冨田勲×初音ミク
無限大の旅路 ~イーハトーヴ交響曲~2013/9/15(日)13:30開演/18:00開演
2013/9/16(月・祝)13:30開演
Bunkamura オーチャードホール
料金:S¥9,500 A¥8,500 全席指定(税込)【指揮】
河合尚市
【管弦楽】
東京フィルハーモニー交響楽団
【出演】
初音ミク(ヴァーチャルシンガー)
ことぶき光(エレクトロニクス)
梯郁夫(パーカッション)
鈴木隆太(シンセサイザー)
【合唱】
慶応義塾ワグネル・ソサィエティー男性合唱団
聖心女子大学グリークラブ
シンフォニーヒルズ少年少女合唱団
【プログラム】
新日本紀行
山田洋次監督映画音楽集
たそがれ清兵衛~隠し剣鬼の爪~武士の一分~おとうと
子供のための交響詩
新・ジャングル大帝2009年版 ジャングルの朝~動物たちのつどい
勝海舟
イーハトーヴ交響曲
リボンの騎士(アンコール)
青い地球は誰のもの(アンコール)
S席1階6列目10番、ステージ向かって左側からやや見上げる位置、弦楽と指揮者の表情はよく見えたが、管楽などステージ全体を見ることができなくて多少不満。
新日本紀行から勝海舟までが前半、15分の休憩をはさんで、イーハトーヴ交響曲から最後まで演奏というプログラム。
前半部は新日本紀行のほかは耳慣れない曲ばかり。映画やテレビのための音楽というのは、もともと映像ありきで作られているためか、音楽に集中できずに聞き流してしまった。
後半、交響曲が始まる前に冨田勲氏の御言葉あり。東京フィルが新作を演奏してくれることを喜び、その低音部の鳴りを非常に褒めていた。同時に、初音ミクというバーチャルシンガーと生の演奏が融合したこの新しい芸術を自画自賛していた。冨田氏が客席に着席すると間もなく、メインの演奏がスタート。
シンフォニーヒルズ少年少女合唱団が歌う宮沢賢治作詞作曲の「牧歌」を拝借したコーラスから始まったその演奏は、全てにわたって満足がいくもの。初音ミクの絡みや動き、溶け込みといったものも至極自然で、まさに質の高い総合芸術であった。特に、第5楽章というべきなのか「銀河鉄道の夜」の部分は、ステージ上部に大きく投影されたイメージ映像が効果的で、ラフマニノフの交響曲第2番を拝借しているそのメロディーと相まって、大きな感動を呼び起こす。この交響曲のために専用のステージをしっかり組んで欲しい─もっとイメージ映像がしっかりと映し出されるようなスクリーンなどを設置するなどし、より音と映像が融合するような仕組みを作り上げて演奏されるべきなのではと、夢想してしまった。
あまりに素晴らしい交響曲の演奏で、申し訳ないがアンコールの曲が非常に煩わしいものに感じる。称賛の拍手はどうしてもアンコールを求めるものになってしまうか。
イーハトーヴ交響曲の演奏終了後にも冨田氏の御言葉あり。氏によると、新しい芸術の始まりとしてこの交響曲が位置づけられると言っていた。確かに、それくらいの作品であり演奏であった。しかし、バーチャルと生演奏の融合というのは想像以上に難しいものだと思うわけで、この作品は奇跡的に生まれたようなものかもしれない、そう思うとこのような作品が後に続くことが想像できない、まさに唯一無二のアートであると思えるのだが、果たしてどうだろうか。想像を超えることがアートであるとも言えるのであるけれども…。
終わってみて、やはり、ステージ全体を見渡せなかったことが非常に残念だった。できることなら、初音ミクをどのようにリアルタイムで演出しているのか、その端緒などを確認したかった。
音楽は文句のつけようのないくらい完璧、それというのもクラシック音楽の歴史を考えたならば当然ではあるけれども、歴史が浅い映像やCGに関していえばまだまだ改善の余地はあり、そして、また洗練された総合芸術を鑑賞したいものである。
いまはただ、この新しいものを生み出した全ての人に対して、惜しみない拍手を贈りたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿