないかという不満もあったが、そんなものを吹き飛ばすくらいの大エンディング。70を超えたとは思えない若々しいその指揮ぶりをみると、やはり炎のコバケン。福島県出身だからというわけでもなく、ただただその演奏と指揮ぶりに拍手喝采、否やはり福島県人という意味からも拍手喝采、演奏の終盤は熱い想い指揮台からを福島に放っていたはずと勝手に解釈しながら、あらゆる所を熱くさせながら拍手喝采。
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