2011年5月28日土曜日

SIGN OF LIFE -MUSIC FOR 858 QUARTET-

858 QUARTET とはなんぞや?と思いつつも、エレクトリックギターを含む弦楽四重奏というのはどんな響きをなすのだろうという興味本位で聴いたアルバム。実は過去にこの弦楽四重奏を自分は聴いていたということを後日知ることになるのだが、過去のものとその響きがあまりにも違いすぎるために、新しいものを聴く感覚で感傷に浸ることになった。

Bill Frisell/Sign Of Life

858 quartet
Bill Frisell (Guitar)
Jenny Scheinman (Violin)
Eyvind Kang (Viola)
Hank Roberts (Cello)
01. It's A Long Story (1)
02. Old Times
03. Sign Of Life
04. Friend Of Mine
05. Wonderland
06. It's A Long Story (2)
07. Mother Daughter
08. Youngster
09. Recollection
10. Suitcase In My Hand
11. Sixty Four
12. Friend Of Mine (2)
13. Painter
14. Teacher
15. All The People, All The Time
16. Village
17. As It Should Be

その内容は、古き良きアメリカの響きをモチーフに静寂を重んじたもの。聴けば聴くほどに、心に沁み入る。

このカルテットでのアルバムは2枚目。最初のものはドイツの画家、ゲルハルト・リヒターの抽象画からインスパイアされたとされる楽曲群が並ぶアルバムだった。

Bill Frisell/Richter 858 (Hyb)

インプロヴィゼーション的要素、あるいはノイズ的な要素が強く、抽象芸術の極致というべき作品。

それに対して、今回のこの2枚目となる「SIGN OF LIFE」はあまりにも違いすぎる。これほど違うと、思わず笑ってしまうのだが、これらが彼らカルテットのやり残したことだと勝手に意味づけしてみると、至極納得してしまうと同時に、やはりほくそ笑んでしまう。

牧歌的響きを帯びたこの楽曲群自体にも、心を和ませる要素があるのだが、何度も聴きこんでいくうちにその静寂感の意味合いを理解するに至り、感傷的な雰囲気に浸るようになる。はじめはギターの音色ばかりを追っていたものが、不思議とバイオリン、ビオラ、チェロといった他の音を聴き入っている自分がいる。それが想いの変化を生み出しているのかもしれない。

 


2011年5月27日金曜日

HIROMI / VOICE

上原ひろみのリーダーアルバムや参加したアルバムを、必ずしもすべてを聴いているわけでもなく、むしろ聴いていないものが多いのではあるけれど、なぜか気になるアーティストではある。故に、チック・コリアとの武道館“duet”など見に行ったりしているのだが、どうしても共演のネームバリューをもとに視聴している感がある。

2011年3月にリリースされた「ヴォイス」においても、サイモン・フィリップスとアンソニー・ジャックソンという名前が自分の興味を惹いた大きな要因だった。特に、サイモン・フィリップスと上原ひろみという組み合わせなど、想像すらしていなかったもので、聴き逃すまいという強い心が働いたわけだ。

上原ひろみ/Voice


Hiromi (p)
Anthony Jackson (b)
Simon Phillips (ds)



1. Voice 
2. Flashback 
3. Now or Never 
4. Temptation 
5. Labyrinth 
6. Desire 
7. Haze 
8. Delusion 
9. Beethoven’s Piano Sonata No/8,Pathtique 

当初、ランニングなどしながら聴いている時分は、非常に心地よく聴いてはいたものの、何度も聴いていると、なぜか飽きてきたような感あり。もっとも、あまりに連続的に聴いてしまったところはあるが─。

サイモン・フィリップスは、クールに淡々と正確無比なビートを刻み、その中で自由に上原ひろみが踊る。どうしてもロック的なビートであるために、良くいえばシンプル、悪くいえば単調なドラミング。それ故、どうしてもピアノの演奏も限られた枠の中に収まってしまうのだが、それが心地よさにもつながっているし、また物足りない部分でもあるのかもしれない。

話は変わって、震災後まもなくBSで放送されていた「上原ひろみの世界」という番組を録画していて見ていなかったのにようやく気がつき、それを見つつの「ヴォイス」を聴きつつ、という邪道を敢行してみた。やはり、「ヴォイス」はきっちりとまとまっているのかなと思ってしまう。とはいえ、通常のロック畑のものと比べると間違いなく群を抜いているのだが─。

発売当初の限定版にはDVDがついたものも発売されている。少々値は高いが、見る価値は十二分にある。内容は演者3人のインタビューと、「Now or Never」の収録のもようが収められている。三者三様の演奏が非常に面白くて、全く違うスタイルの3つの素材が見事に融合しているアルバムなのだと認識させられた。上原ひろみは「このユニットで世界ツアーができたら」という希望をインタビューで語っていたが、それが実現したならば、どんなことしても見なければならない。でも、実現は難しいかなー


2011年5月9日月曜日

Natsukashii Helge Lien Trio

アルバムタイトルを見て、初めて衝動買いをした。

Natsukashii  Helge Lien Trio 01.Natsukashii
02.Afrikapolka
03.Bon Tempi
04.E
05.Sceadu
06.Meles Meles
07.Hymne (Til Jarl Åsvik)
08.Umbigada
09.Small No Need
10.Living In Different Lives

Helge Lien[p]
Frode Berg[b]
Knut Aalefjær[ds]

題名の衝動買いといっても、前作「Hello Troll」をかなり気に入っていて、その音も予想は出来たわけだ。実際に聴くと、やはり予想通り、いや、予想以上の感。

“懐かしい”という言葉・感覚を、独自に捉え・表現した結果としての“Natsukashii”

 

Hymne

 

テンポのいい曲もしっかりと収まっているものの、全体として“暗”とか“静寂”といったものが漂っている。

日本人である自分には、ここのメロディー自体では“懐かしさ”を感じることはないけれども、楽曲をじっくりと聴いているうちに、不思議と“郷愁”にかられてしまった。

“Natsukashii”からはじまり、“Living In Different Lives”で終わる。このアルバムには明確なメッセージやコンセプトがあるのかどうかは計り知れないけれど、独りよがりに勝手なイメージを創ってしまう。

このアルバムの録音は2010年9月だということだが、3月11日以降だと、どうしてもアルバムタイトルに何らかの意味づけをしたくなる。震災の予感でもないし、震災への慰めでもないのは分かっているのだけれど、これは日本へのメッセージなのだと思いながら聴いていると、より一層メロディーが心に沁みてくる。

ノルウェーって遠いのに─

自分はノルウェー語、全く知らないなぁ・・・