858 QUARTET とはなんぞや?と思いつつも、エレクトリックギターを含む弦楽四重奏というのはどんな響きをなすのだろうという興味本位で聴いたアルバム。実は過去にこの弦楽四重奏を自分は聴いていたということを後日知ることになるのだが、過去のものとその響きがあまりにも違いすぎるために、新しいものを聴く感覚で感傷に浸ることになった。
Bill Frisell/Sign Of Life
| 01. It's A Long Story (1) 02. Old Times 03. Sign Of Life 04. Friend Of Mine 05. Wonderland 06. It's A Long Story (2) 07. Mother Daughter 08. Youngster 09. Recollection 10. Suitcase In My Hand 11. Sixty Four 12. Friend Of Mine (2) 13. Painter 14. Teacher 15. All The People, All The Time 16. Village 17. As It Should Be |
その内容は、古き良きアメリカの響きをモチーフに静寂を重んじたもの。聴けば聴くほどに、心に沁み入る。
このカルテットでのアルバムは2枚目。最初のものはドイツの画家、ゲルハルト・リヒターの抽象画からインスパイアされたとされる楽曲群が並ぶアルバムだった。
Bill Frisell/Richter 858 (Hyb)インプロヴィゼーション的要素、あるいはノイズ的な要素が強く、抽象芸術の極致というべき作品。
それに対して、今回のこの2枚目となる「SIGN OF LIFE」はあまりにも違いすぎる。これほど違うと、思わず笑ってしまうのだが、これらが彼らカルテットのやり残したことだと勝手に意味づけしてみると、至極納得してしまうと同時に、やはりほくそ笑んでしまう。
牧歌的響きを帯びたこの楽曲群自体にも、心を和ませる要素があるのだが、何度も聴きこんでいくうちにその静寂感の意味合いを理解するに至り、感傷的な雰囲気に浸るようになる。はじめはギターの音色ばかりを追っていたものが、不思議とバイオリン、ビオラ、チェロといった他の音を聴き入っている自分がいる。それが想いの変化を生み出しているのかもしれない。