風が吹くとき デジタルリマスター版 [DVD]
毎年、夏には数々の戦争映像が放映されている。子供のころはそれが嫌で嫌で仕方がなかったが、年齢とともに、漠然とその意義を実感してきた。戦争そのものが醜悪なものであるから、その映像をピュア・マインドで見たならば、それを嫌なものに感じることは必然的なことであろう。だからといって、その映像を流さないわけにはいかないし、それを子供心に映してあげることも必要なことなのだろう。あくまで戦争を本当に醜悪なものと捉えられるよう─、その映像は時として不思議な魅惑を放つこともあるから─。
セルアニメとクレイアニメが融合した映画「風が吹くとき」は、色彩豊かでありながら不思議なリアリティーを感じる作品。現実世界と想像の世界が自由に展開していて、反戦とか教育といった道徳的なことを抜きにしても非常に優れたアニメーション。音楽も、デビッド・ボウイ、ジェネシス、そしてロジャー・ウォーターズといった有名どころが名を連ねていて、それがさらに作品の質を高めている。
When the Wind Blows
もともとレイモンド・ブリッグス著の同名絵本が原作。それ故に、色使いがカラフルになっているのだろう。
風が吹くとき
ストーリーの大部分はある一軒家の中で展開されているのだが、その室内が緑と赤という補色でカラーリングされている。それだけで非日常的で、現実離れした世界であるはずなのに、妙なリアルさを醸し出している。故に、淡々と語られる放射能の恐怖を嫌になるくらい身に染みて感じてしまう。これを全世界の人が見れば、決して核戦争など起こらないだろう、そう考えるのは楽観的なのか…
悲しいかな、これを見終わって、核シェルターを作ってみようかなと思ってしまった自分がいた。核兵器がなくなることは決してない、そう思っているうちはずっと核の恐怖におびえるのであろう。
最期に聴く音楽はこれにしよう─
♪Folded Flags by Roger Waters
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